タイトル＊
監督：アンソニー・アスキス
脚本：テレンス・ラティガン
イギリスの玄関口、ロンドン・ヒースロー空港のVIPルームでアメリカ行きの飛行機の出発を待つ人々。大富豪の妻フランシスは夫に置手紙を残して元ジゴロの恋人マークとともにニューヨークに駆け落ちしようとしていた。年老いた公爵夫人は家屋敷を維持する費用を捻出するために、フロリダのホテルで社交コンサルタントの職に就こうとしていた。吸収合併の危機にある社長マングラム氏と密かに彼を慕う秘書のミード嬢。 女優のグロリアを連れた大物映画プロデューサーのブーダ氏は、今日中にイギリスから出国しなければ莫大な税金を払わなければならないと戦々恐々。
しかしそれぞれに事情を抱えた人々の運命を狂わせたのは、ロンドン名物の濃霧。 飛行機が離陸できないため、空港のホテルに一泊することになったのだが・・・それぞれ全く関係ないように思える人々の組合せが意外な結果へと転がりだしてゆくテレンス・ラティガンの群像劇。 エリザベス・テイラー、リチャード・バートン、オーソン・ウェルズ、ロッド・テイラーとオールスターキャスト。
旅慣れないブライトン公爵夫人カバンの中もぐちゃぐちゃ。予防接種の証明書だと思って取り出したのは、なんと1943年の配給帳。この時代はアメリカに渡航するのに予防接種の証明が必要だったらしい。
スチュワーデス（フライト・アテンダント)に向かって、「車掌さん(Conductoress：Conductorを無理やり女性形にして)」などと呼びかけている。
貴族の中でも最もランクの高い公爵家でありながら、家屋敷を維持する費用を捻出するために、公爵夫人は嫌々ながらもフロリダのホテルに社交コンサルタントとして招聘されていた。少しでも費用を浮かせるために、なんとエコノミークラスで。
サセックスのサックスミードにあるという広大な城は、以前ナショナルトラストが買い上げるという話があったものの、立ち消えになってしまった。イギリスの城やマナーハウスがよく映画のロケ地に使われるのは、豪華で風格あるロケーションを求める製作者側と、財政事情の厳しい持ち主側の利害が一致した結果ともいえるのかもしれない。
テレンス･ラティガンは、生涯の友人だったヴィヴィアン・リーに実際に起きた出来事を題材にして原作戯曲を書いている。
ヴィヴィアンが夫のローレンス・オリヴィエを置いて愛人のピーター・フィンチと駆け落ちしようとした時、霧で飛行機の離陸が遅れたためにオリヴィエの元に戻ったというもの。
米アカデミー賞：助演女優賞（マーガレット・ラザフォード）受賞
ゴールデン・グローブ：助演女優賞（マーガレット・ラザフォード）受賞
Richard Burton .... Paul Andros(富豪の実業家)
Elizabeth Taylor .... Frances Andros(Paulの妻)
Louis Jourdan .... Marc Champselle (Francesの愛人)
Margaret Rutherford .... ブライトン公爵夫人
Orson Welles .... Max Buda(大物映画プロデューサー)
Elsa Martinelli .... Gloria Gritti(イタリア人女優)
Rod Taylor .... Les Mangrum (トラック会社社長・オーストラリア人)
Maggie Smith .... Miss Mead (Mangrum氏の秘書)
Linda Christian .... Miriam Marshall (Mangrum氏の恋人)Dennis Price .... Commander Millbank
Martin Miller .... Doctor Schwatzbacher(経理係)
Michael Hordern .... Airport Director (Sandersの上司)
Richard Wattis .... Sanders (空港のVIP担当)
Joan Benham .... Miss Potter(空港のVIP担当)
(1963年 イギリス 113分)
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