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タイトル*に


『日曜日は別れの時』 Sunday Bloody Sunday (1971)

監督:John Schlesinger・・・『真夜中のカーボーイ』
脚本:Penelope Gilliatt

 

Story

現代芸術家のボブはバイセクシュアルで、企業の人事担当をしているアッパーミドルクラスの年上の女性アレックスと、中年のユダヤ人医師ダニエルのふたりとつきあっている。アレックスもダニエルも違いの存在を意識しながらも、この無邪気な年下の恋人を失いたくないために核心に迫れない。
2度の日曜日を含む10日間で、3人の関係はどう変化していくのか・・・?

Check!

電話交換手と伝言サービス

アレックスもダニエルも電話の伝言サービスを利用しており、ふたりともボブからの伝言がないかどうかで常にやきもきしている。この伝言サービスは非常に原始的なもので、電話交換手が直接伝言を預かり、メモをして伝えるというもの。

ボブのモデル:Richard Loncraine

若き芸術家ボブのモデルとなったのは、アーティストのRichard Loncraine。彼自身、ボブの芸術上のパートナートニー役として出演している。この映画に出て来るボブの作品は、Loncraineが手がけたものだとか。

70年代の香り

アレックスが友人アルバの留守番を頼まれた時、子供たちは両親が隠しておいたマリファナを探し出して勝手に吸っている。ドラッグ文化、ヒッピー文化が花開いた70年代らしい情景。

手作りおやつ:ファッジ

ボブがダニエルのもとに出かけてしまった手持ちぶさたな休日に、アレックスはひとり「ファッジ」を作って食べている。ファッジはキャラメルに似たお菓子(キャラメルよりずっと柔らかいが)で、バットに流してひと口大に切り分けて食べる。

少女時代の戦争の記憶

アレックスの少女時代はまだ第二次世界大戦中で、外出時にはガスマスクを携帯するのが普通だった。

ガスマスクが出て来る映画:『戦場の小さな天使たち』、『あなたがいたら/少女リンダ』

アレックスの実家

彼女が実家に帰って両親と食事をする場面があるが、テーブルには数々の銀食器が並び、かなり裕福な家の出だとわかる。こうした家庭では、家柄や財産のために親の決めた相手と結婚することも珍しくない。かつて夫との関係に悩んだアレックスの母も、「夫を深く知ることは必ずしも有益ではないわ」と諭す。

ユダヤ教の習慣

ダニエル自身はそれほどユダヤの教えに忠実でないようだが、親戚一同が集まるユダヤ教の儀式では神妙に列席している。その日は一族の少年の成人式で、壮麗なシナゴーグで執り行われる儀式の後に、親戚や友人と会食するパーティのようなものが。ユダヤ教の成人式は13歳で行われるらしい。

キャストについて

Murray Head:
Andrew Lloyd Weberのミュージカル『Jesus Christ Superstar』でユダを演じるなど、ミュージカル俳優として活躍する他、歌手としても活動。

Peter & John Finch親子共演:
車に乗っていたダニエル医師(Peter Finch)を呼び止めて言い掛かりを付ける(かつて医師と関係を持っていたと思われる)青年は、Peter Finchの息子John Finch。

ダニエル・デイ=ルイス映画デビュー:
当時13歳のダニエル・ディ=ルイスはこの作品のエキストラで映画デビュー。ガラスの破片で車に傷を付けている3人の少年のうち、先頭の子供が彼。

 

音楽

モーツァルト:歌劇『コジ・ファン・トウッテ』より三重奏(姉妹+フィオルージ)

注:『コジ・ファン・トウッテ』とは、イタリア語で「女とはそういうもの(=浮気っぽいもの)」という意味。

 

ロケ地

ロンドン

 

Awards

1972年 英アカデミー賞(BAFTA Film Award)5部門受賞、3部門ノミネート
最優秀男優賞(Peter Finch)、最優秀女優賞(Glenda Jackson)、
監督賞(John Schlesinger)、作品賞、編集賞(Richard Marden)
1972年米アカデミー賞4部門ノミネート(主演男優賞、主演女優賞、監督賞、脚本賞)
1972年ゴールデングローブ賞英語外国語賞 受賞
1971年 NY批評家協会賞 脚本賞受賞(Penelope Gilliatt)

キャスト

Peter Finch .... Dr. Daniel Hirsh (医師・ユダヤ人)
Glenda Jackson .... Alex Greville
Murray Head .... Bob Elkin(現代芸術家・AlexとDanielの恋人)

Bessie Love .... 電話交換手
Peggy Ashcroft .... Alexの母
Maurice Denham .... Alexの父
Tony Britton .... George Harding (Alexの会社に求職に来た中年男性)

Vivian Pickles .... Alva Hodson(Alexの友人・5人子の母親)
Frank Windsor .... Bill Hodson (Alvaの夫)
Kimi Tallmadge .... Lucy Hodson (Alvaの長女・生意気な子)
Thomas Baptiste .... Professor Johns
Harold Goldblatt .... Danielの父
Hannah Norbert .... Danielの母
Jon Finch .... (車中のダニエルに言い掛かりを付けるスコットランド人)

Richard Loncraine .... Tony(Bobの芸術上のパートナー)
Daniel Day-Lewis .... 車に傷を付ける少年

(1973年 イギリス 111分)


『ニュー・イヤーズ・デイ 約束の日』 New Year's Day (2000)

監督:Suri Krishnamma
脚本:ラルフ・ブラウン
公開時コピー:「ぼくたちが大人になれない、12の理由」

Story

もうすぐ17歳になろうとするクリスマス休暇。 イングランド南部に住むジェイクとスティーブンは、クラスメイトや引率教師とともに総勢12人で、フランスにスキー旅行に出かける。 ところが楽しい旅行は突然の雪崩事故で一瞬にして悪夢と化した。 生き残ったのはジェイクとスティーブンの二人だけ。 他の皆は夢も希望も残したまま、命を落としてしまったのだ。思春期の若い心に負った傷はあまりに深く、皆の葬儀が終わった翌日の一月一日に崖から飛び降りようとするが、スティーブンは「やらなければならないことを終えてから一緒に死のう」と提案。 次の新年までの間に「命の書」と題したノートに記された12の課題をやり遂げてから、命を絶つことにしたのだ。 全国紙の新聞の1面にデカデカと載る、学校に火をつける、銀行強盗をする、警官を殴る、いろいろな麻薬を試すetc.。わけもわからないまま従っていたジェイクだったが、やがてこの12の課題に隠された本当の意味を知る・・・!

Check!

ジェイクの家庭

父が家を出てしまったために母子家庭となり生活保護を受けている。 鬱病から精神安定剤に頼るようになっている母、まだ幼い妹と弟との暮らしの中で、次第にジェイクは年齢よりも大人びたものの考え方をするようになっている。 生まれ育った環境も経済事情もまったく違うが、ジェイクとスティーブンは大の親友。

スティーブンの家庭

父は政治家という裕福な家庭のひとりっ子として生まれ(豪華な調度品に注目)、名門校に通う何不自由のない暮らしをしていながら、両親に省みられることのない寂しさから、世間に対しニヒルな見方をするようになっている。

poshな家庭であることは、言葉遣いからもわかる。 スティーブンのポケットから麻薬が見つかったとき、彼は「公衆トイレ(public toilet)にいた男から手に入れた」と答えるが、父はすぐ「公衆トイレ(public convenience)か」と、婉曲な表現に言い換えている。

名門校

ジェイクとスティーブンが通う学校は「Thomas Langley High School」という名からも推測できるように、明らかに公立ではなく私立校であることがわかる。 スティーブンの両親との会話から推測すると、かなりの名門校らしい。

モルティーザーズ(Maltesers)

カウンセラーのベロニカに勧めたチョコレートのブランドは、「モルティーザーズ」。イギリスで人気のあるチョコレートで(日本にも輸入されている)クッキー生地をチョコでくるんだボール状のお菓子。 "ネイキッド・シェフ"ジェイミー・オリバーくんも、デザートに使うのが大好き。 映画『プライベート・アイズ』でも重要な小道具として登場。

ガイ・フォークス・デイ(11月5日)

ふたりが穴を掘って植樹をしている時に「今日は11月5日だ。Gun Powder Treason Plotの日だ」と言っている場面がある(字幕には出てこない)。 11月5日といえば、イギリスではガイ・フォークス・デイとして花火を打ち上げたりする日。これは17世紀、ジェームズ一世の治世に、国会を爆破しようとした事件(Gun Powder Plot)があったことから始まった行事である。詳しくはこちらをご覧ください。

クリスマスのある風景

事故で亡くなったルアンダの両親を訪ねるジェイク。 「クリスマス・プディングはいかが?」と居間に招じ入れられるが、娘を亡くした悲しみからあまり盛大に祝う気にはなれず、静かにグラスを傾け、クリスマス・ツリーを飾っている家族の様子が見て取れる。

スティーブンの家は裕福な家庭らしく、豪華な食事を行儀良く食べているが、どこか温かみに欠ける。

ジェイクのところは小さな子供がいつ家らしく、羊のショーン(ウォレスとグルミットの)の風船など華やかに飾り付けをし、和気藹々と食卓を囲んでいる。

どの家庭でも紙の王冠を頭にかぶっている。

キャスト・スタッフについて

監督スリ・クリシュナマ・・・『A Man Of No Importance』(ソニー・クラシックス北米配給)で長編デビュー。

脚本ラルフ・ブラウン・・・『ウィズネイルと僕』Withnail and I (1986) 『クライング・ゲーム』The Crying Game(1992)など俳優として活躍。本作が脚本家デビュー

マリアンヌ・ジャン・バティスト・・・『秘密と嘘』Secrets & Lies (1996)で米アカデミー賞助演女優賞ノミネート

ジャクリーン・ビセット・・・『ナック』でデビュー、『シークレット』、フェリーニの『アメリカの夜』、『料理長(シェフ)殿、ご用心』など国際的に活躍。

マイケル・キッチン・・・映画・TVと多数の作品に出演しているベテラン俳優

ロケ地

Hertfordshire
ワイト島(Albion Hotel, Sandplpers Country House Hotel)
スイス

ケルト十字のある切り立った崖は、監督のSuri Krishnammaが実際に毎年元日に訪れている場所。 舞台となった町も、監督の生まれ故郷だとか。

Awards

ゆうばりファンタスティック映画祭2001ヤングコンペ部門グランプリ受賞
2000年サンダンス映画祭出品作品

キャスト

Andrew Lee-Potts .... Jake Palmer
Bobby Barry .... Steven
Marianne Jean-Baptiste .... Veronica (カウンセラー)
Anastasia Hille .... Shelley(ジェイクの母・鬱病)
Michael Kitchen .... Robin(スティーブンの父・政治家)
Jacqueline Bisset .... Geraldine (スティーブンの母)
Sue Johnston .... Mrs Fisher(高校の校長)
Zoe Thorne .... Trout (ジェイクの妹)
Gregg Prentice .... Ben(ジェイクの弟)

[雪崩の犠牲者たち]
Ralph Brown .... Mr Diamond(スキー旅行引率教師)
Nicole Charles .... Luanda(ジェイクの恋人)
Joanne Grant .... Ellie
Emily Corrie .... Cordelia
Emilie Francois .... Heather
Hannah Faulkner .... Vicky
Liam Barr .... Grebe
Ryan Davenport .... Aziz
Nellie Ormrod .... Lynne
Dickon Tolson .... Dave

[犠牲者の遺族]
Cecilia Noble .... Mrs James (ルアンダの母)
Burt Caesar .... Mr James (ルアンダの父)
Laura Harling .... Lily(ヘザーの妹)

参考資料とソフト

オフィシャル・サイト
http://www.nyd-jp.com/

国内盤DVD (2002/01/25) メディアファクトリー

書籍『NEW YEAR’S DAY―ぼくたちが大人になれない、12の理由』
ラルフ・ブラウン (著)/金原 瑞人 (訳)(2001/04/01) アーティストハウス刊 ISBN: 4048973126

(2000年 イギリス 106分)


『ニル・バイ・マウス』 Nil by Mouth (1997)

監督・脚本:Gary Oldman
製作:リュック・ベッソン
音楽:エリック・クラプトン

俳優ゲイリー・オールドマンの監督デビュー作であり、自伝的要素の強い作品。「この映画を父の思い出に捧げる(=In memorys of my father)」という献司がついている。
彼の故郷サウスロンドン8区を舞台に、労働者階級の暴力や麻薬にあふれた日常生活、家族の関係、人間模様などをリアルに描く。

コインランドリー(Laundrette)、握り玉が下がった地下鉄の車内、下町のパブなど、ロンドンの闇や喧騒をそのまま切り取ったような、緊迫感あふれたドキュメンタリー風の映像が印象的。

「Nil」とはイギリス的表現で「ゼロ」のこと。「Nil by mouth」=「何も口にできない」で、入院中の患者の枕元にこう書かれた札がかけてあったら、「絶食中」という意味に。

 

ロケ地

ロンドン南部ルイシャム地区など

Southwark Police Station

323 Borough High St,London SE1 1JL

Peckham

Pepys Estate, New Cross, London

Hither Green Hospital, London SE13

 

Awards

カンヌ映画祭主演女優賞(Kathy Burke)

(その他)1999年度英国映画協会によるベスト100作品:97位にランクイン

キャスト

Ray Winstone .... Ray (Valの夫)
Kathy Burke .... Valery (Rayの妻・Billyの姉)
Charlie Creed-Miles .... Billy (Valの弟)
Laila Morse .... Janet (ValとBillyの母)
Edna Dore .... Kath (ValとBillyの祖母)
Chrissie Cotterill .... Paula (Angusの妻)
Jon Morrison .... Angus (Paulaの夫)
Leah Fitzgerald .... Michelle (Valの娘)
Ronny Fox .... Peter(Paula & Angus夫婦の友人)

(1997年 イギリス 120分)


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