最後の夜はスーパー買い納め&インド料理

夕方ホテルに戻って荷物を置き、いざインド料理レストランへ。 ロンドンのインド料理の美味しさは折り紙付きだ。

レストランに行く前に近くの大型スーパーに飲み物や、日本に帰ってから食べる自分たちへのお土産を買いに行く。 トリークル(糖蜜・お菓子の材料)などは日本ではなかなか手に入らないからだ。 そしてチョコレートをいっぱい。 旅行中のお気に入りだったキャドバリー社のカプチーノ味の板チョコを何枚も。 「デイリーミルク」も定番だが押さえておく。 他にTyphoo(紅茶)も買ってしまった。 変わった野菜や果物も「全部ただで日本に送れるならいくらでも買っちゃうのに…」とため息。 スーパーでの買い物は楽しさと切なさが相半ば。

インド料理レストランに着くと中は週末の外食を楽しむ人でいっぱいだった。 「テイクアウェイ(お持ち帰り)でお願いします」と告げるて待合い席のほうに案内してもらい、メニューをもらう。 カタカナがアルファベットに置き換わっただけで、日本のインド料理レストランのメニューとほとんど一緒なので、料理の名前からだいたいどんなものか想像がつく。 オーダーを取りにきたウェイターにくわしい料理の内容を聞いてオーダー。 お持ち帰りなので一割引だ。 店の奥から美味しそうな肉とスパイスの香りが漂ってきて胃を刺激する。

インド料理オーダーしたのは以下のメニュー :
マトン・ティッカ・マサラ(トマトベースのスパイシーかつクリーミィーなマトンカレー)と、サグ・プローン(ほうれん草ベースの緑色の海老カレー)、ミート・サモサ(マトンの挽肉の入ったインド風揚げ餃子のような副菜)、タンドリーチキン(ヨーグルトとスパイスに漬け込んだチキンを釜で焼いたもの)、ナン(平たく伸ばしたインド風パン)、フライド・ライス(インド風炒飯)。

程なく専用の容器に入った料理をさっきのウェイターが持ってきてくれる。 そういえばこの店に来るのももう3回目だ。 スパイスの効かせ方といい、味の深みといい、すっかりファンになってしまった。 このへんはロンドン大の学生も来るし旅行者も多いので繁盛しているようだ。 開業は奇しくも私の生まれた年。

 

TVを見ながら…

ホテルの部屋に戻り料理を並べる。 スーパーで飲み物とデザートも買っておいたので豪華な夕食になった。 ここのTVは衛星放送も入るのでチャンネルが多くて楽しい。 ドイツ語の放送まではいるのだ。 (さすが統一EU諸国) 昨日はリチャード・ギアの若かりし頃の映画がドイツ語で吹きかえられられているのを見ていた。 ラヴ・ストーリィは台詞も単純で、初級者にはとっつきやすい。

この日はBBCでガーデニングの番組を見る。 番組が終わって他の局に回すとそこでもやっぱりガーデニングの番組。 あれれれっ? 土曜日のゴールデンタイムがガーデニング番組でいっぱいというのが、いかにもイギリス。 老いも若きも庭いじりに夢中なお国柄なのだ。 続いて始まる歌番組には Oasis だの、Teenage Fan club だの、イギリスの人気バンド勢揃い。 こんな番組を日常的に見られるなんで羨ましい限りだ。世界の面白い番組を紹介するコーナーでは、日本のとんねるずのフィルムも流れた。 英語の字幕が付いているのが妙におかしい。

 

ポートベロー・マーケット(蚤の市)

今日でイギリスともお別れ。 土曜日なのでポートベロー・マーケットへ繰り出す。 地下鉄ノッティングヒル駅で降りたら人の流れに乗ればいつのまにか着いてしまう。3kmほどもあるロンドン最大のストリート・マーケットの一つで、道の両脇に露店と常設店が並んでいるし、脇道にも店がぎっしりだ。

一番ノッティングヒル駅寄りのアンティーク市が有名だが、北上するにつれ古着やガラクタ、日曜雑貨、手作りアクセサリー、野菜・果物、鮮魚の屋台など「何でもアリィ」の様相を呈してくる。 後半のハマースミス・ラインの地下鉄高架下あたりは入り口部分とはガラリと雰囲気が違う。

ポートベロー・マーケットまずは人気のアンティーク・マーケット。 銀食器や古いアクセサリーを売る店が多い。 今回は銀張りのティーセットが欲しくて良さそうなものをいくつか目星をつけながら歩く。

銀張りは比較的手ごろだが、銀ムクの食器類はゼロの数がひとつふたつ違う。 「これは18世紀に作られたもので…」と店主が出してくれるものはため息が出るほど素敵な細工の品々なのだが、ちょっと手が届かない。 目ばかり肥えてしまって、これは!と思う品はたいてい目の飛び出るような値段なのだ。 スージー・クーパーのアンティーク陶器は日本でも有名なので、置いてある店ではたいてい日本人を見掛ける。 テディ・ベアを扱っている店も多く、イギリス独特の手足の短いデザインのクマが(ドイツ製のは手足が長くて細い)こっちを向いて笑いかけてくる。 古い時代の銅版画の複製やポスターも人気がある。

服(古着も新品も)やアクセサリーの露店群のあるところに来るとまた雰囲気は変わる。 意匠を凝らしたTシャツ類、革ジャン、クラブにでも着ていくような奇抜な服、ミュージック・テープ、お香など。Tシャツは一枚£2(当時は約¥400)くらいから。

「こんなの誰が買うの!?」と聞きたくなるようなガラクタを並べている人も多い。 壊れかけた旧式のラジカセやネジ類、鍋、おもちゃ…セガのゲームソフトまである。 でも見ていると結構そういった物を買っている人もいる。

青果の屋台ではスェード、ターニップ、アーティ・チョーク、ちりめんキャベツ、ケール(青汁の原料)など、日本であまり見ない野菜が多くて楽しい。 果物も形は不揃いだがびっくりするほど安い。鮮魚はこの暑いのに冷蔵ボックスに入れるでも氷の上に並べるでもなく、普通の屋台にのせて売っている。 良く火を通さないとあたりそうだ。 タラやニシン、ヒラメ、サーモン、トラウト(鱒類)が山盛り。

もう少し行くと雰囲気はがらりと変わって、アラブ系やアフリカ系の人々の生活用品を並べる屋台が目立つ。 変わった手作りお菓子の袋詰めや、調味料、乾物など、ロンドンが多民族都市であることをほうふつとさせる。

このマーケットはかなり混雑することでも有名だが、電動車椅子に乗って一人で買い物に来ている人もよく見かける。 車椅子で移動しやすい公共交通機関、施設、障害者用トイレの完備など、障害者の暮らしやすい条件が整っているというのはもちろん、何より車椅子の人を変な意味で特別扱いしない、という人々の意識が「ひとりでも気軽に外出できる」環境を作り出しているのだろう。

 

Tube Oneday Trave lCardマーケットで疲れた足を休めるためにグリーン・パークへ。 木陰に座ると涼しくて気持ちいい。やっぱり上半身裸になって芝生の上に寝転んで日光浴をしている人が多い。

しばらくクタクタした後、ハイド・パークにも行ってみる。 こちらはローラー・ブレードには格好の歩道があり、小さい子からおじいさんまで走り回っている。薔薇園を見たり公園にいる人たちを見たりしながらふらふらしているうちに、そろそろ空港に向かう時間になった。

本当に楽しい時間というのはどうしてあっという間に過ぎてしまうのだろう。 ムーア(荒野)や真っ青な海、荒々しい断崖 … コーンウォールやデヴォンなどの「ウェスト・カントリー」と呼ばれる地方の強烈な日差しがまだ肌に残っている。 イギリスでも 地下鉄ピカデリー・ラインでヒースロー空港まで一時間強の道程。 途中で地下鉄が郊外に出て地上を走るようになる。 この景色を目に焼き付けておこうと、私は車窓を流れる煉瓦色の街並みを見つめていた。


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