『スライディング・ドア』 Sliding Doors(1998)

監督・脚本：Peter Howitt（レストランの場面でカメオ出演している）

Story

もしもあの時の地下鉄に滑り込めていたら・・・？乗り遅れていたら・・・？二つの可能性から展開する物語が同時進行させて、主人公が辿る運命的な恋の行方を描く。

広告代理店のエグゼクティブとして働くヘレンは、作家のタマゴの恋人ジェリーと2年半同棲していた。ところがあるひひょんなことから会社をクビになってしまい、帰りの地下鉄のドアを境に運命の歯車が回り出す。電車に間に合ったヘレンは自宅で恋人の浮気現場を目撃してしまい、傷つきながらも新しい恋に踏み出す。間に合わなかったヘレンはしだいに恋人の不実に気付き始める。やがて驚くべき結末が・・・
片方のヘレンは髪をバッサリ切り金髪に染め、もう片方は髪の長いままと区別しやすい。

Check!

地下鉄の風景

Helenがあわてて乗ろうとした地下鉄は新型車両なので、旧型車両に見られた「吊り玉」のかわりにカラフルな手すりがついている。

衣装

Helen (Gwyneth Paltrow）の衣装はカルバン・クライン、パワフルでセクシーなLydia(Jeanne Tripplehorn）の衣装はダナ・キャラン。それぞれ違ったタイプのキャリア・ウーマンを演出している。

モンティ・パイソン

「宗教裁判」スケッチが頻繁に引用されている。
"Nobody expects the Spanish Inquisition."Series 2 Episode 2 (第15話)
「まさかスペインの宗教裁判にかけられるなんて思ってもみなかっただろうが！」といいながら、赤い式服に身を包んだ宗教裁判官たちが唐突に現れるスケッチ。

親友アンナの家

彼女の職業がイラストレーターということもあってか(?)、室内の色づかいがとても洒落ている。落ち着いた赤い壁・青い壁・・・読んでる新聞はイブニング・スタンダード（ロンドンで街頭売りされている夕刊紙）。

電話の再ダイヤル機能

イギリスでは、ある番号をまわすと最後にかかってきた相手の電話を知ることができるらしい。映画『リトル・ヴォイス』にも、留守中にかかってきた電話番号を調べる場面が。
携帯電話もかなり普及している様子だが、それでも日本のものよりはまだサイズが大きい。（『リフ・ラフ』に出てきたようなトランシーバーのような携帯よりはだいぶ小型化されたが）

その他：

自棄になったHelenが洒落たレストランBertorelli'sのカウンターでビールをラッパのみする場面。カウンターに置いてあるリー＆ペリンソースはトマトジュースに入れるためにおいてある？(イギリス人はリー＆ペリンソースをトマトジュースに入れるのが好き)
ジェリーがリディアとドーセットに取材旅行で行ってしまった後のベルトレッリのシーンで、突然花を貰った女性が恋人に『浮気してるんじゃないの？』と問い詰めるシーンがありまが、この女優はJohn Hannahの実の奥様ジョアンナ・ロス。(情報提供：デヤたんさん）
同じくBertorelli'sでの場面。ヘレンと再会したジェームズが近々レストランをオープンするというクライブを「家に帰ればボーッと"ベイウォッチ"を見てるようなわびしい男だ」と紹介。「Baywatch」はカリフォルニアの海辺で展開するライフ･セイバーたちをめぐるアメリカの人気青春ドラマ。
軽食屋にパート勤めするHelenが店の客に「ハンバーガー屋で働いていない時は何やってるの？（字幕）」とからかわれる場面：ハンバーガーが「Mad Cow Burger」と表現されて笑える。狂牛病(=Mad Cow Disease）騒ぎも一段落したようだが・・・
自分のキャリアを活かして事務所を開くことにしたHelenは、ナット・ウェスト銀行で小口融資（Small Buisiness Loan）を申し込む。ベンチャービジネスにも貸し渋りしないのは、英国が好景気だから？
ボートを漕ぎながらジェームズが子ども時代のガールフレンドが自分を捨ててゲイリー・グリッターに走ってしまったと告白。ゲイリー・グリッターはその名の通り、ラメラメ輝く往年のイギリスのビジュアル系(?)歌手。
Jamesが社長をつとめる会社は受付嬢がいるような立派なビルディング。

ロケ地

＊ビッグベンのそびえたつテムズ河を見下ろす映像から物語は始まり、オフィスに向かうHelenが降りたのは地下鉄Embankment駅・・・と、ロンドンの風景が好きな方にはこたえられない映像！
投稿コーナー：映画の舞台を訪ねてに多数素敵なコメントが寄せられていますので、ぜひそちらもあわせてご覧ください。

ロンドンの地下鉄（Waterloo & City Line）

Albert Bridge, Battersea, London

ヘレンが何かあるとよくたたずんでいたのがこの橋です(情報提供：Hittyさん）

冒頭のシーンは、南側のバターシー・パークの川辺からチェイニー・ウォークのほうに向かって橋を撮ったものです(情報提供：デヤたんさん）

Chelsea & Westminster Hospital, Fulham Rd, London

撮影は5階(イギリスの4階)で行われており、エレベーターの真横を通る場面が。(情報提供：デヤたんさん）

Hammersmith Bridge, London

・・・ボートレースの場面（情報提供：Eikoさん)

ドーセットのグローブ・ハウス・ホテル

Bertorelli's restaurant, Charlotte Street (W1)

・・・Gerryと再会したレストラン。隣にOddbins(酒屋, W1T 1HB)の看板も見える。最寄り駅：Goodge street

Fat Boys Diner(298 Bishopsgate, EC2)

・・・アメリカンスタイルのレストラン。

Blue Anchor pub in Hammersmith, London

・・・ボートレースの後、ヘレンたちが飲んでいるパブ（情報提供：Eikoさん)

66 Chiltern Street, London(W1U 4AE)

・・・リディアの会社がある通り

リディアの会社が入っているビルはチルターン・ストリートとパディントン・ストリートの交差点の南東にあり、ヘレンはパディントン・ストリートを東側から歩いてきたことになっています。(情報提供：デヤたんさん）

Lincoln's Inn Fields, London(WC2)

Primrose Gardens, London(NW3)

Kings Road, South Kensington, London

Windsor Castle Pub, London W8

・・・いつもラッセルが居て、ジェリーの相談に幾度となく乗っていたお店です(情報提供：デヤたんさん）

114 Campden Hill Road, London W8 7AR
www.windsor-castle-pub.co.uk

Mas Cafe, Nottinghill, London W11

All Saints Road, London, W11 1HH

　

音楽

人気アーティストの曲がふんだんに使われていることでも話題になった。サントラ盤の曲目リストは以下の通り。

1. Have Fun, Go Mad - Blair
2. Drug Soup - Space Monkeys
3. Turn Back Time - Aqua
4. Good Enough - Dodgy
5. Thank You - Dido
6. Use The Force - Jamiroquai
7. Miracle - Olive
8. On My Own - Peach Union
9. Amateur - Aimee Mann
10. Honky Cat - Elton John
11. Don't Feel Like Cryin' - Abra Moore
12. Call Me A Fool - Those Magnificent Men
13. More Love - Brand New Heavies

キャスト

Gwyneth Paltrow .... Helen Quilley
John Hannah .... James （Helenの新しい恋人）
John Lynch .... Gerry （Helenの恋人・同棲中）
Jeanne Tripplehorn .... Lydia （Jamesの元恋人）
Zara Turner .... Anna （Helenの親友）
Douglas McFerran .... Russell （Gerryの友達）
Paul Brightwell .... Clive （Jamesの友達・レストランを開く）
Nina Young .... Claudia （Jamesの・・・）
Virginia McKenna .... Jamesの母

Zara TurnerとJohn Hannahは、イギリスの人気TVシリーズ『検視医マッカラム』で共演している。

(1998 英＝米 100分）