4日目の行程
センスあふれる朝食
南面に大きく開いた窓の効果か、気持ちの良い目覚め。 身支度してダイニング・ルームに下りていくと、まずポリッジなどを持ってきてくれた。 テーブルの上には、すでにメロンやラズベリーの皿が出してある。 ラジオの音だろうか、キッチンからBeautiful South(イギリスのバンド名)の歌が聞こえてきた。
もう一組の宿泊客もやってきた。 感じのいい老夫婦で、ソールズベリー(イングランド南西部)から来たのだそうだ。 朝食をとりながらいろいろおしゃべりできて楽しかった。 たった一週間の旅行のために、はるばる日本からこんな北の果てまで来たと知って、たいそう驚いていた。 たしかに。 このあたりで見掛けるのは、リタイアして悠々自適の生活を送るのんびり旅行者がほとんどだった。 ああ、うらやましい。
ポリッジの皿を下げに来た奥さんは、我々がそれに塩をかけて食べていたことに気づき(塩入れが動いていたので)、すっとんきょうな声を上げて驚いた。 「まぁぁ、嬉しいっ。 どうしましょう! 長年B&Bをやっているけど、ちゃんとポリッジに塩をかけて食べてくれたのは、あなたがたが初めてよ!これぞ正しくスコットランド式だわ。」
「ふふふ。イングランドでは砂糖をかけるから。」と、ソールズベリーから来た老婦人がにっこり。 そういえばこちらのふたりは、デメララ糖(茶色い、粒の大きな砂糖)をかけていたっけ。奥さんが運んできた銀の紅茶ポットに、老婦人は「素敵なお品ねぇ」とため息。 その綺麗な細工を施された銀無垢のティーポットは、おばあさんの代から伝わるものだそうだ。 アンティークといえど飾ったり仕舞い込んだりせず、使ってこそ一層喜びも増すというもの。 ひそかにチェックを入れていたのだが、カトラリーもArthur Price(イギリスの銀器メーカー)の製品だった。
今日の朝食は、昨夜リクエストした「コールド・ブレックファスト」というもの。 どんなものがくるやら、見当もつかなかったが、ふわふわのパンケーキが数種類に、美しくカットされた10種類のフルーツ、それに地元産のチーズが何種類も。 チーズ狂の私には、もうこたえられない幸せ。 普通のフル・スコティッシュ・ブレックファストを頼んでいたイングリッシュの老夫妻は、「いい選択をしたね」としきりに羨ましがっていた。 (もちろん、普通のも他のB&Bに比べてもだいぶ美味しそうだったのだが) 彼らはここに連泊する予定のようで、次はこっちをリクエストするつもりかもしれない。
朝食後、今日のルートについて宿の奥さんに相談してみる。 Eilean Donan Castle、「アイリーン・ドナン」「イーレン・ドナン」「エイレン・ドナン」と、ガイドブックによって表記の仕方が全く違うので困りものなのだが、以前車のCMで「スコットランドの人々を守ってきたエラン・ドナンの城は・・・」というのがあったので、CMに使うくらいだからちゃんと調査はしているだろう、と「エラン・ドナン」と言ってみたらこれで通じた。 ゲール語なのだろう、あとで奥さんも「エラン・ドナン」と発音していたし。(イングリッシュ夫妻は"アイリーン"と英語読みしていたが、たぶんこれでも通じるのだろう)
今日は少なくともアラプール(Ullapool)まで行くつもりだと話すと、「Applecross」までの道が素晴らしいから、ぜひ寄ってみるようにと勧められる。 「雲が高い日はくるくると空を飛んでいるような気分になれるわよ!山並もそりゃあ綺麗なんだから。」
よし、予定変更。 聞いたことがないけれど、あとでそのApplecrossとやらに行ってみようではないか。
フォトジェニック!: エラン・ドナン・カッスル(Eilean Donan Castle)
楽しいB&Bに別れを告げ、山中のMinor Local Road(道路番号なし)を南下する。 シダやヒースに覆われた道路脇の風情がいかにもハイランド。 Balmacaraという集落を過ぎたところで、左折してA87に入る。 しばらく車を走らせると前方に見えてきたのは・・・おおお。 夢にまで見た美しいEilean Donan Castle。 海に向かって孤高に聳えるこのあまりにフォトジェニックな城は、先述の車のCM以外にも、さまざまな映画のロケ地にも使われてきた。 城を通り越したところから眺めるのも、手前のヨットハーバーのような場所からのショットも絵になる。 "ハイランドに来て、ここで写真を撮らずにどこで撮るというのだ?!"というくらい、時間を忘れて見惚れてしまう。
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