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『逢びき』Brief Encounter (1946)

監督・脚本:David Lean
制作・原作戯曲・脚本:Noel Coward (戯曲"Still Life")

Story

優しい夫と子供に囲まれながらも、どこか平穏な日常に倦んでいた慎ましやかな主婦ローラにとって、週に一度だけ近くの街に出て映画を観たり貸し本屋に寄ったりするが唯一の楽しみだった。 週に一度の外出の帰りに駅で汽車を待っている時、運悪く汽車のススが目に入ってしまい、居合わせた医師にとってもらう。それがローラとアレックスの出会いの始まりだった。翌週、翌々週にもふたりは偶然出逢い、互いに抱く気持ちは単なる好意以上のものに変わってゆくが・・・

ラフマニノフのピアノ協奏曲の甘美なメロディに包まれて展開する、名匠デイビッド・リーンによる抑制の効いた美しい恋愛ドラマ。原作はノエル・カワード

Check!

蒸気機関車の時代

第二次大戦間もない時期に製作された映画なので、勿論「電車」ではなく「汽車」。 蒸気機関車からでる煤煙がふたりの出会うきっかけとなった。 駅の待合室代わりとなっている駅構内のカフェの様子も興味深い。

ふたりが出合った駅は「ミルフォード・ジャンクション」。 この駅から行き先別に汽車が別れるので、アレックスはChurley行き、ローラはケッチワース行きに乗る。

薬局Bootsが貸し本屋を兼営していた時代

イギリス全土に広がるドラッグストア(英語ではChemistというが)チェーン「Boots」。 ローラはBootsに入って子供のために歯ブラシを買い、また同時にそこで本も借りている。

ブーツは150年の歴史を持つ、イギリスでは売上げトップクラスの大手小売業 兼 製造メーカーだが、意外なことに昔は貸し本業もやっていたのだ。『ミステリーの社会学』(高橋哲雄著・中公新書)という本によると、20世紀前半にBootsは客寄せのために薬売り場の奥に貸本部門を設けていたとのこと。ブーツが貸し本屋を営んでいたことがこんなところで証明されているのも面白い。

*字幕には出ていないが、ローラが「Bootsで本を借りて、子供のために歯ブラシを買って・・・」と語っている場面がある。

『ミステリーの社会学―近代的「気晴らし」の条件』
高橋 哲雄 (著) 中公新書 (1989/09) 中央公論社

Boots:
www.boots.com

炭鉱

アレックは、炭鉱労働者が粉塵で健康を害していることについて、まるで子供のように熱っぽくローラに語る。
この時代はまだ炭鉱はイギリスの主要な産業のひとつだった。

相談料は1ギニーで

「紅茶はコーヒーより体に悪いんですって?」と尋ねるローラに、「相談料は1ギニーですよ」とふざけるアレック。 ギニーはイギリスの古い貨幣単位で、1ギニー=21シリングに相当。(1ポンド=20シリング、1シリング=12ペンス。ギニーやシリングは1971年に廃止され、1ポンド=100ペンスと10進法に改められた。)医師や弁護士への謝礼金や家賃等にはこの単位が用いられていた。これは医師や弁護士が職業柄チップを要求できないので、1ポンド=20シリングでなく1ギニーー=21シリングと、1シリング分多く支払いを受けられるため。アレックは医師なので、この「ギニー」という単位を使っていた。

クロスワード

フレッドが読んでいる新聞「The Times」に載っているクロスワードパズルの鍵が、キーツの詩や「リチャード三世(シェイクスピア)」の台詞になっている。 「The Times」は高級紙なので、想定している読者もこのような文学作品に親しんでいる教養ある層なのだろう。

キーツの詩
"When I Have Fears That I May Cease to Be":

ロケ地

Carnforth Station, Lancashire, England

www.carnforth-station.co.uk

Beaconsfield, Buckinghamshire, England

貸本屋や"Five Ways Cafe"等、街の場面

Regents Park in London

池でボートをこぐ場面

Middle Fell Bridge over Langdale Beck, Lake District, England

橋の場面

"Metropole Cinema" in Victoria (London)

160 Victoria Street
London UK SW 1
現在はヴァージン・グループのクラブ「The Venue」

Awards

1946年カンヌ映画祭:グランプリ、国際批評家賞(デヴィッド・リーン)
1946年NY批評家協会賞・女優賞(シリア・ジョンソン)
1946年アカデミー賞:3部門ノミネート(主演女優賞、監督賞、脚色賞)

(その他)1999年度英国映画協会によるベスト100作品:2位にランクイン

キャスト

Celia Johnson .... Laura Jesson
Trevor Howard .... Dr. Alec Harvey (開業医)
Cyril Raymond .... Fred Jesson(Lauraの夫)
Everley Gregg .... Dolly Messiter(Lauraの知人・おしゃべり)
Stanley Holloway .... Albert Godby(駅員)
Joyce Carey .... Myrtle Bagot (駅のカフェの女主人)
Margaret Barton .... Beryl Walters (駅のカフェの店員)
Valentine Dyall .... Stephen Lynn (Alexが部屋を借りた友人)
Marjorie Mars .... Mary Norton (Lauraの友人)
Dennis Harkin .... Stanley
Irene Handl .... チェロ奏者/映画館でオルガンを弾く女性

参考資料とソフト

DVD

imdb.com/Title?0037558

www.carnforth-station.co.uk
www.carnforthrailwaystation.co.uk
www.filmsite.org/brie.html

『ミステリーの社会学―近代的「気晴らし」の条件』
高橋 哲雄 (著) 中公新書 (1989/09) 中央公論社


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