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タイトル*せ


『セカンド・ベスト 父を探す旅』 Second Best

監督:Chris Menges、原作はDavid Cookの小説

■Story

両親から充分に愛されず子供の頃から自分を押さえて生きてきた中年男Grahamは、母親を亡くした後寝たきりとなった父と独身のまま二人暮らし。小さな村で雑貨屋兼郵便局を営んでいる。彼の両親は仲睦まじすぎて子供のGrahamに関心を払わなかったのだ。ある日彼はふと町で養子縁組の広告を見つけ、Jamieという少年との縁組みにあたって適確かどうか審査するためしばらく一緒に過ごすことになった。

Jamieの父は何度も投獄を繰り返したならず者で、妻は夫が男性と浮気したことなどから心を病み自殺していた。Jamieは父親に扶養能力がない(投獄中で)ことから施設に入れられていたが、実の父を恋慕いなかなか心を開こうとしなかった。GrahamはJamieと本当の親子になるためにキャンプに行ったり食事をしたりするのだが・・・

「I won't to be second best, Jamie!」はたしてGrahamは本当の親子になれるのか、それとも実父のセカンド・ベストに甘んじるのか・・・血のつながりのない父と子の葛藤を切ないまでに優しいタッチで描いたこの作品は見る人の心を掴んではなさない。

■Check!

Grahamが働くペリス郵便局:
棚にダイアナ&チャールズの飾り皿が売られている
窓から羊が放牧されているところが見えるほど、のどかな環境

少年への配慮:
Grahamは初めての家庭訪問の日までに心尽くしの子供部屋を用意していた。男の子が喜びそうな車模様のボーダーテープで壁を装飾し、ラリー用の自転車も買っておいた。お茶を飲みながら話そうと、段がさねのアフタヌーン・ティートレイにお茶菓子を盛って待っていた。

Turpin(Grahamの叔父)は、Dairy Milkのチョコ・バーを持って少年をからかう。
Jamieはお皿をブラシで洗って、洗剤の泡はすすがずそのまま洗い籠に入れる。イギリス人はお皿を洗った後水ですすがない人が多い。

■ロケ地

イングランド…Sussex州 Brighton
ウェールズ…Llangunllo、 Knighton (Radnorshire)

■キャスト

William Hurt .... Graham Holt
Chris Cleary Miles .... James (愛称:Jamie)
Shaun Dingwall .... Grahamの青年時代(20歳)
Adam Wills .... Grahamの少年時代(12歳)
Nathan Yapp .... Jimmy
Jake Owen .... Jimmy(3歳)
Keith Allen .... John (Jamieの父)
Sophie Dix .... Mary (Jamieの母)
Doris Irving .... 養子縁組所のボランティア
James Warrior .... ソーシャル・ワーカー
Jane Horrocks .... Debbie (ソーシャル・ワーカー)
Alfred Lynch .... Edward (Grahamの父)
Shirley King .... Enid (Grahamの母)
Mossie Smith .... Lynn (郵便局のパート店員)
Martin Troakes .... Colin
Paul Wilson .... Colin(20歳)
Alan Cumming .... Bernard
Prunella Scales .... Margery
Jennifer Whitefoot .... Tina
Nerys Hughes .... Maureen (Jamieがいた施設の寮母)
John Hurt .... Turpin (Grahamの叔父)

(1994年 アメリカ 105分)

Video


『セクシュアル・イノセンス』 The Loss of Sexual Innocence (1999)

制作・監督・脚本・音楽:マイク・フィギス

■Story

『リービング・ラスベガス』でアカデミー賞に輝いたマイク・フィギス監督が、構想17年、自らの性体験を投影した自伝的作品。
映画監督として成功し、美しい妻と子供とともに恵まれた生活を送るニックは、これまでに通過してきたさまざまな性体験を回想する。1953年ケニアに住んでいた5歳の頃、トウモロコシ畑を抜けて見た光景、16歳の時の恋人スーザンとの青い体験、少年時代に見せられた水死体の写真。そして映画撮影のために訪れたチュニジアでの悲劇・・・
旧約聖書のアダムとイヴの出会いから失楽園までのエピソードをからめ、端麗なクラッシック音楽にのせて印象的に描き出す。

■Check!

□ガソリン・スタンド(Petrol Station)

大人になったニック(現在)がガソリン・スタンドに寄る場面。 イギリスによくある、食品などの雑貨を売っている売店を併設したスタンド。ガソリンはこのようにセルフ・サービスで入れるのが一般的。

妻と子供を連れて向かった先にあるのは、趣ある週末用のコテージ。周りは羊が草をはむ緑地となっており、特徴のある石垣が続く。

□イングランド北部カーライル

ニックが少年時代を過ごしたのは、スコットランドとの国境近くの町、カーライル。石畳の道が印象的。

エディンバラ公奨励社会勉強会"で見せられた溺死体の写真は、Tyne川にあがったもの。

■監督マイク・フィギスについて

Mike Figgis(マイク・フィギス)

1948年2月28日生まれ。イングランド北部カーライルに生まれ、少年時代をアフリカのケニアで過ごす。8歳の時に両親とともにニューカッスルに戻る。
監督になる以前はミュージシャン(トランペット/ギター)。ロンドンで音楽を学び、R&Bバンド"The Gas Board"(Vo.ブライアン・フェリー)のメンバーとして活躍。その後1980年に自身の劇団を旗揚げ。長編映画第一作「ストーミー・マンデイ」(スティング主演)の成功をうけてハリウッドに進出。『リービング・ラスベガス』ではオスカーを手にする。
この作品で双子を演じたサフロン・バロウズと交際中。

Timecode (2000)
『仮面令嬢』 Miss Julie (1999)
『セクシュアル・イノセンス』 The Loss of Sexual Innocence (1999)
Flamenco Women (1997)
『ワン・ナイト・スタンド』 One Night Stand (1997)
『リービング・ラスベガス』 Leaving Las Vegas (1995)
『明日に向かって・・・』 The Browning Version(1994)
『心のままに』 Mr Jones (1993)
『オブセッション/愛欲の幻』 Liebestraum (1991)
『男が女を愛する時』 Women & Men 2: In Love There Are No Rules (1991) (TV)
『背徳の囁き』 Internal Affairs (1990) リチャード・ギア
『ストーミー・マンディ』 Stormy Monday (1988)
The House (1984) (TV)

 

■ロケ地

Northumbria(北イングランド)
・・・イングランド時代の他、ケニアのトウモロコシ畑もここで撮影。
Umbria(北イタリア)・・・アダムとイヴのエピソード
ローマの空港・・・双子がすれ違う場面
サハラ砂漠(南チュニジア)

 

■キャスト

Julian Sands .... Nic
Saffron Burrows .... イギリスとイタリアに分かれて育った双子(イタリア育ちはクラウディア)
Stefano Dionisi .... Lucca (録音技師・クラウディアの恋人)
Jonathan Rhys-Meyers .... Nic(16歳)
Kelly Macdonald .... Susan(ニック16歳の時のガールフレンド)
Gina McKee .... スーザンの母
Bernard Hill .... スーザンの父
Johanna Torell .... ニックの妻(現在)
Femi Ogumbanjo .... アダム
Hanne Klintoe .... イヴ

(1999年 アメリカ 106分)

オフィシャル・サイト(英語日本語

Video


『戦場の小さな天使たち』 Hope and Glory

監督・脚本は『ザ・ジェネラル』『エクスカリバー』のJohn Boorman。

Story

1939年9月3日イギリスがドイツに宣戦布告し、ロンドン郊外に住む少年ビルの父は志願して戦場に赴いた。ビルは妹のスーとともにオーストラリアに疎開させられる予定だったが、母親のGraceは子供達を手放す辛さに耐え切れなかったので、危険を承知でロンドンに留まることに。

毎日のように繰り返されるドイツ軍による空爆の恐怖のなか、子供達は瓦礫の中で不思議な魅惑に満ちた屈託ない日々を送っていた。 爆弾の破片コレクション、秘密基地遊び・・・時には姉が若いカナダ兵と廃屋の中で抱き合っているところを覗いたり。父親の一時帰休の喜び、マックおじさんとのピクニック・・・火事で家が焼けてしまったのをきっかけに一家はロンドンを離れ、のどかな川の流れる田舎にある母方の祖父の元に身を寄せる・・・。少年の視点で、戦時下でたくましく生きる人々の暮らしを生き生きと描き出した作品。

(その他)1999年度英国映画協会によるベスト100作品:90位にランクイン

Check !

□ビルたちの家はRosehill Avenue近く。ロンドンのはずれ(ほとんどSurrey州との境)、Suttonのあたりか。空襲に備えて窓ガラスにテープを貼って補強したり、防空壕を掘ったりする。

□クリケット
父親のクライヴは、戦場に赴く前に息子にクリケットの変化球の投げ型を教えて行く。のちに祖父の家でも一緒にクリケットを楽しむ情景が。

□疎開列車に向かうときテディ・ベアをしっかりと小脇に抱える妹がlovely。

□軍国教育
国威高揚の歌として知られるエルガーの「威風堂々」が流される。当時はまだ大英帝国の植民地もたくさんあったので、教師は子供達に「世界の2/5が英国領」と教える。
子供達は首から下げた箱に入っていたのはガスマスク。

□子供社会
瓦礫の中で逞しく遊ぶ子供達は、「Bugger off, you bloody sod.」などと悪口雑言の言い方を練習する。ところが「"F**k"は余程のことがないと使うな」と神妙な顔。アメリカ人は何にでも(強調するときに)"f**kin'"を使うのに対して、イギリス人は"bloody"を気軽に使うことが多い?

□ドイツ人投降兵
ロンドンの住宅街の屋根を掠めるようにして飛ぶメッサーシュミットが撃墜され、パラシュートでドイツ兵が投降すると、町中の人達が物珍しげに見物に来る。女たちはパラシュートが絹でできていることを知ると奪い合いに。

□ストッキング
長女のドーンは素足の裏側にシーム入りストッキングのように見せた線を書かせてダンスパーティに。イギリスに駐留している外国人兵士と英国女性の間に芽生えたつかのまのロマンス・・・というのは当時よくあることだったのか。(参考:映画『ヤンクス』はアメリカ人兵士と英国人女性のラヴ・ストーリィ。)

□クリスマス
家族揃ってラジオから流れてくる国王のスピーチを聞く場面が。(現在エリザベス女王による恒例のクリスマス・スピーチはTV放送)
国歌"God Save The King"に全員起立。曲の途中でカナダ人のブルースがふざけてたしなめられる。
カナダ兵の駐留事務所にもクリスマスに付き物のヤドリギの枝が吊るされている。

□祖父母の家
"ピカデリーから20マイル離れた郊外"という設定で、そばに河が流れるのどかな場所。パンティング、クリケット、食糧確保のための魚釣り、母の姉妹たちのアフタヌーンティー・・・と郊外の生活ぶりが楽しい。

■ロケ地

Middlesex
Croydon, Surrey
Sussex

■キャスト

Sebastian Rice-Edwards .... Bill
Geraldine Muir .... Sue(Billの妹)
Sammi Davis .... Dawn(Billの姉)
Sarah Miles .... Grace (Billたちの母)
David Hayman .... Clive (Billたちの父・二等兵)
Derrick O'Connor .... Mac(Mollyの夫)
Susan Wooldridge .... Molly (Macの妻)
Jean-Marc Barr .... Bruce (Dawnの恋人・カナダ人伍長)
Ian Bannen .... George(Graceの父)
Annie Leon .... (Georgeの妻・Graceの母)
Jill Baker .... Faith(Graceの姉妹)
Amelda Brown .... Hope(Graceの姉妹)
Katrine Boorman .... Charity(Graceの姉妹) *John Boorman監督の娘
Gerald James .... 校長
Nicky Taylor .... Roger (子供達のリーダー)
Sara Langton .... Pauline (近所の女の子)
Imogen Cawrse .... Jennifer
Susan Brown .... Mrs Evans (嫌な隣人)
Charley Boorman .... 投降したドイツ人パイロット *John Boorman監督の息子
William S. Armstrong .... カナダ人軍曹
Arthur Cox .... Fireman

(1987年 イギリス 108分)

Video

 


『戦争レクイエム』War Requiem (1989)
『ウォーレクイエム』War Requiem (1989)

監督:デレク・ジャーマン
製作:ドン・ボイド
音楽:ベンジャミン・ブリテン
撮影:Richard Greatrex
ビデオ編集:ジョン・メイブリー
編集:Rick Elgood
美術:Lucy Morahan

■Story

第一次大戦中の戦争詩人ウィルフレッド・オーウェンと従軍看護婦を中心に、塹壕での消耗戦、戦時下での仲間との束の間の微笑み、そして実際の記録映像(第二次大戦、広島、ベトナム・・・)も取り混ぜ、ベンジャミン・ブリテンの「戦争レクイエム」に乗せて壮絶な映像美を紡ぎだした作品。

登場人物の台詞はなく、オーエンの9つの詩と伝統的なラテン語の典礼文で構成されている。

■Check!

□ベンジャミン・ブリテン(1913-1976)と「ウォー・レクイエム」

「戦争レクイエム」の初演は1962年5月30日。この作品に使われているのはブリテン自身の指揮によるロンドン交響楽団演奏のもの。

ソリストは、ゲイであったブリテンの生涯にわたるパートナー、ピーター・ピアーズ(イギリス人)がテノール、ガリーナ・ヴィシネフスカヤ(ソ連)がソプラノ、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(ドイツ人)がバリトンをつとめる。

イングランド中央部の都市コヴェントリーは、1940年のドイツ空軍による大空襲で壊滅的な打撃を受け、街の象徴であった聖ミカエル大聖堂も破壊されてしまった。それから22年後、新しい大聖堂の献堂式で演奏されるためにブリテンに委嘱されたのが、この作品である。

構成:

1レクイエム・エテルナム(Requiem aeternam)
Anthem for Doomed Youth (What passing-bells for these who die as cattle?...)
2怒りの日(Dies Irae)
Bugles sang (Bugles sang, saddening the evening air...)
The Next War (Out there, we've walked quite friendly up to Death;...)
Sonnet (Be slowly lifted up, thou long black arm...)
Futility (Move him into the sun...)
3奉献文(Offertorium)
The Parable of the Old Man and the Young(So Abraham rose...)
4聖なるかな(Sanctus)
The End (After the blast of lightning from the east...)
5神の子羊(Agnus Dei)
At a Calvary near the Ancre (On e ever hangs where shelled roads part...)
6われを解き放せたまえ(Libera me)
Strange Meeting (It seemed that out of battle I escaped ...)

CDのライナーノートを参照

□Wilfred Owen (1893-1918)

シュロップシャー(Plas Wilmot, Oswestry)生まれ。1916年に入隊し第一次大戦に出征。1918年11月4日、停戦一週間前に25歳の若さで戦死する。西部戦線に送られた1917年1月から1918年11月までの短い期間に、数多くの優れた戦争詩を残した。同じく戦争詩人として名高いシーグフリード・サスーン(Siegfried Sasoon)と深い交流があった。

The Parable of the Old Man and the Young

So Abram rose, and clave the wood, and went,
And took the fire with him, and a knife.
And as they sojourned both of them together,
Isaac the first-born spake and said, My Father,
Behold the preparations, fire and iron,
But where the lamb for this burnt-offering?
Then Abram bound the youth with belts and straps,
And builded parapets and trenches there,
And stretched forth the knife to slay his son.
When lo! and angel called him out of heaven,
Saying, Lay not thy hand upon the lad,
Neither do anything to him. Behold,
A ram, caught in a thicket by his horns;
Offer the Ram of Pride instead of him.
But the old man would not so, but slew his son,
And half the seed of Europe, one by one.

*「The Collected Poems of Wilfred Owen」より引用。

旧約聖書(創世記)にあるアブラハムが息子のイサクを生贄にしようとする話が元になっているので、一行目「Abram」は「Abraham」ではないかと思うが、原文ママ。CD「戦争レクイエム」のライナーノートには「Abraham」となっている。

□塹壕戦

花崗岩を掘って塹壕を作る場面が出てくるが、このように第一次大戦は塹壕戦が中心。 イギリス人にとって未曾有の消耗戦となったため、戦争から戻っても精神的外傷から回復せず、シェル・ショックに怯える元兵士が多かった。

□赤いひなげし

哀しいまでに静謐で美しいラストシーン。 ドイツ兵(ショーン・ビーン)が持っている赤いひなげしの花輪は停戦の象徴。 第一次大戦の激戦区であったフランダース地方の野に、停戦から半年後咲き誇った赤いポピーの花を記念している。現在でも毎年11月11日の停戦記念日には、イギリス中で(BBCのアナウンサーも胸につけている)赤いひなげしをみかける。

■ロケ地

Darenth Park Hospital, Dartford, Kent

■キャスト

Nathaniel Parker .... Wilfred Owen
Tilda Swinton .... 従軍看護婦
Laurence Olivier .... 老兵
Patricia Hayes .... Mother
Rohan McCullough .... Enemy Mother
Nigel Terry .... Abraham
Sean Bean .... ドイツ軍兵士
Owen Teale .... Unknown Soldier
Milo Bell
Claire Davenport
Alex Jennings
Spencer Leigh
David Meyer
Linda Spurrier .... Nurse

■参考資料とソフト

ソフト:LD 販売元:ポリドール(ビデオ/DVDは未発売)

CD:
曲目解説はCDのライナーノートを参照しました。
Britten-War Requiem [UK IMPORT]<このページから試聴できます
ブリテン-戦争レクイエム

_The Collected Poems of Wilfred Owen_ Cecile Day Lewis編集/New Directions Book

 

 

(1989年 イギリス 89分)


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