お茶道具の周辺


◆ティーポット

おなじみの陶器製ポットの他に、銀製、銀めっき製、ステンレス製などのヴァリエーションがある。一般的にはコーヒーポットに比べて丸みを帯びたデザインなのが特徴。 これは熱湯を入れた時にポットの中で茶葉がくるくると回転できるようにするためだ。 だから緑茶用の急須のように中カゴがついているポットは、本当は紅茶のためには良くない。 (後始末は楽かもしれないが…)美味しくいれるには大きめで球形ののポットを選ぶのがコツ。

◆非実用的ティーポット

美味しく紅茶を入れるためのポットの他に、凝った意匠を楽しむためのポットもあり、熱心なコレクターも多い。 たとえば私が今までに見たことのあるものを挙げてみよう:ミシン、旧式ストーブ、ピアノ、食器棚、ファーザー・クリスマス(サンタクロース)、たんす・・・こんな楽しいティーポットでお茶会をすれば、カンバセーション・ピースになること請け合いだ。 

◆マグカップ

日常的に紅茶を飲むには、カップ&ソーサーよりマグカップ。日本で普通に売っているマグカップに比べて、縦長のデザインが人気。有名なDanoon社製のマグは日本ではけっこういい値(1500〜1800円くらい)がついているが、向こうで買えばそれほど高価でもない。さまざまな絵柄が揃っているから、ひとつふたつ旅の想い出に手に入れてみるのも楽しい。

◆ティー・コージー

一言でいうと「ポットの保温用カバー」。 ティーポットのお茶が冷めないようにすっぽりかぶせておくもので、キルティング製だったり中綿が入っていたりする。 デザインによっては比較的簡単に作れるので、お気に入りの一品を自分で作ってみるのも良いかも。

ただ、このティーコージーを使って「秋の夜長に読書でもしつつ、時々コージーをはずしてお茶を注いで・・・」なんてことを日本でやっていると、すぐに紅茶が渋くなってしまうのが悲しい。 日本の水は軟水なので、すぐにタンニン(渋味の主成分)が出過ぎて苦くなってしまうのだ。 さて、渋くなってしまったお茶はどうするか・・・? (次項へ続く)

◆ホット・ウォーター・ジャグ

渋くなってしまったお茶をどうするか・・・お湯で濃度を調節するのだ。 ポットと一緒に熱湯を入れたジャグも用意しておくといい。 テーブルに腰を落ち着けてのんびりするためのコツだ。

◆ティー・タオル

旅行のたびにあちこちで買い求めて、気がついたら何十枚という数になってしまった私のコレクション。 ティータオルとは、大きい平織りのふきんのようなもので、麻製または木綿製。 一番人気のあるアイルランドのアルスター社製のものは、麻100%で大きさ76×48センチくらい。 エリザベス女王の御用達マークのタグも裏に縫いつけてある。 麻は吸湿性が良く、洗えば洗うほどしなやかな風合いをかもしだす。 アルスター社のものでも一枚4ポンド弱と手ごろなので、食器やカトラリーを拭いたりと、日常使いにしている。 毎年たくさんのデザインが発表されており、クリスマスなどの季節限定物もある。

有名な観光地などで売っている「ご当地名物」がプリントされた木綿製のティータオルも旅の想い出として人気がある。ペナントのようなものだろうか…? 一枚3ポンド弱。 その地方のイラストマップ、名物料理のレシピ、方言の紹介など何種類もある。 ウェールズで買ったウェールズ語と英語の2か国語表記のティータオルは眺めていて面白い。

◆カップ&ソーサー

碗口が優雅に広がっている伝統的な型のカップは紅茶の色を美しく見せる。 お気に入りのカップを使うといつもの茶葉もより美味しく思えるのが不思議だ。 ウェッジウッド、ロイヤルドルトン、ロイヤルウースター、ミントン、スポード・・・会社の昼休みによくみんなで飲みに行った横浜の紅茶専門店は、毎回こういった高級感あふれるカップ&ソーサーで(たとえばウェッジウッドでも“ワイルドストロベリー”のような普及タイプではなく、もう一段クラスが上の品を)だしてくれるので、そこで唇にすっとなじむ良い器の心地好い感触に酔っていた。 夏でもよく熱い紅茶をオーダーしていたのも半分はそういった器のためもあったからなの知れない。

そういった高級な食器を求めるのは、もうすこし歳を重ねてからのお楽しみにとって置くとして、現在はもうすこし気軽に使え、かつ「英国」を感じさせる食器を集めている。 ボタニカル・アート風の植物画に美しく彩られた食器のシリーズで、カップ&ソーサーに限らずウォータージャグ、ミルク入れ、砂糖入れ、大中小の平皿、カッティングボード、ティーコージー、ティータオル、テーブルナプキン、プレイスマットなど、新聞紙でくるくる包んで重い思いをしながら持ち帰って揃えたお茶道具は休日の朝食やティー・タイムをほんわりと優しく演出してくれるのだ。


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