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『英国王のスピーチ』The King's Speech (2010)


監督:トム・フーバー
脚本:デヴィッド・サイドラー

Story

吃音症に悩むヨーク公アルバート。父ジョージ5世の代理で大英帝国博覧会閉会式で演説を行ったが、大観衆の前で言葉が出てこず演説は悲惨な結果に終わった。妃のエリザベスに促されアルバートは言語聴覚士ライオネル・ローグの治療を受け始める。ローグ氏の型破りな治療法に最初は反発していたものの、やがて二人の間には信頼感が芽生えてゆく。
父王の逝去によりアルバートの兄がエドワード8世として即位したが、離婚歴のあるアメリカ人の人妻シンプソン夫人と結婚するために王位を降りてしまい、アルバートが新王ジョージ6世として即位することに。
ヒトラーの台頭により不穏な空気が流れていたヨーロッパでついに第二次世界大戦が勃発。新王ジョージ6世は国民を鼓舞する演説を行うことになったが…

受賞歴

英アカデミー賞:作品賞、英国作品賞、主演男優賞(コリン・ファース)、助演男優賞(ジェフリー・ラッシュ)、助演女優賞(ヘレナ・ボナム=カーター) 、オリジナル脚本賞(デヴィッド・サイドラー) 、作曲賞(アレクサンドル・デプラ)
第83回米アカデミー賞:作品賞、主演男優賞(コリン・ファース)、監督賞(トム・フーパー)、脚本賞(デヴィッド・サイドラー)
ゴールデングローブ賞:主演男優賞(コリン・ファース)

Check!

ジョージ6世

(Albert Frederick Arthur George Windsor、1895年12月14日生〜1952年2月6日没、在位:1936年12月11日〜1952年2月6日)
ヨーク公ジョージ(後のジョージ5世)とメアリー妃の次男で、現在の女王エリザベス2世の父。
子供のころ乳母に苛められたり、無理に左利きや脚の形を矯正されたことが原因で吃音になったと言われている。
映画の中でも言及されているが、第一次世界大戦にも従軍していた。
映画で妻のエリザベス妃がプロポーズを二度断ったと言っていたのは事実。エリザベス妃はスコットランドのストラスモア伯爵家の令嬢で旧姓はエリザベス・バウエス=ライオンElizabeth Bowes-Lyon。結婚式は1923年にウェストミンスター寺院で行われた。
1936年12月12日にセント・ジェームズ宮殿で即位式、1937年5月12日にウェストミンスター寺院で戴冠式を行った。
映画で医者に勧められて(リラックスするからと)煙草を吸うようになったと言っていたが実際にジョージ6世はヘビースモーカーで、後に発病した肺癌は彼の命を縮めることになる。
第二次世界大戦が始まるとロンドンはドイツ軍によるたび重なる空襲により非常に危険な状態になったが、国王夫妻は「国民が危険に晒されているのに君主である自分達が逃げ出すことはできない」とロンドンから疎開せず国民を励まし続けた。ヒトラーはバッキンガム宮殿が空爆された際も平然としていたエリザベス妃を「ヨーロッパで最も危険な女性」と言ったらしい。
ジョージ6世はサンドリンガムで就寝中に冠状動脈血栓症により56歳で死去、長女がエリザベス二世として即位した。妻のエリザベスは女王の母として国民に「クイーンマザー」と呼ばれ愛され続け、2002年3月30日 ウィンザー城で101歳で亡くなった。

エドワード8世

(Edward Albert Christian George Andrew Patrick David Windsor、1894年6月23日生〜1972年5月28日没、在位:1936年1月20日〜1936年12月11日)。
ヨーク公ジョージ(後のジョージ5世)とメアリー妃の長男、家族からは洗礼名であるDavidの名で呼ばれていた。弟のジョージ6世同様、幼少期に乳母から虐待を受けていたらしい。
プレイボーイとしても有名。映画の中で「レディ・ファーネスとは別れた」と言及されているのはファーネス子爵夫人テルマのことで、後に彼女が書いた暴露本はベストセラーになった。シンプソン夫人はこのテルマから王子に紹介された。
1931年頃から離婚歴のある人妻ウォリス・シンプソンとの交際が始まる。アメリカ人なのはともかくとして、将来の国王=英国国教会の首長となる彼が離婚歴のある人妻を妃に迎えるなんてとても許されることではなかった。父ジョージ5世の逝去に伴い即位はしたが、戴冠式は行わないまま12月11日にBBCのラジオ放送を通じて退位を発表し「王冠を賭けた恋」として物議をかもした。
1937年にウィンザー公爵(The Prince Edward, Duke of Windsor)の称号を与えられ、同年5月ウォリスと結婚。
1937年10月にウィンザー公夫妻は英国政府の制止を振り切りヒトラーの招待でナチス・ドイツを訪問し、ヒトラーの別荘があるベルヒテスガーデンに滞在した。ウィンザー公のヒトラーへの接近や親独的な態度が警戒され1940年8月にバハマにおける総督に任じられ現地に赴任した。映画でジョージ六世の対独戦争開始時のスピーチをラジオで聞いていた時、夫妻はバハマにいた(南国の開放的な建物の中にいる様子が描かれている)。

「王冠を賭けた恋」だったが、映画の中でウォリスがエドワード8世との交際中に三股かけていたことも言及されている。ウォリスは1936年からナチスの駐英ドイツ大使ヨアヒム・フォン・リッベントロップとも愛人関係にあり、エドワード8世の退位前から度々密会していた中古車セールスマンのガイ・トランドルguy trundleとも愛人関係にあったと2003年にイギリス政府から発表された。ウィンザー公夫妻がナチスと接近していたのもウォリスの愛人がナチスだったことも関係していたらしい。ナチスへの協力の見返りにジョージ6世を廃位させエドワードを国王として返り咲かせるという計画もあったそうだ。

ジョージ5世

(George V, George Frederick Ernest Albert Windsor, 1865年6月3日〜1936年1月20日没、在位1910年5月6日〜1936年1月20日)
ジョージ5世は二男だったが長男は祖母ヴィクトリア女王の在位中に肺炎で死んでいたため王位についた(この兄クラレンス公アルバート・ヴィクターは切り裂きジャックの犯人という説もあった)。
ジョージ5世は、王家の家名をドイツに由来する「サクス=コバーグ=ゴータ家」から「ウィンザー家」に改名した。また、映画の中でも描かれているようにラジオを通して戦時下の国民を励ましていた。また、映画の中で言及されていた通り切手集めに凝っていたらしい。

ジョージ五世のシルバー・ジュビリー(在位25年)記念マグカップ

ライオネル・ローグLionel Logue(1880-1953)

オーストラリア アデレード生まれ。祖父のエドワード・ローグはアイルランド ダブリンからの移民でビール醸造所を経営していた。オーストラリアのパースでスピーチ等を教えており、第一次大戦後は戦争後遺症で言語障害を患った元兵士たちの治療に従事した。1924年に一家でイギリスに渡り、1926年にロンドンで言語聴覚士として開業。国王の吃音治療への貢献として1937年に勲章Royal Victorian Orderが、1944年にはCommanderの勲章が授けれらた
映画ではローグとの出会いから演説が成功するまでの時間経過が短く描かれているが実際には彼らの出会いはもう少し前で、1927年にオーストラリア・キャンベラで開催された連邦議会の開会の辞は、ほぼ滞りなくこなせたそうだ。

大英帝国博覧会(British Empire Exhibition 1924〜1925)

ヨーク公アルバートは1925年のウェンブリースタジアムでの閉幕スピーチを行ったが、緊張のあまり言葉が出てこなかった。映画はこの場面から始まる。大英帝国博覧会は英連邦と植民地合わせて58カ国が参加、2700万人の観客を集めた大イベントだった。

Bovril(ボブリル)

20世紀前半のロンドンの街並みが描かれているが、壁にBovrilのポスターが。Bovrilはペースト状の牛肉エキスで、お湯で溶かして飲んだり、スープに入れたりトーストに塗ったりして食べられている。ポスターの文言にあったようにBovrilでインフルエンザが治るかどうかは謎だ。
http://www.bovril.co.uk/

コーギー犬

王女たち(エリザベスとマーガレット)が可愛がっているのはウェルシュ・コーギー。後にエリザベス二世として即位してからも同じ犬種を愛玩している。

シェイクスピア

イギリス人、そして英連邦の一員であるオーストラリア人にはシェイクスピアが身近なものとして浸透している。ヨーク公アルバートがヘッドフォンで大音響の「フィガロの結婚」を聴きながら朗読させられたのは「ハムレット」の有名な台詞To be or not to beの部分。
また、ライオネルがオーディションを受けに行って「リチャード三世」の冒頭部分「今や我らが不遇の冬(Now is the winter of our discontent)」の台詞をしゃべる。
ライオネルが子供とキャラクター当てゲームをしていた際に演じたのは「テンペスト」のキャリバン。
That, if then I had waked after a long sleep, will make me sleep again; and then, in dreaming, the clouds me thought would open and show riches ready to drop upon me; that, when I waked I cried to dream again.
キャラクター当てゲームの際に子供が「マクベス・ザ・スコティッシュプレイ?」「オセロだよ」 と言う場面があるが、「マクベス」はその名を口にすると不吉なことが起こるという迷信があるため、舞台関係者は「スコティッシュプレイ」とだけ言う習慣がある。

マザーグース(Nursery Rhymes)

ヨーク公アルバートの吃音を直す訓練に、「ジャックとジル(Jack and Jill went up the hill...)」や
「ディンドン鐘が鳴る(Ding Dong, Bell)」等マザーグースの歌がいくつか用いられていた。

「ジョージ三世のような狂気の王になってしまう」

ヨーク公が先祖のジョージ三世について言ったセリフ。ジョージ三世(1738-1820)は晩年認知症になり、長男(後のジョージ4世)が摂政皇太子として公務をこなしていた。ジョージ三世を描いた映画としては『英国万歳!』The Madness of King George(1994)等がある。

バルモラル城でのパーティ

兄エドワードの招待でヨーク公夫妻は車でスコットランドのバルモラル城に向かう。バーティーはスコットランドの民族衣装であるキルトを着てスポーラン(ポシェットのような小さいバッグ)を提げている。
バルモラル城は14世紀末の建造で、ヴィクトリア女王の時代にイギリス王室の所有となった(イギリスの国有財産ではなく、私的財産)。現在も王室一家は毎年休暇をここで過ごしている。

Balmoral castle
Ballater, AB35 5TB
http://www.balmoralcastle.com/


実際のバルモラル城

ライオネル・ローグの自宅

ローグ家のロンドンの自宅のインテリアはバーリーツイストの装飾が施された椅子等、庶民に好まれたオーク材の家具が中心(もう少し上の階級はマホガニー張り等を好んだ)。

戦時下のロンドン

サイレンが鳴ると通りにいた人たちは地下鉄の駅の中に逃げ込む様子が描かれている。当時地下鉄駅は防空壕として利用されていた。バッキンガム宮殿のガラスにも飛散防止テープが貼られている。

サンドリンガムハウス(Sandringham House)

サンドリンガムハウスは1862年からイギリス王室の私邸となっているノーフォークにある邸宅。ヨーク公アルバートはこの屋敷で生まれ、亡くなったのもまたこの屋敷。1936年に兄である皇太子が飛行機で乗りつける場面が登場する。父王ジョージ5世が亡くなったのもこの屋敷。
http://www.sandringhamestate.co.uk/

クリスマスのラジオ放送

ジョージ5世がクリスマスにラジオ放送を行う場面があるが、現在エリザベス二世も毎年クリスマスにスピーチを行っている。
ウェストミンスターアビー/ウェストミンスター寺院(Westminster Abbey)

玉座「エドワード王の椅子(King Edward's Chair)」

戴冠式の準備をしている際にライオネルが玉座に座ってしまう場面がある。玉座の下には1296年にエドワード1世がスコットランドから奪ってきた有名な「スクーンの石」が置かれている。スクーンの石は1996年にスコットランドに返還されエディンバラ城に鎮座している。
ライオネルの「チョーサー、ヘンデル、ディケンズの上を歩くとは」という台詞は、彼が南翼廊にある「詩人のコーナー(poets' corner)」と呼ばれる文豪や芸術家を埋葬している場所を歩いてきたため。
http://www.westminster-abbey.org/

「アルバートという名はドイツ的過ぎる」

即位にあたって「アルバートという名はドイツ的過ぎるからだめだジョージはどうか?」とチャーチルに言われる。
ジョージ1世からヴィクトリア女王までのハノーファー朝はドイツのハノーファー公国の家系で、王妃もドイツから迎えることが多かったため血統的にはほとんどドイツ人と言ってもよかった(初代のジョージ一世は英語が話せなかった)。ヴィクトリア女王の死後は、亡き夫アルバート公の家名を取って「サクス=コバーグ=ゴータ朝」と称されていた。
ジョージ5世は、第一次世界大戦中に王家の家名をドイツに由来する「サクス=コバーグ=ゴータ家」から「ウィンザー家」に改名した。

ロケ地

Battersea Power Station, Battersea, London, England

…BBCラジオのコントロール室として

Elland Road Football Stadium, Leeds, West Yorkshire, England

…冒頭の場面(1925年のウェンブリースタジアム British Empire Exhibition at Wembley Stadium) サッカーのリーズユナイテッドのスタジアム

Odsal Stadium(Grattan Stadium), Odsal, Bradford, West Yorkshire BD6 1BS

…冒頭の場面(1925年のウェンブリースタジアムとして

ラグビーチームBradford Bullsのホームスタジアム
http://www.bradfordbulls.co.uk/
http://www.odsal.com/

Bloomsbury Ballroom, Victoria House, 37-63 Bloomsbury Square, WC1

…ローグ氏がリチャード三世を演じたオーディション会場

Harley Street, Marylebone, London, England

…ローグ氏の診察室がある通り。この通りは医者やセラピストが多く住んでいることで有名。

33 Portland Place, London, England

…ヨーク公邸(実際はハイドパークコーナー近くの145 Piccadillyにあった)、またローグ氏の診察室内部として
http://www.33portlandplace.co.uk/

Iliffe Street, Elephant and Castle, London SE17

…ローグ氏のケンジントンにある自宅として

Hatfield House, Hatfield, Hertfordshire, England

Knebworth House, Stevenage, Hertfordshire, England

…バルモラル城でのパーティーの場面

Cumberland Lodge,Windsor Park

…ジョージ5世の臨終の場面

Avenue Garden, Regent’s Park, London NW1

…アルバートとローグ氏が公園を散歩する場面

Draper’s Hall, Throgmorton Street, London EC2

…セント・ジェームズ宮殿として(1936年の王位継承評議会でヴィクトリア女王等これまでの英国王たちの肖像画に圧倒される場面)

Ely Cathedral, Ely, Cambridgeshire, England

…戴冠式の準備の場面、Westminster Abbeyとして

Lancaster House, The Mall, St. James's, London, England

…バッキンガム宮殿の内部として。開戦時のスピーチのために長い廊下を歩いて行く場面

Englefield House, Theale, Reading, Berkshire, England

…バッキンガム宮殿として

Old Royal Naval College, Greenwich, London, England

…バッキンガム宮殿として

Queen Street Mill Textile Museum, Burnley, Lancashire, England

…工場の労働者たちが国王のスピーチに聞き入る場面

Don Valley Stadium, Sheffield, South Yorkshire, England

Elstree Studios, Borehamwood, Hertfordshire, England

Pullens Estate, Southwark, London

6 Fitzroy Square, W1, London

Windsor and Eton Central Station, Windsor, Berkshire, England

キャスト

Colin Firth ... ヨーク公、後にジョージ六世
Helena Bonham Carter ... ジョージ六世妃エリザベス
Freya Wilson ... エリザベス王女(後のエリザベス二世)
Ramona Marquez ... マーガレット王女

Geoffrey Rush ... ライオネル・ローグ 言語聴覚士、オーストラリア人
Jennifer Ehle ... Myrtle Logue ライオネルの妻
Calum Gittins ... Laurie Logue ライオネルの息子
Dominic Applewhite ... Valentine Logue ライオネルの息子
Ben Wimsett ... Anthony Logue ライオネルの息子

Michael Gambon ... ジョージ五世
Claire Bloom ... ジョージ五世妃 メアリー・オブ・テック

Guy Pearce ... エドワード八世
Eve Best ... ウォリス・シンプソン

Derek Jacobi ... カンタベリー大司教

Timothy Spall ... ウィンストン・チャーチル(第二次大戦の開始時に海軍大臣)
Anthony Andrews ... スタンリー・ボールドウィンStanley Baldwin 、首相(在任期間 1923年-1929年、挙国一致内閣:1935年 - 1937年)。
Roger Parrott ... ネヴィル・チェンバレン首相(在任 1937年5月28日 - 1940年5月10日)。

参考資料とソフト

http://www.imdb.com/title/tt1504320/

http://kingsspeech.gaga.ne.jp/

http://www.kingsspeech.com/

 


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