タイトル＊け
監督：ケン・ローチ
原作： Barry Hines「A Kestrel For A Knave」
「ハヤブサは飼い慣らせない。人に服従しないから好きなんだ」
舞台は1960年代後半のヨークシャー地方の炭坑町。主人公のビリーの父親は蒸発、生計を支えるために子供をかまう余裕のない母親と、炭鉱で働く粗暴な兄と３人で暮らしている。運動も勉強も得意というわけではなく、チビでおとなしいビリーは教師にも級友にも馬鹿にされていた。 ある日通りがかった農場でハヤブサの巣を見つけ、雛の餌付けを試み、草原でハヤブサ「ケス」を飛ばせることが彼の唯一の楽しみになっていったが・・・苛酷な環境の中で押しつぶされそうな少年の魂を透徹な視点で描いた秀作。
1999年度英国映画協会によるベスト100作品：７位にランクイン
現在のイギリスでは児童保護の観点から、子供をひとりで家に置き去りにすることは禁じられているが、この時代はまだそういった規制がなかったのだろう。ビリーをひとり置いて母親も兄も夜はクラブに出かける。夕食に「クリスプス（ポテト・チップス）でも買って食べなさい」と小銭を置いて出かけてしまう。
教師の体罰も激しい。子供を並ばせて両掌をCane（棒状のむち）で激しく打ったり、浴びているシャワーを冷水にして閉じ込めたりする。鞭打ちも現在の学校教育では禁止されているはず。
当時は石炭産業が盛んで、特にヨークシャー地方では炭鉱で働く男たちが多かった。ビリーの兄も炭坑夫だった。 それほど高等教育も技術的熟練も必要とされない肉体労働とみなされていたことは、ビリーの就職面接の場面からもわかる。
体育の教師はイングランドの人気サッカー・チームManchester Unitedの赤いユニフォームを着て授業をしている。クラスを半分に分け、自分のチームをManchester Unitedに、他方のチームをSpurs（プレミアリーグTottenham Hot Spurs）に見立てて紅白試合をする。
体育の運動着を買ってもらえないほど貧しかったビリーは、お小遣いを新聞配達のアルバイトで稼いでいた。兄に（競馬の）馬券を買うように頼まれるが、その金でフィッシュ＆チップスを買い食いしてしまう。それが後に悲劇につながるのだが・・・
Hoyland, Nr Barnsley, South Yorkshire
St Helen's County Secondary School, Barnsley, South Yorkshire
Edward Sheerien School, Athersley, Barnsley, South Yorkshire
Skiers Spring Colliery, Hoyland, Nr Barnsley, South Yorkshire
David Bradley .... Billy Casper
Freddie Fletcher .... Jud （Billyの兄）
Lynne Perrie .... Mrs Casper （Billyの母）
Colin Welland .... Mr Farthing
Brian Glover .... Mr Sugden
Bob Bowes .... Mr Gryce
Bernard Atha .... Youth Employment Officer
Robert Naylor .... MacDowell
Eric Bolderson .... Farmer
Joe Miller .... （Billyの母の友人）
Billy Dean .... Fish and Chip店員
Geoffrey Banks .... 数学教師
Duggie Brown .... 牛乳配達人
Trevor Hesketh .... Mr Crossley
David Glover .... Tibbutt
（1969年 イギリス 112分）
書籍：『ケン・ローチ』グレアム フラー(編)
フィルムアート社 単行本(2000/10/01)
Copyright (c)1998
Cheeky All Rights Reserved
当サイトに掲載されている情報・記事・画像など、全ての内容の無断転載を禁止します。
引用される際は、必ず出典として当サイト名とURLを明示してください。