Wedding


ヘンリー8世が妃と離婚するのに障害になるので・・・という理由で英国国教会を設立しローマ・カトリック教会と袂を分けたというエピソードからもわかるように、宗教的に厳格でないお国柄もあってか(時には毎週まじめに日曜日に教会に通うアメリカ人を馬鹿にしたりします)、結婚式も必ずしも教会で挙げるとは限りません。

イギリスでは1970年代に宗教離れが急速に進んだため、教会で式を挙げずに役所の戸籍係に届けるだけというジミ婚がポピュラーになりました。(戸籍係に結婚を届けに行く人々の姿は、モンティ・パイソンでもさんざんおちょくられていますが。)

日本のような戸籍制度のないイギリスでは、重婚を避けるために次のような手続きを踏みます。・・・まず独身である証明を役所に提出してから1日おいて、誰も文句を言い出さないことを確認すると結婚許可証が降りるので、それを持って教会や市役所に行く・・・ということだったと思います。

Westminster Abbyの長いヴァージン・ロードを長くトレーンを引いてしずしずと歩んでいた映像が印象的なダイアナ妃の"世紀の結婚"から、親しい人を招いて和気あいあいと開かれるガーデン・ウェディング、市役所で戸籍係の立ち会いのもと行われる民事婚(civil marriage)まで。映画やテレビ番組にもたびたび登場する結婚にまつわる映像を見るのは興味深いものです。


映画『フォー・ウェディング』

ガーデン・ウェディング、新米牧師のウェディング、スコットランドの貴族の館でのウェディング・・・4つの結婚式とひとつのお葬式を通して揺れ動く恋の行方。

あらかじめ指定の店に欲しい商品のリストを預けておき、新郎新婦に贈り物をしたい人は自分の予算に応じてそのリストから贈り物を選ぶというシステムも出てくる。

ウェディング・ケーキ

伝統的なケーキは、レーズンやチェリーなどのドライフルーツがたっぷり入った三段重ねのフルーツケーキで、表面は白い砂糖の衣で覆われています。

下段は式の列席者に振る舞われ、中段は出席できなかった人に、上段は子供ができるまで大事にとっておくそうです。糖度の高いケーキなので長期の保存が利くのです。

アガサ・クリスティーの『葬儀を終えて』では、出席できなかった人に送られる中段のケーキのかけらを、「枕の下に入れて眠ると夢に将来の結婚相手が現れる」という言い伝えを守る女性のエピソードが出てきます。(その結果・・・?!)

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キリスト教結婚式の台詞

「このふたりの結婚に異議のある者は今すぐ申し出よ、さもなくば永遠に沈黙せよ」

Therefore if any man can show any just cause or impediment why they may not be lawfully joined together, let him speak now or else hereafter forever hold his peace ...

・・・というのは牧師のお決まりの台詞。 普通はなにごともなく進むのだが、「異議あり!」と出席者が言い出す可能性もなくはないわけで。

「死がふたりを分かつまで」

Till death do us part

「病める時も健やかなる時も」「死がふたりを分かつまで」−−−日本の結婚式では「死ぬ」や「病む」などの言葉を口にするのは縁起でもないので厳禁!ですが、キリスト教ではこのような誓いを立てます。

危機管理意識の現われと解釈して良いのでしょうか、有事(病気など)を想定してあらかじめ覚悟しておくのです。つまり「相手が病気になっても見捨ててはいけない」と。
交通事故や心中でもない限り、夫婦が同時に死ぬことなどまずありませんので、「死がふたりを分かつまで」つまり「どちらかが先に死んだら残されたひとりは再婚してもよい」ということも示しています。


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