CastlemaineからR561に入り、ディングル半島へ。 その日はかなり暑かったので Inch Beachという砂浜は海水浴客でいっぱいだった。 気温が高くても海水はまだ冷たいだろうに、それでも澄んだ海に飛び込んでいく元気な子供たちもいる。 この海岸で映画『ライアンの娘』が撮影された。
ディングル半島の中心となるディングルは、観光客も多く賑やかな町だった。 このあたりは「ゲールタクト(ゲール語を話す地域)」ということで、「止まれ(通常は"Yield")」の看板までゲール語で書いてある。
ちなみに、「とまれ」はアイルランドの英語表記で「Yield」だが、イギリスでは「Give Way」。土産物屋やレストランが立ち並ぶメイン・ストリートを抜けると港が。
R559で半島の先まで行く。 「Beehive Huts」という蜂の巣型の遺跡を過ぎるとそこは「Slea Head」という半島の先端。 十字架にかかったキリスト像が立っている。
Slea Headからくねくねと曲がった道路を進んでいるうちに、Great Blasket Islandとともにどこかで見たような砂浜が前方に見えた。 その砂浜に降りていく細道の入り口に小さな看板が。「ライアンの娘(Ryan's Daughter)の砂浜」・・・ビンゴ! ああ、あのヒロインみたいな日傘を持ってくればよかった(謎) 急な坂道を降りて行くと、隠れ家のような白い砂浜が。透明な明るい青い海。
再び坂を上ると道路は牛の大行進、いわゆる"ディングルのラッシュアワー"状態で、ゆうゆうと歩く牛が通り過ぎるのをのんびり待った。 この「Slea Head Way」と呼ばれるR559は変化に富んだ景観で知られるルートで、Clogher Headという岬もたいへん美しかった。 このあたりの崖は、海に向かって持ち上がるような形になっているのが変わっている。 ひと回りしてディングルの町に戻り、今度はコーナー・パスへ。
「地球の歩き方」はあくまで「歩き方」であって「走り方」ではないので、このディングル半島きっての絶景ポイント「コーナー・パス」については、文章でも地図でもひとことも触れられていない(少なくとも2002年版では)。 しかしレンタカーで旅行される方なら外してはいけない、"must see"な道である。 峠を上ると幾重にも連なった湖や川、ゴツゴツとした岩肌、ちょっと別世界にでも紛れ込んでしまったかのようなディングル半島が一望できるポイントだ。
半島を裏側に抜けると、遠くにブランドン岬と山脈が見える。ここは6世紀に聖ブレンダンが太平洋に向かって船出したと伝えられている場所である。
このあたりの地形は少し不思議な眺めで、一見すると崖に向かってまるで風に吹かれて堆積したかのように見える盛り上がりがいくつもできている(下の写真参照)。 家人によるとこれは「ケスタ地形」というもので、堅い地層と柔らかい地層が交互に堆積したものが地殻変動などによって傾き、柔らかい部分が早く侵食が進むためこのような地形になるのだそうだ。
海岸沿いの見晴らしい高台に、コンサバトリー付きの立派な家が。シャムロック・マーク付きB&Bの看板を見つけて急停車。 玄関前に立つと「AA」と自動車協会認定4つ星ステッカーも貼ってあるのがわかる。 これは期待できそう。 いくつか見せてもらって、一番眺めのいい部屋に決めた。 こんな素敵な宿を見つけてラッキー!宿代はひとり28euro。
ベッドルームのテーマカラーは淡いスモーキー・ピンクとブルー。 手作りのログ・キャビン模様のキルトで、これもピンクとブルーで統一された部屋にぴったり。 子供たちと奥さん自身の初聖体拝領(First Communion。子供にとって最大のイベントともいえる大事な儀式)の写真が飾ってあるのが、カトリックの国アイルランドらしい。 客用の居間には年代もののアンティーク家具がズラリ、暖炉の上には立派なウォーターフォード・クリスタルのランプ。 キャビネットに飾られたウォーターフォードのコレクションも目を見張るばかり。
明るいコンサバトリーでLyonの紅茶を入れて飲む。 天気が良いので暑いくらいだったが、長い夏の日をこんな海がすぐ目の前に見えるコンサバトリーにゆったり座ってお茶できるとは、なんていう贅沢だろう。
本日までの走行距離、累計786マイル(1,260km)
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