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タイトル*お


『オスカー・ワイルド』 Wilde(1997)

監督:Brian Gilbert
脚本:Julian Mitchell

Story

19世紀末に登場しイギリス文学史上最もスキャンダラスでセンセーショナルな生涯を送った作家のひとりオスカー・ワイルドも家庭では良き父、良き夫として幸せな生活を送っていた。しかしカナダの名家出身の青年ロバート・ロスとの出会いを皮切りに、クインズベリー侯爵の三男アルフレッド・ダグラスの美貌に溺れたワイルドは破滅への道をたどることになる・・・。

 

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登場する作品

『ウィンダミア夫人の扇』『真面目が肝心』などのワイルドの手による有名な戯曲の上演風景、そして幼い息子たちに聞かせる童話『わがままな大男』が挿入され、物語に深みを加えている。2度目の恋人ジョン・"グレイ"がふともらしたひとことから『ドリアングレイの肖像』の着想を得るシーンも。獄中でボジーに宛てて書いた手紙が、のちに『獄中記』となる。

ワイルドのセクシュアリティ

『ウィンダミア夫人の扇』初日の舞台挨拶でワイルドは胸に緑のカーネーションをつけて現れるが、これはゲイの暗喩でもある。Cadgan Hotelのワイルドの机の引き出しには若い男性のセミ・ヌード写真がどっさり。

www.cadogan.com

逮捕された時に手にしていたのは、オーブリー・ビアズリーらが参加していた「Yellow Book」という当時有名な雑誌。

アルフレッド・ダグラス(ボジー)

ボジーもオックスフォード在学中、学友にその性癖をばらすと脅迫されていたことがある。モードリン・コレッジを中退しなければならなかったのも、その性癖が原因だったとか。のちにワイルドもアルフレッドとチャーリーというふたりの青年にボジー宛ての手紙で脅迫される。ワイルド自身は意にも介さなかったが。
ボジーの兄はローズベリー大臣のもとで秘書として働いていたが、同時に大臣の愛人でもあった。このことで父の不興を買って射殺される。

ワイルドとボジーの容貌

晩年の太った(本物の)ワイルドの写真や「パンチ」誌に描かれた戯画に、主演のスティーブン・フライの映像がダブってドキリとした。ジュード・ロウは、顔立ちが似ているというわけではないのだが、写真として残っている実際のアルフレッド・ダグラスの服装や、倣岸な雰囲気をよく再現している。「銀行の残高など気にしないのが紳士だ!」

ロバート・ロス

最初の恋人だったロバート・ロスはのちにカトリックに改宗し、ワイルドの出獄後も変わらぬ友情で落魄した彼を迎え、生涯親友でありつづけたという。ワイルドの死後にはその遺稿・遺産を管理し1908年に全15巻の全集を編集・発行した。これは現在ワイルド研究者にとって定本になっている。1918年に世を去り、遺言によってワイルドの墓に埋葬されることになる。

スペランザ

「今こそ英国人の偽善の仮面を剥いでやるのよ!」
男色裁判の末に国外逃亡を薦められる息子ワイルドに、スペランザはこう言って励ました。長い間イギリスからの圧政と差別に苦しんできたアイルランド人の情熱に満ちた台詞である。

ヴィクトリア朝ファッション

レースをふんだんに使用した華麗なヴィクトリア朝ファッションにも注目。特に息子のシリルとヴィヴィアンの子供服が素敵。カットワークの美しいベビー服、赤ちゃんの入浴用の銅製のバスタブなども。クリスマスに家族で囲む食卓にはクラッカーが用意され母子で引っ張り合って楽しむ。

ロケ地

ロケはロンドンの中でもヴィクトリア朝の壮麗さを残す地域を使って行われたという。

Magdalen College, Oxford University

ワイルドが実際に学んだ場所。WebSite:Magdalen College

Oxford Prison

Brighton, EastSussex

Lincorn's Inn, London

四大法学院のひとつ。オールドホールや1518年建造のゲストハウスなどの歴史的建造物は、第二次大戦をくぐりぬけて今に残っている。この法学院の出身者には、トマス・モア、オリヴァー・クロムウェル、ウィリアム・ベン、ジョン・ダンらがいる。

Middle Temple, London

Cadogan Hotel, London

75 Sloane Street. London SW1X 9SG
www.cadogan.com

Somerset House, London

Borough Market, London

Battersea Park, London SW11

Lulworth, Dorset

Studland beaches, Dorset

Swanage Pier, Dorset

Knebworth House, Hartfordshire

The National Liberal Club

Queen's Royal Park, Queen Street,Kent

Luton Hoo, Bedfordshire

Houghton Lodge Gardens, Stockbridge, Hampshire

Test川脇に建つ18世紀のコテージで、BBCTVの"Murder at the Vicarage(Agatha Christie)"など、数多くの作品のロケ地に使われてきた。庭園は私有の庭園としてハンプシャーで最も美しいもののひとつ。
1エーカーのキッチンガーデン(水耕栽培施設も)では、野菜、フルーツ、ハーブなども栽培されている。トピアリーの美しい'Peacock Garden'も。

 

キャスト

Stephen Fry .... Oscar Wilde
Jude Law .... Lord Alfred Douglas (ワイルドの恋人・通称Bosie)
Vanessa Redgrave .... Speranza(Wildeの母)
Jennifer Ehle .... Constance Lloyd (ワイルドの妻・名門Lloyd家の出)
Michael Sheen .... Robbie Ross (ワイルドの最初の恋人で生涯の友・カナダ人)
Zoe Wanamaker .... Ada (ワイルドの友人・愛称は”スピンクス”)
Tom Wilkinson .... Marquess of Queensberry (ボジーの父)
Gemma Jones .... Lady Queensberry (ボジーの母)
Judy Parfitt .... Lady Mount-Temple (Constanceの友人)
Ioan Gruffudd .... John Gray (ワイルドの2番目の恋人・大工の息子で文学を志す若者)
Matthew Mills .... Lionel Johnson (ボジーの従兄弟)
Jack Knight .... Cyril Wilde (ワイルドの長男)
Laurence Owen .... Vyvyan Wilde (ワイルドの次男)
Mark Letheren .... Charles Parker (テイラーの館の従僕・弟は厩係)
Orlando Bloom

 

参考資料とソフト

参考資料

imdb.com/Title?0120514

www.oscarwilde.com

『オスカー・ワイルド全集』西村孝次・訳/青土社
・・・現在絶版?

『獄中記』
オスカー・ワイルド/田部 重治・訳/角川文庫ソフィア(1998/04/01)

『オスカー・ワイルドの生涯』
平井博・著/松柏社

『オスカー・ワイルドの生涯―愛と美の殉教者』
山田 勝・著/NHKブックス(1999/11/01) 日本放送出版協会

ユリイカ 第32巻第6号―詩と批評 (32)
単行本 (2000/04/01) 青土社

『幸福な王子―ワイルド童話全集』
オスカー・ワイルド/西村孝次・訳/新潮文庫(1968/01/01)

ソフト

国内盤DVDは未発売。
海外盤DVD:米盤(リージョン1)英盤(リージョン2・PAL)

オリジナル・サウンドトラック

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(1997年 イギリス 117分)


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