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タイトル*


『ハイランダー/悪魔の戦士』 Highlander (1986)

監督:Russell Mulcahy
原作:Gregory Widen
脚本:Gregory Widen / Peter Bellwood / Larry Ferguson
撮影:Gerry Fisher
音楽:マイケル・ケイメン/クイーン

Story

1986年のニューヨークでアンティーク・ショップを経営する男、ナッシュことコナー・マクロード。16世紀のスコットランドに生をうけた彼は、首を斬られない限り不老不死でいられる種族のひとりだった。死闘の末最後に残ったものだけが授けられる"力"をめぐって、マクロードとその敵クルガンの闘いが始まった・・・!

 

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"ハイランダー"マクロードの設定

彼自身の台詞を借りれば、コナー・マクロードは1518年にハイランドの小さな村Glenfinnan(*字幕には出ていない)に生まれた。1536年に起きたマクロード一族v.s.フレイザー一族の闘いで、謎の黒騎士(クルガン)に殺されるが息を吹き返し、気味悪がられて一族から追われることに。(この闘いの場面は有名なエラン・ドナン・カッスルで撮影された。Glenfinnanは実際にこの城の近くにある村)

放浪しているうちに出会った同じく不死身のスペイン人(実はエジプト人)ホアン・ラミレス(=ショーン・コネリー)に武士道を習い、不死身の人間を殺すには首を刎ねるしかないと教わる。太古から生き長らえてきたラミレスの武器は、なんと日本刀。紀元前6世紀(!!)に、彼の妻であった日本女性サキコの父が名刀"マサムネ"から鍛造してくれたといういわくつきのもの。結婚しても相手は自分より先に死んでしまうし、子供を作ることもできないとラミレスに諭されるが、コナーはヘザーという女性を妻にする。このあたりのハイランドらしい市場の様子なども楽しい。

スコットランドの風景

タータンを身に纏った戦士たちや、ハイランド・カウ(牛)、市場の様子、バグパイプ・・・コナーたち不死の一族が集まることを、"ギャザリング(gathering)"と表現しているのもスコットランドらしい。

ハギス

コナー・マクロード:「あんたはハギスみたいな男だな。肉を詰めた羊の胃さ」
ラミレス:「胸がむかつくよ」

ハギスはスコットランドの国民食ともいうべき食べ物で、羊の内臓を細かく刻んだものにオートミールなどを混ぜ合わせ、スパイスを効かせて羊の胃袋に詰めて茹でたもの。スコットランド人はこれをこよなく愛しているが、イングランド人を初めとする外国人は敬遠する人が多い。

続編

一作目のヒットから、第二弾、第三弾、さらにはTVシリーズまで登場した人気シリーズ。未見だが2作目はコナーが宇宙人だったことがわかり、3作目では日本にもやってきたとか。3作目もスコットランドロケあり。

『ハイランダー2/甦る戦士』 Highlander II: The Quickening (1991)
TVシリーズ『暗黒の戦士/ハイランダー』Highlander (1992)
『ハイランダー3/超戦士大決戦』 Highlander III: The Sorcerer (1994)
"Highlander: The Raven" (1998)
Highlander: Endgame (2000)

ロケ地:スコットランドのハイランド地方

参考:Scotland the Movie

Skye島(Sron Na Ciche, Trotternish Ridge)
Eilean Donan Castle, Kyle of Lochalsh・・・マクロード一族の居城として
Loch Shiel(Glenfinnan近く) ・・・コナーが泳いでいた湖として
Glen Nevis・・・市場の帰り、ラミレスに"ヘザーと別れろ"と言われた場所
Glen Coe・・・コナーが敵にであった場面
Rannoch Moor
Refuge Bay, Cuartaig, Morar・・・海岸を走っていた場面
Arisaig (near Morar)・・・剣の稽古をしていた場面
Loch Kishorn, Applecross
Torridon
Slioch peak
Glen Uig
Castle Tioram(Loch Moidartほとり)

Brocket Hall, Welwyn, Hertfordshire
www.brocket-hall.co.uk

(他、現代の場面はニューヨークなど)

音楽

クイーンの名曲の数々が、挿入歌として使用されているのが聴きどころ。
"A Kind Of Magic"
"One Year Of Love"
"Who Wants To Live Forever"
"Hammer To Fall"
"Princes of the Universe"
"Gimme the Prize (Kurgan's Theme)"
"A Dozen Red Roses for my Darling"
"New York, New York"

キャスト

Christopher Lambert .... Connor MacLeod / Russell Edwin Nash
Clancy Brown .... Kurgan / Victor Kruger(不死身・Connorを付けねらう敵)

[16世紀ハイランド〜]
Sean Connery .... Juan Sanchez Villa-Lobos Ramirez(不死身・Connorに武士道を教える)
Beatie Edney .... Heather (Connorの恋人)
Billy Hartman .... Dugal MacLeod(コナーのいとこ)
James Cosmo .... Angus MacLeod(コナー助けてくれる)
Celia Imrie .... Kate MacLeod

[現代のNY]
Roxanne Hart .... Brenda J. Wyatt(NY市警鑑識課勤務・Connorと恋に落ちる)
Alan North .... Lieutenant Frank Moran(警部)
Jon Polito .... Det. Walter Bedsoe
Sheila Gish .... Rachel Ellenstein(Connorの秘書)

こてこてのスコティッシュ俳優ショーン・コネリー扮する"ラミレス"は、日本刀を持ったスペイン人で実はエジプト人でもあるというとんでもない設定だが、主人公の師匠として揺るぎ無い存在感を示している。

参考資料・ソフト

Official
http://www.highlander-official.com/

Scotland the Movie

Amazon.com
Soundtrack
Highlander: The Original Scores
Stewart Copeland, Michael Kamen, J. Peter Robinson

Book
Highlander: The Complete Watcher's Guide
by Maureen Russell

(1986年 イギリス 111分)


『八月の誘惑』August (1996)

監督・主演・音楽:Anthony Hopkins
脚本・原作戯曲:ジュリアン・ミッチェル「August」(チェーホフ"ワーニャ伯父さん"より)

Story

舞台は1896年8月、北ウェールズの農園。 老境に差し掛かったヤーヤンは、年老いた母や亡くなった妹の娘ショーンを養い、この農園を維持管理するために、何十年もの間勤勉に働いてきた。 そんなつつましい生活を送るヤーヤンの心の支えとなったのは、都会で大学教授をしている亡き妹の婿ブレイスウェイトの才能を信じ、地所からあがる収入をやりくりして送金してきたことだった。ところが定年退職した教授が若く美しいアメリカ人の後妻ヘレンを連れてヤーヤンの元にやってきたことで、彼の生活は一変してしまった。ヤーヤンは、尊敬に値する教養人と思っていたブレイスウェイトがただのわがままな老人でしかなかったことに失望し、またそんな老人に一生を捧げるにはもったいないと思えるほど若さと奔放な魅力にあふれたヘレンに想いを寄せるようになる。 同時にヤーヤンと親しい医師ロイドも彼女に魅了されてゆく。 ショーンが彼を見つめる視線の熱さに気づきもせず。 やがて田舎暮らしにも倦んだ教授は、無神経にも農場を売り払ってしまおうと提案するのだが・・・

ジュリアン・ミッチェルがチェーホフの「ワーニャ伯父さん(Uncle Vanya)」を翻案した舞台劇「August」を映画化。 アンソニー・ホプキンスが監督・主演・音楽(!)を担当している。

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ウェールズ

この作品の舞台になったのは、イングランドとは異なる文化のルーツを持つウェールズ。 それも南部に比べてより地域色が強いとされている北部ウェールズの片田舎だ。 退官してヤーヤンの元にやってきた教授は、ことあるごとに"都落ち"してきたことを嘆く。 ここの地代だけでは首都ロンドンで生活することはとてもかなわないのでウェールズにやってきたのだが。のちに思いつきで家屋敷を売ったお金でケントあたりに家を買う計画を話すが、ロンドンに程近く豊かな引退生活を送る層が多く住んでいるケントなら、自尊心や対面を何とか保つことができると考えていたのかも。

わがままばかり言う教授にヤーヤンはほとほと手を焼いているが、彼と自分の関係は「まるでイングランドとウェールズのようなものだ」と表現する。

紅茶のある風景

到着したロイド医師をもてなすために、庭で紅茶の準備をする場面が。 戸外にティーセットを持ち出し、焼き菓子も用意されている。 レース編みで縁に重しのビーズがついたジャグ・カバーが愛らしい。

採石場

危険な採石場で働く労働者たちの姿も挿入されている。ウェールズは炭鉱や鉱物の採掘などの産業が栄えた場所でもある。 危険を伴うきつい仕事で、しばしば労働者が事故に巻き込まれることも少なくなかった。 ロイド医師は瀕死の重傷を負った若者が目の前で息絶えるのをこれまでにも何度も見てきたに違いない。 そういった辛さを酒で紛らしたり、美しいヘレンを見つめることで紛らわしかったのかもしれない。

女性参政権運動

ヤーヤンの母は、女性の権利に関する論文を読むのが何よりの楽しみ。

Emmeline Pankhurstらが最初の婦人参政権団体を設立したのが1889年のこと。 この映画の時代は1896年なので、ちょうど社会の関心がこの運動に向けられ始めた時期。
詳しくは>>『5シリングの真実』The Winslow Boy (1999)

朝食・昼食・夕食

教授夫妻がが引き上げればまた元通りの穏やかな生活が戻ってくると喜ぶプロッサーとグウェン。 これまで深夜の二時にお茶を頼まれたりすることが少なくなかったからだ。 「8時に朝食、1時に昼食・・・」は、原語では「Breakfast at eight, Dinner at one, Supper at evening ...」と表現されている。

「またCawlが食べられる」という台詞、Cawlとはウェールズ語でシチューのこと。羊が使われることが多い。

音楽

アンソニー・ホプキンスの特技はピアノ演奏だそう。本作で流れているピアノの旋律も彼の手によるものだろうか。スコアはジョージ・フェントン。

ロケ地

Lleyn Peninsula, Gwynedd(北ウェールズ)

キャスト

Anthony Hopkins .... Ieuan Davies (発音は"ヤーヤン")
Leslie Phillips .... Professor Alexander Blathwaite (大学教授・ヤーヤンの亡き妹の婿)
Kate Burton .... Helen Blathwaite(アレグザンダーの後妻)
Gawn Grainger .... Dr. Michael Lloyd (医師)
Rhian Morgan .... Sian Blathwaite(ヤーヤンの姪・Blathwaite教授の娘)
Rhoda Lewis .... Mair Davies (ヤーヤンの母)
Hugh Lloyd .... Thomas Prosser (ヤーヤンの友人)
Menna Trussler .... Gwen (老メイド)
Susan Flynn .... Rhianon (メイド)
Huw Garmon .... Dafydd Edwards(採石場の労働者)
Rhys Ifans .... Griffiths(採石場の労働者)

 

(1995年 イギリス 90分)

_August-Uncle Vanya_ by Julian Mitchell


『パフォーマンス』 Performance (1970)

注:製作は1968年、イギリスでの公開は1970年

製作・監督・脚本:ドナルド・キャメル
監督・脚本・編集:ニコラス・ローグ
音楽:Jack Nitzsche

Story

ドラッグ、フリーセックス、サイケでユニセックスな時代のロンドン。 ギャングのチャスは仕事上の行きがかりから組織を恨む男たちから襲われ殺人を犯してしまう。 命令に背いて胆道苦行動をとった彼は、今や仲間からも追われる身に。 身を隠すため駅で偶然盗み聞きした会話から、知人を装って半地下のアパートを仮住まいとする。 そこに住んでいたのは引退した元ロック・ミュージシャンというテイラーと彼のガールフレンドたちだった。この奇妙な三人との共同生活を続けるうちに、チャスは次第に今まで知らなかった妖しい世界へとのめりこんでゆく・・・

ローリングストーンズのミック・ジャガー(当時24歳)の、デカダンで妖しいまでの美しさ、ニコラス・ローグらしい幻想感覚あふれる映像が話題になった。

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ボヘミアンなノッティングヒル

ターナーの家は、ノッティングヒルのPowis Square81番地にある。 現在はすっかり地価が上がってお洒落な街になってしまったノッティング・ヒルだが、この当時はボヘミアンな香りが漂っていた街だった。(1950年代には人種対立から暴動まで発生したような物騒な地域だった)

シリング、6ペンス・コイン

ターナーの家で女の子がお駄賃に2シリングねだる場面が。現在はシリング」という貨幣単位は廃止されている。

チャスが電話をかけるために、ターナーたちに6ペンスコインをもらえないかと聞く場面もあるが、12進法の名残である6ペンスコインも現在はなくなっている。

かつては「1ポンド=20シリング、1シリング=12ペンス」と、12進法と20進法を組み合わせた貨幣単位だったが、1971年2月に、「1ポンド=100ペンス」と統一され、同時に12進法の名残であった6ペンス硬貨が廃止された。

同性愛の暗示

テイラーとふたりのガールフレンドたちもバイセクシャルのようだが、他にも同性愛的要素のメタファーが。

ボスの部屋に筋骨隆々とした男が載っている雑誌が散乱しているところ
チャスがジョーイの部下たちに鞭打たれる場面の描写
裸になったギャングたちが床に横たわっているさまは、フランシス・ベイコンの作品に酷似している。

Francis Bacon Image Gallery
www.francis-bacon.cx

参考:Donald Cammell by Maximilian Le Cain
www.sensesofcinema.com/contents/directors/02/cammell.html

その他

銃弾が突き抜けていくシークエンスで、その先に出てきた写真はアルゼンチンの作家ボルヘス(Jorge Luis Borges)。

ベッドでPherberが自分の体を鏡に映している場面で、それがチャスの顔や体の一部のように見える演出で、男女の性の境目があやふやなさまを浮き彫りにしている。

ターナーの恋人役を演じていたアニタ・パレンバーグは、ローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズやキース・リチャーズ、ミック・ジャガーとの恋の噂で知られている。

テーマソングはランディ・ニューマン「Gone Dead Train」。ミック・ジャガーの「Memo from Turner」他、ライ・クーダーのギターの音色も。

 

ロケ地

18 Powis Square, Notting Hill Gate, London

25 Powis Square, Notting Hill, London

Paddington Station, London

チャスがデヴォンにいるおばのもとに身を隠そうとして行った駅。 デヴォンなどイングランド南西部に向かう路線は、このパディントン駅から発着する。

Awards

1999年度英国映画協会によるベスト100作品:48位にランクイン

キャスト

James Fox .... Chas
Mick Jagger .... Turner (引退した歌手)
Anita Pallenberg .... Pherber(ターナーのガールフレンド)
Michele Breton .... Lucy(ターナーのガールフレンド)

Johnny Shannon .... Harry Flowers (チャスのボス)
Anthony Valentine .... Joey Maddocks(対立するギャング・馬券屋)
Kenneth Colley .... Tony Farrell (チャスの友人)

 

参考資料とリンク

imdb.com/Title?0066214

Donald Cammell by Maximilian Le Cain
www.sensesofcinema.com/contents/directors/02/cammell.html

VHS
Soundtrack

書籍:_Performance_ (Bfi Film Classics)Colin MacCabe (著)

 


『針の眼』 Eye of the Needle (1981)

監督:Richard Marquand「スター・ウォーズ/ジェダイの復讐」
脚本:Stanley Mann
原作:ケン・フォレット

Story

第二次大戦末期の1944年春。英国内に潜入していたドイツ軍の敏腕スパイ、コードネーム「針」ことフェイバーは、連合軍のヨーロッパ大陸進攻に関する重大な機密を入手する。総統からの信頼も篤いフェイバーは、自ら証拠写真を届けるべく味方のUボートが待つスコットランド沖を目指すが、彼が乗った船は嵐で難破してしまう。離島に漂着した彼を助けてくれた夫婦のもとで、隙を窺いつつ本国と接触しようと試みるが・・・?

ケン・フォレットのベストセラー小説を映画化したスパイ・スリラー。

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連合国軍の機密

フェイバーは、イーストアングリア地方にある空軍基地に忍び込んで、連合国のヨーロッパ上陸作戦が(フランスの)カレーでなくノルマンディーを目指していることを知ってしまう。事実、このノルマンディー上陸作戦は第二次大戦の趨勢を決めた戦いでもあったので、もしフェイバーがこの情報をドイツ軍に伝えるのに成功していたら・・・というリアルな設定。

イギリスらしい風景

フェイバーは川辺で釣り糸を垂れながら、柳のピクニック・ハンパー(ふたの裏に陶器製のお皿などを固定できる皮ベルト付き)に仕込んだモールス信号機で味方と接触していた。

ナローボートに乗って、Canalの水門を開けて進んだりする場面も。

ルーシーの家庭

ルーシーの実家は裕福そうで、夫のデビッドも戦闘機乗り(スピットファイヤーに乗るはずだった)という空軍の中でも花形だったこともあってか、結婚式後のガーデン・パーティーはとても華やいだ様子。ふたりはクラシカルなオープンカーで新婚旅行に出かけるのだが・・・

スコットランドの孤島に隠棲してからは質素な家に暮らしているが、子供部屋には豪華な木馬が置いてある。持っているテディ・ベアも可愛い。フェイバーがルーシーの子供に読み聞かせていた本は、オスカー・ワイルドの『幸福の王子』。(なぜか字幕では王子でなく"お姫様"となっていた)

原題

「eye of the needle」というのは、針の穴のこと。聖書(マタイ伝)の一節にある言葉で、転じて「不可能な企て」を意味する。

 

ロケ地:スコットランド

参考:Scotland the Movie

Isle of Mull, Scotland
Connel Bridge, Oban・・・ストーム島に渡る途中、バイクを乗り捨てた場所
Oban・・・フェイバーが盗んだボートの持ち主に尋問している場面など

キャスト

Donald Sutherland .... Faber (ドイツ人スパイ"針")

Kate Nelligan .... Lucy
Christopher Cazenove .... David (Lucyの夫・事故で体が不自由に)
Jonathan Nicholas Haley .... Jo (DavidとLucyの息子)

Ian Bannen .... Godliman (Faberを追うMI5部員)

Alex McCrindle .... Tom (ストーム島灯台守)
Stephen MacKenna .... Lieutenant
Philip Martin Brown .... Billy Parkin (Faberと同じ下宿にいた軍人)
Barbara Ewing .... Mrs. Garden (Faberの大家)
George Belbin .... Lucyの父
Faith Brook .... Lucyの母

参考資料・ソフト

DVD

Amazon.Japan
Book
(1)(2)
Audio Book

 

(1981年イギリス112分)


『遥かなる大地へ』 Far and Away (1992)

監督:ロン・ハワード
音楽:ジョン・ウィリアムズ
挿入歌:エンヤ「Book of Days」

Story

1892年のアイルランド西部。貧しい小作人の息子ジョセフ・ドネリーは裕福な地主階級に対する暴動のさなか父を失い、地代が払えないからといって地主の管財人スティーブンに家を焼き討ちされる。 ジョセフは父の敵討ちにと地主のクリスティ氏の屋敷に乗り込んだが、ちょうど家出を企てていた勝気なひとり娘シャノンに誘われ、自分の土地を持つために遥かアメリカへと旅立つのだが・・・
トム・クルーズ&ニコール・キッドマン新婚時代の作品。主要キャストはハリウッド勢で米語なのは致し方ないが、脇にコーム・ミーニーとシリル・キューザックが。

Check!

アイルランド人の土地に対する執着

小作農ジョセフの夢は、いつか自分の土地を持つこと。 瀕死の父が残した言葉も「土地こそ人間の魂だ」 映画『ザ・フィールド』The Field (1990)でも貧しい小作農がみせる土地に対する執着が描かれている。

アイルランド人への差別

最初にやってきたWASP(White, AngloSaxon, Protestant)が社会の中心を占めるアメリカで、後発組のアイルランド移民の地位は大変低かった。「アイルランド人にはろくな仕事がない」という台詞にもあらわれているだろう。

ボストンのアイルランド移民社会

船に乗ったジョセフとシャノンが上陸したのは1892年8月、ボストン港。西部に行く資金を貯めるために、ひとまずボストンに落ち着くことになる。 アイルランド系アメリカ人の希望の星となった故ケネディ大統領もボストン出身ということからもわかるように、ボストンにはたくさんのアイルランド系移民がいた。 中にはケリーのように、後からやってくる移民に仕事を世話したり移民社会を仕切ったりする男たちもいただろう。

パブのある風景

父の敵と狙うクリスティ氏を探すために、ひとり見知らぬパブにやってきたジョセフ。 他の客たちは知らない奴がやってきたと興味深々で、どこから来たのかと注目の的になる。

「金持ちのプロテスタントだとばらすぞ」

「兄妹」ということにしてボストンで暮らし始めたジョセフとシャノン。身分違いの小作人の妹ということにされて立腹するシャノンだったが、ジョセフに「金持ちのプロテスタントだとばらすぞ」と脅され、口をつぐむ。 アイルランド人はほとんどがカトリック教徒だが、支配階級にはプロテスタントもおり、互いに反目しあっていたので、もしばれたら大変なことになる。 シャノンの婚約者スティーブンも、ケンブリッジのトリニティカレッジで学問を修めた(=イギリスに留学した)ということは、彼も"裕福なプロテスタント"だろう。

ロケ地

Dingle Peninsula(Dunquinあたり), Ireland

Temple Bar, Dublin, Ireland

Guinness Brewery, Dublin, Ireland

Kilruddery House, Bray
www.killruddery.com

Ma'am Cross, County Galway, Ireland

アメリカ

キャスト

Tom Cruise .... Joseph Donnelly
Nicole Kidman .... Shannon Christie

Thomas Gibson .... Steven(の婚約者・Christie氏の財産管理役)
Robert Prosky .... Daniel Christie(アイルランドの大地主)
Barbara Babcock .... Nora Christie(Christie氏の妻)
Colm Meaney .... Mike Kelly (ボストンのソーシャル・クラブ経営者)
Cyril Cusack .... Danty Duff
Eileen Pollock .... Molly Kay(売春宿の女主人)
Douglas Gillison .... Dermody (Kellyの使い走り)
Michelle Johnson .... Grace
Wayne Grace .... Bourke(ボストン市会議員・アイリッシュ社会の顔役)
Niall Toibin .... Joe
Barry McGovern .... McGuire(船中で知り合ったアイリッシュ)
Gary Lee Davis .... Gordon
Jared Harris .... Paddy
Brendan Ellis .... Rebel Leader
Brendan Gleeson .... Social Club Policeman

参考資料とソフト

http://us.imdb.com/Title?0104231

DVD

Soundtrack

Far and Away : The Illustrated Story of a Journey from Ireland to America in the 1890s
Bob Dolman/Ron Howard (著)

(1992年 アメリカ 140分)


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