はちみつ色の小さな村とオールド・ローズ
コッツウォルズ地方ドライブの旅

 

コッツウォルズとは

ライムストーン造りの民家(Bibury)「コッツウォルズ」とは、「ひつじ小屋のある丘」という意味で、その名の通り、産業革命以前は羊毛業で栄えた地方である。鉄道網の発達から取り残されたために昔のままの美しい町並をとどめており、「最もイングランドらしい田舎」として愛されている。この地方独特のライムストーンと呼ばれるはちみつ色の石で作った家がたちならぶ様はまさにイングランドの原風景といえよう。

プロローグ 〜キャセイ・パシフィックで行く20時間の空の旅〜

成田空港から飛び立ったキャセイ・パシフィックは香港トランスファーのため、機内は母国に向かう香港の人たちで賑わっている。 成田−香港間は4時間ほどのフライトなのに、すぐ夕食が出た。 機内食で全部食べきれるのはこのあたりまで。これから20時間あまり、身動きできないのに続々出てくる機内食に気分はブロイラー…(キャセイの食事は比較的美味しいほうではあるが)

香港の啓徳空港は世界一着陸に技術を要する空港だ。 付近には高層ビルが所狭しと立ち並んでいるうえ、滑走路も短い。 飛行機は高層ビルをかすめるように飛び、ビルのなかで働く人の姿もはっきり見える。

乗り換え便の出発口を掲示板で確認してから2時間ほど空港の店を覗いたりして時間をつぶし、一路ロンドン・ヒースロー空港へ。 途中で機内食が2回と、夜中に軽食としてアイスキャンデーが出る。ジェーン・オースティンの映画「Sense and Sensibility」を上映していて(ぜひとも観たかったのだが)疲れ果てて途中で寝てしまった。

夕食のメニュー:
ワイン、オリエンタル海老サラダ、スタッフドチキンのクリームマッシュルームソースとコロッケ&温野菜添え、チーズ&クラッカー、チェリークリームチーズケーキ、パン、紅茶。

おやつ:アイスキャンディー

朝食はちょっと英国風に:
オレンジジュースフルーツサラダのパッションフルーツソースがけ、フルーツヨーグルト、ハムとリーク(ポアロねぎ)のオムレツ、ソーセージ、ハッシュドポテト、ハーブ風味の焼きトマト、クロワッサン、紅茶

さて、ヒースローについたのは朝の5時。 座りっぱなしで痛む体をそろそろと動かし入国審査、トラベラーズ・チェックをいくらか現金に替えて(空港では手数料無料)行動開始。 チューブ(地下鉄)で懐かしのロンドン・パディントン駅まで出てから、ブリット・レイル(鉄道)でコッツウォルズを目指す。


ザック背負って牛糞よけながら1時間半歩いて…

Kemble_stationパディントン駅で、コッツウォルズ地方の交通の要所であるCirencesterの最寄りの駅を尋ね、駅の外の商店でサンドイッチやお菓子、ジュース、雑誌を買い込んで車内へ。 イギリスのサンドウィッチはめったにハズレがない。 私たちはローストターキーを茶色い薄切りのパンで挟んだものが特に好きだ。 列車がロンドンを離れるにしたがって、車窓を流れる景色が美しく潤いを帯びてくる。

Swindon駅で2両しかない汽車(*蒸気で動くので電車でなく汽車である)に乗り換え、Kembleという小さな駅へ。 駅舎までハンギングバスケットで飾ってあって美しい。

浮かれていたのはここまでで、少し嫌な予感がしだした。 駅があまりにも小さすぎるのだ。 バス停はあったが日曜日はなんと運休だという。 ひとりしかいない駅員を見つけてCirencesterまでどのくらいか聞くと、歩けない距離ではないようなので、景色を見ながら歩いていくことにした。

コッツウォルズは国鉄の駅からは非常に不便な位置にある。 だからこそ昔ながらの町並が良く保存されているのだが… 個人で旅行される方はCirencester行きのコーチ(長距離バス)に乗るか、レンタカーを借りることをお勧めする。国鉄の駅が唯一通っている町はMoreton-in-Marshだが、小さな村々をめぐるには、やはりレンタカーがあったほうが行動半径が広がる。

今回の旅行では荷物を最小限に押さえていたので助かった。たいして大きくない普通のザック一つずつだったのだ。私たちは地図さえ持っていなかったが、駅の裏でやはり同じように迷っている中年のイギリス人旅行者グループがいたので、地図を見せてもらって一路Cirencesterを目指した。途中近道をしてPublic footpath(=主に私有地の中を通る、通行人が公に歩くことを認められている道)になっている牧場の中を通ったのは楽しかった。草の上を歩くのは気持ちのいいものだし、すぐ近くに牛がうろうろしているのだ。ただ、牛がいるということは、牛さん達の「落とし物」もいっぱい落ちているわけで、踏まないように注意して歩く必要はあった。

イギリスで一番気候がいい時期である7月上旬は、高緯度の国といえどさすがに暑い。Cirencesterは昔ローマ人が侵攻してきたときに作られた町なので(ローマ人が築いた都市にはたいてい"cester"がつく)そこに向かう道「ローマン・ロード」は恐ろしいほどにまっすぐである。 古代ローマ人の技術力に感服。


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