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『フェアリーテイル』FairyTale: A True Story (1997)

監督:チャールズ・スターリッジ
原作:ジョー・クーパー著『コティングリー妖精事件』

Story

第一次大戦中のイギリス。父が戦場で行方不明になったため、8歳のフランシスはヨークシャーにあるおば夫婦の家に預けられることになる。12歳になる従姉のエルシーとはすぐに仲良くなりいつも一緒に遊ぶようになったが、ある日ふたりは森で妖精を目にする。最初大人たちはなかなか信じなかったが、少女たちが撮った妖精の写真が騒動の発端となる。作家のコナン・ドイルや魔術師のフーディーニも深い関心を寄せ、ジャーナリストや見物客たちが大挙してこの静かな村にやってきたのだが・・・

20世紀最大の謎のひとつとも言われるイギリスで実際に起こったコティングリー妖精事件を映画化。

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コティングリー妖精事件

1917年夏にふたりの少女が撮影した妖精の写真が、3年後にその真偽をめぐってイギリス中を巻き込む大騒動となった事件。シャーロック・ホームズの作者として知られるアーサー・コナン・ドイル等著名人も多く関わっている。

映画ではフランシスとエルシーは4歳違いになっていたが、実際はフランシスが1907年生まれ、エルシーは1901年生まれ。

1983年にエルシー(当時83歳)が写真は作り物だったと認める。フランシスは妖精を見たことは事実としながらも、5枚の写真のうち4枚は偽物だったと証言。フランシスは1986年に、エルシーは1988年にそれぞれ亡くなった。

コナン・ドイル

Sir Arthur Conan Doyle (1859-1930)
1859年 スコットランド・エディンバラに生まれる。 エディンバラでは薬学を学ぶが、後に作家に転向。ストランドマガジンに連載したシャーロック・ホームズシリーズで有名になる。最初の著作は『緋色の研究(A Study in Scarlet)』(1887)。ミステリー以外に歴史ものの著作もあり、1899-1902年には医師としてボーア戦争に従軍している。1902年にナイトに叙される。

両親ともにアイルランド出身のカトリックというアイリッシュの血のためか、超自然的なものや心霊学的なものに対してかなり深い関心を持っていた。コナン・ドイルがアーサー・ライトに初めて手紙を書き送ったのは1920年6月のこと。映画でも触れられているように、雑誌「ストランド・マガジン」の1920年クリスマス号でコティングリー妖精事件を真実と認め、1922年に著書『妖精の出現(The Coming of the Fairies)』でもこの少女らを擁護している。

『妖精の出現―コティングリー妖精事件』
アーサー・コナン・ドイル著/井村君江訳/あんず堂

コナン・ドイルのおじリチャード・ドイル(Richard Doyle:1824-84)は妖精画家として知られる。

_The King of the Golden River_
John Ruskin (著), Richard Doyle (イラスト)

魔術師フーディーニ

Harry Houdini (1874-1926)
ハンガリー・ブダペスト生まれのマジシャン。本名 Ehrich Weiss。ラビ(ユダヤ教の司祭)の息子として生まれ、子供の頃に米国ウィスコンシンに移住し、ヴォードヴィルのスターとなった。特に手錠や手中に沈められた箱からの脱出ショーなどで人気を博した。母親が死んだ時にスピリチュアリズムに興味を持ち何人もの霊媒師と接触を持ったが、彼らがみなまがい物だとわかるとこのようなインチキ霊媒師たちのやり方を暴露し非難するようになった。この映画の中でも"人の悲しみを利用して儲けようとする人々"を批判している。

神智学

小学館大辞林によると「神智学」の定義は以下の通り:
「通常の人間的な認識能力を超えた神秘的・直観的霊知によって、神を体験・認識しようとする神秘説。グノーシス主義・新プラトン派などの神秘主義にうかがえる。」

エルシーの母ポリー・ライトとフランシスの母アニー・グリフィスは姉妹で、ともに神智学に興味を持っていた。1919年にブラッドフォー
ド(コティングリーの近くにある比較的大きな都市)で開かれた神智学協会の集会にポリーも出席しており、その席で妖精のことが話題になった時ポリーが自分の娘の話を持ち出したと言われている。その後1920年2月にガードナーがポリー・ライトに手紙を書き、以来何度か手紙のやり取りをする。

モンスの天使(The Angel of Mons)

神智学協会に出席していたファーマー軍曹は、1914年8月にベルギーでイギリス軍が出会った不思議な体験について話していたが、これはいわゆる「モンスの天使」といわれる伝説のことと思われる。
第一次大戦中の1914年8月、ベルギーのモンスでイギリス軍とドイツ軍が戦闘中に天使が現れたというもの。実際に起きたことと信じられていたが、実は作家でジャーナリストのArthur Machenの創作によるフィクションと言われている。
www.awm.gov.au/encyclopedia/angel/

緑豊かなヨークシャー

フランシスは幼少期を南アフリカで過ごしていたため、ライト家の周囲に広がる緑豊かな風景に心奪われる。清らかな水の流れるbeck(小川)には、妖精がいてもおかしくない雰囲気。

戦争の翳

フランシスが乗ったヨークシャー行きの鉄道には傷ついた兵士たちがたくさん乗っていた。 第一次世界大戦は、近代イギリスが直面した未曾有の大戦争で、イギリス人の心に暗い影を落としていた。特に戦闘が激しかったのはフランスとフランドル地方(ベルギー北部)。 フランシスの父はフランスで行方不明になっており、神智学協会に出席していたファーマー軍曹はフランドル地方での神秘体験を語る。

ガウェインとランスロット

地主のブリッグス氏が飼っている犬の名前はガウェインとランスロット。それぞれアーサー王伝説に登場する円卓の騎士の名である。

紅茶のある風景

エルシーの両親ライト夫妻は、コナン・ドイルたちを迎えるにあたって、さまざまな茶菓子を用意していた。スコーンやドライフルーツがたっぷり入ったケーキに注目。 陶器製のティーポットなども食卓に並んでいる。

 

ロケ地

Cottingley, West Yorkshire

(学校の場面など)

Ramsgill, North Yorkshire

(コティングリーの不思議な小川の場面)

Keighley Railway Station, West Yorkshire

(Cottingley駅の場面)

Didcot Railway Centre, Oxfordshire

(列車内の場面)

www.didcotrailwaycentre.org.uk

Pirbright, Surrey

(コナン・ドイルのカントリーハウスWindelsham Manorとして)

アフリカ探検家Sir Henry Stanleyによって建てられた

Wimbledon Theatre, London SW19

(ピーターパンを上演していたDuke of York劇場として)
93 The Broadway,London SW19 1QG

Hackney Empire Theatre, London

(フーディーニが公演していたHippodrome Theatreとして)
Mare Street, Hackney, London E8 1EJ

キャスト

Elizabeth Earl .... Frances Griffiths(エルシーの従妹)
Florence Hoath .... Elsie Wright (フランシスの従姉)

Paul McGann .... Arthur Wright (エルシーの父)
Phoebe Nicholls .... Polly Wright (エルシーの母)
Peter O'Toole .... Sir Arthur Conan Doyle (作家)
Harvey Keitel .... Harry Houdini (魔術師)

Bill Nighy .... E.L. Gardner (神智学協会)
Bob Peck .... Harry Briggs(コティングリーの地主)
Anton Lesser .... 顔に傷のある伍長
Tim McInnerny.... John Ferret (新聞記者)
Peter Mullan .... Farmer軍曹(神智学協会に出席していた軍人)
Jim Wiggins .... Albert(郵便配達員)
David Calder .... Harold Snelling(写真鑑定専門家)
Anna Chancellor .... ピーターパン役の女優
Mel Gibson .... Francesの父

キャストについて補足

フーディーニ役に『ピアノ・レッスン』『レザボア・ドッグズ』のハーベイ・カイテル

エルシーの母を演じたフィービー・ニコルズは監督の妻で、チャールズ・スターリッジ監督作品には常に出演している。

フランシスの父としてメル・ギブソンがカメオ出演している。この映画の製作に携わっているのがメル・ギブソンの会社ICONプロダクションだから。
www.icon-online.com

劇中劇のピーターパンを演じたのは、『フォーウェディング』の"アヒル顔"、及び『高慢と偏見』のビングリー姉妹ことアナ・チャンセラー。

神智学協会のガードナー氏を演じたのは『スティル・クレイジー』、『シャンプー台の向こうに』のビル・ナイ

参考資料とソフト

imdb.com/title/tt0119095/

http://www.fairytalemovie.com/

James Randi Educational Foundation
The Case of the Cottingley Fairies
www.randi.org/library/cottingley/

The Arthur Conan Doyle Society Home Page
www.ash-tree.bc.ca/ACDFAIRIES.html

www.mkrupa.freeserve.co.uk/fairies.htm
www.chriswillis.freeserve.co.uk/cottfair.htm

ソフト

国内盤DVD

サウンドトラック

原作書籍:_The Case of the Cottingley Fairies_
Joe Cooper (著)

(1997年 イギリス 99)


 

『妖精写真』 Photographing Fairies (1997)

監督:Nick Willing
脚本:Chris Harrald
原作:Steve Szilagyi

Story

1912年新婚旅行先のスイスで最愛の妻を目の前で亡くし、生きる希望を失った若き写真家チャールズ。そんな彼のロンドンのスタジオに一枚の奇妙な写真の鑑定が持ち込まれる。それは森で戯れる妖精とそれを見つめる少女の写真だった。初めは疑っていたものの、鑑定の結果本物であると確信した彼は、憑かれたようにコティングリー村へと旅立つ。現世とあの世の使者であると伝えられる妖精。その神秘に魅せられた彼は、次第に現実を見失っていくのだった・・・

1917年のコティングリー妖精写真事件をもとにした物語。

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コティングリー妖精事件(1917)

この事件を元にした作品に『フェアリーテイル』がある。

チャールズのスタジオ(ロンドン)

住所は14TempleLane。
妻の死という辛い思い出を忘れるためか、まもなく始まった第一次世界大戦では従軍カメラマンとして働き、そこで助手のロイに出会う。

神智学協会

神秘的なものへの関心から、降霊会が催されたりしている。コティングリーの妖精写真も最初はここに持ち込まれた。
シャーロック・ホームズの作者として有名なSirアーサー・コナン・ドイル、少女たちの母もこの神智学協会の会員だった。

パブ

チャールズは村のパブに食事を摂りに出かけるが、出されたのはへんな小鳥の丸焼きにじゃがいもといった奇妙なひと皿。

ロケ地

Greenwich Maritime Museum

Dorney Court,Buckinghamshire

スイス(ユングフラウ、インターラーケン、Hotel Falken)

 

キャスト

Toby Stephens .... Charles Castle
Emily Woof .... Linda (妖精を見た姉妹の子守り)
Ben Kingsley .... Templeton牧師 (妖精を見た姉妹の父)
Frances Barber .... Beatrice Templton (
妖精を見た姉妹の母)
Phil Davis .... Roy (カメラ助手)
Rachel Shelley .... Anne-Marie
Edward Hardwicke .... Sir Arthue Conan Doyle
Hannah Bould .... Clara Templeton(
妖精を見た姉妹)
Miriam Grant .... Ana Templeton (
妖精を見た姉妹)

参考資料とソフト

VHS(輸入版・字幕なし)

原作:
_Photographing Fairies_by Steve Szilagyi

『妖精写真』スティーヴ・シラジー(早川書房刊)

(1997年 イギリス 106分)


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