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『プルートで朝食を』Breakfast on Pluto (2005)

監督:ニール・ジョーダン
原作・脚本:パトリック・マッケーブ

Story

教会の前に捨てられていたパトリック(自称キトゥン)は小さい頃からキラキラした綺麗なものが大好き。女の子の心を持って生まれた彼は何かと周囲と摩擦を起こすことも多かったが、彼を理解してくれる親友のローレンス、チャーリー、アーウィンと幸せな日々を送っていた。しかしある時起こった問題をきっかけに養母の元を飛び出し、生みの母を捜してロンドンへと旅立つ。旅の中でパトリック"キトゥン"は初めての恋、様々な人々との出会いと別れを経験してゆく。IRA問題の悲劇、グラム・ロック華やかなりし頃の風俗等を織り交ぜ色彩豊かに描いた話題作。ニール・ジョーダンは『ブッチャーボーイ』の原作者パトリック・マッケーブと再びコンビを組んだ。

Check!

セント・パトリック

「パトリック」という名はアイルランド人に多い名前で、アイルランドで最も敬愛されている聖人の名前から取られている。聖パトリックはアイルランドにキリスト教を広めた聖人で、毎年3/17のセント・パトリック・デイというお祭りがある(日本でも毎年イベントが開催されている)

キトゥンが生まれた町

キトゥンが生まれたアイルランド共和国の街タイリーリンは北アイルランド国境近くキャバーン州にあるという設定。

キトゥンの養母

キトゥンの養母の仕事はパブの女将。どうやら女手一つで一家を支えているようで、実の娘とパトリックの二人の子供の面倒を見ている。

朝食

瓶で配達される牛乳、トースト、油たっぷりで焼くソーセージやベーコンと、リアム神父のダイニングではアイルランドの典型的な朝食の風景が。

「ドクターフー」のDalek

子供時代のローレンスが中に入って遊んでいたロボットは、人気TV番組Dr. WHODalek

ドルイド

ディスコで入店を断られたキトゥンたちは「ボーダーナイツ」と名乗るバイカーたちにご一緒させてもらう。「ドルイドと共に時空を駆け抜ける」と言う彼ら。ドルイド(Druid)とはケルトの祭司のこと。アイルランド人らしい台詞と言えるだろう。

イギリス人に対する憎しみ

1970年代のアイルランドではアルスター紛争等のこともあり、イギリスに対する恨み・憎しみが渦巻いていた。子供たちのごっこ遊びの中にさえ英国を敵視する言葉が見受けられるほど。武装した英国軍兵士がアイルランド人に対する侮蔑的な暴言を吐いて検問を行っていた様子も描かれている。

Bloody Monday(血の日曜日事件)

キトゥンがバンドのメンバーと移動中にイギリス軍兵士に検問を受ける場面で、ロンドンデリーで13人が死んだと告げられる。これはU2の名曲「Sunday Bloody Sunday」でもおなじみの1972130日に起こった「Bloody Monday(血の日曜日事件)」のこと。イギリス軍兵士がアイルランド人のデモ隊に発砲し多数の犠牲者が出た。
>>Wikipedia

爆破テロ

当時はIRAによる爆破テロも頻発し社会問題となっていた。この映画でもアイルランド国内でのテロ、ロンドンでのテロが描かれている。

マッキントッシュのチョコ

キトゥンがボビーにねだる「マッキントッシュのチョコレート」のマッキントッシュ社はイギリスのお菓子会社。日本でも昔「マッキントッシュのキットカット」というフレーズのCMが流れていたが、現在マッキントッシュ社はネスレの子会社となっている。

アルスター帰り

キトゥンがロンドンのディスコで知り合った青年は、イギリス軍兵士。「くそ(Fucking)アルスターから帰ってきたところだ」という言葉にキトゥンは言いようのない感情を覚える。アルスターとは北アイルランドのことで、度々紛争が起こるためイギリス軍が常駐していた。

1970年代の風俗

キラキラの化粧、プラットフォームシューズ等1970年代の風俗がふんだんに盛り込まれている。グラム・ロックが一世を風靡していた時代。ロキシー・ミュージックのヴォーカリスト、ブライアン・フェリーを出演させているのもこの時代へのオマージュか。

>>ロキシー・ミュージック(wikipedia)

カトリックの神父

キトゥンの実の父はリアム神父。カトリックの神父は妻帯が禁じられており、子供を作るなんてご法度。リアム神父も中々名乗り出ることが出来なかった。保守的な社会でリアム神父は女装青年キトゥンと父なし子を身ごもったチャーリーを教会に引き取ったため、近隣から白い目で見られ教会に放火されるはめになる。

ロンドンの地下鉄

ロンドンの地下鉄駅構内でキトゥンが実母を見掛けて追う場面がある。長いエスカレーター、丸みを帯びた地下鉄車体などいかにもロンドン。

SOHO(ロンドン)

キトゥンが警官の紹介で勤め始めたピープショーの店は、SOHO Old Compton streetにあるという設定。SOHOはロンドンでも風俗店が集まっていることで有名な歓楽街。

キルバーン地区(ロンドン)

キトゥンの実母が再婚後に住んでいたのはロンドン北部のKILBURNはアイルランド移民が多く住む町として有名。昨今は治安も向上しているようだが昔はかなり犯罪の多発する地域だったらしい。アイルランドからイギリスに渡ってきた母はやはり同胞の多く住む地域を選んだのだろうか(家賃や地価も安かったらしい)。また、教会放火事件の後アイルランドを離れる羽目になったリアム神父が赴任することになったのもやはりキルバーンだった。英国国教会でなくカトリックの神父の需要があったためだろう。

■ロケ地

Callan, County Kilkenny, Ireland

ベルファスト(北アイルランド)

Powerscourtの滝, County Wicklow, Ireland
炎を囲んでいる場面

パディントン駅(ロンドン)チャーリーを見送る場面

■キャスト

Cillian Murphy ... Patrick 'Kitten' Braden

Ruth Negga ... Charlie (Patrickの女友達、Irwinの恋人)
Laurence Kinlan ... Irwin (Patrick
の友人、IRA)
Seamus Reilly ... Lawrence (Patrick
の友人)

Liam Neeson ... Father Liam (神父、Patrickの実の父)
Eva Birthistle ... Eily Bergin (Patrick
の母)
Ruth McCabe ... Ma Braden (Patrick
の育ての母)
Charlene McKenna ... Caroline Braden (Patrick
の育ての母の娘)
Pat McCabe ...
校長 (原作者パトリック・マッケーブのカメオ出演)
Liam Cunningham ... バイクに乗った青年
Gavin Friday ... Billy Hatchett (バンドBilly Hatchett & The Mohawksのリーダー)
Eamonn Owens ... Jackie Timlin
Brendan Gleeson ... John Joe Kenny(
ロンドンの着ぐるみショーの仲間)
Bryan Ferry ... Mr. Silky String (
ロンドンでPatrickを絞殺しようとした男)
Stephen Rea ... Bertie (
マジシャン)
Dominic Cooper ...
ディスコでPatrickと踊った新兵
Ian Hart ... PC Wallis (Patrickを尋問した警官)
Steven Waddington ... Inspector Routledge (Patrick
を尋問した警官)

主演は人気『麦の穂をゆらす風』 『28日後…』のキリアン・マーフィー。リーアム・ニーソンやブレンダン・グリーソンら大物俳優の他、ニール・ジョーダン作品の常連スティーブン・レイやイアン・ハートも。

■参考資料とリンク

オフィシャル・サイト
http://www.sonyclassics.com/breakfastonpluto/
http://www.elephant-picture.jp/pluto/

http://www.imdb.com/title/tt0411195/



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