スコットランド:ネイチャー・トレイル1,000マイル(3日目・夜)
気配りの宿・にこやかな奥さん
プロックトンはこう見えても観光名所らしく、村の中心にある宿泊施設はどれも満室。 ("青いドアの家"のすぐ近くにあったB&Bは可愛らしくガーデニングにも力を入れているようで、空いていれば泊まってみたかったのだが!) やはり我々と同じように今夜の宿を求めてゆるゆると車を走らせている国内旅行者らしき人々も何組かいる。 中心から約1.5マイル(2.4km)、人家が途絶えた頃にポツンとB&Bの看板を発見。 矢印に従って進み、Cattle Grid(家畜が逃げないようにと設けられた鉄製スノコのような装置)をガタガタと超えると木々の中に目指す建物が現れた。
「まぁ、いらっしゃい。どうぞ表の方に回って!」にこやかな奥さんに出迎えられ建物の南側に回ると、綺麗に手入れされた庭とlovelyな宿泊客用の玄関が。 入り口に貼ってあったスコットランド観光局(Scottish Tourist Board)認定三つ星ステッカー。これは期待できるかもしれない。
案内されたのは広々とした明るく見晴らしのいい部屋。 朝早くから走り回って疲れていたのでen-suite(シャワー・トイレ付き)なのもありがたい。 奥さんに今夜の宿をお願いして、この近辺でお勧めのレストランはないかと相談してみた。 驚いたことに彼女はありとあらゆるレストランのメニューや地図をファイルしており、宿泊客が利用したレストランの感想を書き込めるノートまで用意していた。 これは参考になりそう。 パラパラとファイルをめくって、「そうねぇ、もうプロックトンへは下りてみた?Plockton Innは美味しいわよ。 Off the Railもいいわね・・・」
翌日の朝食の希望も尋ねられた。 「ポリッジは召し上がる?ええっと、これは何て説明したらいいのかしら。オートミールをやわらかく煮たものなんだけど。」 −−−「ええ、わかります。ぜひ明日はポリッジを!」
奥さんは"次に日本人が来た時のために"と、日本語で何と説明したらいいか私たちに尋ね、早速手帳にOKAYUと書き込んでいた。 いろいろな国からお客さまが来るのよ、と見せてくれたリストには、各国語で"porridge"にあたる単語が並んでいた。
メインには「普通のスコティッシュ・ブレックファスト」と「コールド・ブレックファスト」の二種類が選べるのだそうだ。 「コールド」の方は"パンケーキに10種類のフルーツ盛り合わせ"とのことで、珍しいのでそちらをお願いした。先ほどの入り口をすぐ入ったところには、宿泊者用のラウンジがあった。 スコットランドの写真集や地図がたくさん用意されていて楽しめる。 荷物を部屋に運び、夕食をとるべく、再び牛の群れをかき分けてVillage Centreまで下りていった。
至福のシーフード
奥さんおすすめのレストラン、Plockton Innは流行っているようで、ずいぶん賑わっていた。 メニューを持ってきてくれたウェイターの男の子は、どうみても中学生くらい。 こんな時間に子供が働いていていいのだろうか。それともここの家の息子なのだろうか。 ハキハキとした受け答えが実に愛らしい。 運転手の夫はソフトドリンク、私はワイン。 ソフトドリンクには何があるかと尋ねたら、コークとIrn-Bru、レモネードだとか。 恐るべきIrn-Bru。
ここで使っている素材はほとんど地のものというのが嬉しい。 大都会のシーフードレストランに行っても、どうせ出てくるのは冷凍ものだろうから。 黒板に書いてあった、"本日のおすすめ"を中心にオーダーする。 前菜の"本日の魚スープ"は、どうやってこんな風味を出しているのかわからないほど複雑で繊細な味わい。 (家に帰ってトマトベースでソース・アメリケーヌ風味スープを作ってみたが、何かが違う。貝のエキスや白身魚を何種類か入れて、またチャレンジしてみたい。) イカのフライもサックリして食欲をそそる。 (家庭で作る時は市販のパン粉をフードプロセッサーでさらに細かくしてから使うとプロの仕上がりに。)
メインのシーフード・プラターが運ばれてきた時、どんなに写真を撮りたかったことか! このレストランに入ってきた唯一の東洋人客として、周りの客がなんとなくこちらを意識しているのがわかっていたから、お行儀よく我慢していたのだ。 海老、温燻・冷燻サーモン、何種類もの貝・・・色とりどりのシーフードが並べられた皿は、それはそれは美しかった。 本音を言えば、先ほどから我々のテーブルを担当してくれている可愛いスコットランド訛りのウェイター坊やの写真も撮りたくてしかたがなかった。ああ、理性が邪魔をする・・・。
再び、"牛道"を通って宿に戻る。 ラウンジだけでなく寝室にもたくさん雑誌や写真集が用意されているし、TVもあるので夜も楽しく過ごせた。 ティーセットだけでなくお茶菓子も用意されていた。
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