息を呑むような美しさ・ダートムーア

ダートムーアで放し飼いにされる馬 準備万端、まずはダートムーアへ。 「moor」というのは他のイギリス・カントリーサイドの穏やかさとはまったく趣の違う「荒野」。潅木や羊歯類、ヘザー(ヒース)の紫の花で覆われ、ごつごつとした岩肌がのぞく。

ダートムーアに行く途中に3年前に訪れた小さい村 Drewsteingtonを再び通過。かやぶき屋根、小さな雑貨屋 兼 郵便局…何もかも昔と同じでまるで時間が止まったよう。郵便局でポストカードを買った時にぴったりの金額で小銭を渡すと、おばさんは「Lovely」とにっこり。いったい旅行中何回この「Lovely」という言葉を人々の口から聞いたことか。代金を受け取る時の「ラヴリィ」、ラヴリィな庭、ラヴリィなカメラ屋、ラヴリィな天気、ラヴリィな車…

前回見逃していたFingle Bridgeを見に行く。橋の下には清流が、たもとには釣り宿。見上げると山にヘザーがたくさん咲いていて綺麗。もう少したつとあの山一面を紫色に染めるのだろう。 ヘザーでピンク色に染まる山ヘザーの花が山をピンク色に染め上げている

post bridge村を出てムーアを目指す。 このあたりは道が非常に狭く、羊が逃げないように両側に高く盛土がしてあるので見通しが悪く、運転には神経を使う。カーブでは警笛を鳴らして通らないと危ない。ほとんどの部分で1車線通るのがやっとだから対向車がきたらどちらかが行き違えるところまでバックしなければならない。広くなったところで時々トラクターを追い越す。轍(わだち)のあいだにこんもり茂っている草が車の腹をこする。

やっと対向車が来てもすれ違えるだけの道幅になりほっとする。 時々何にもないところにB&Bの看板がでてくる。そうこうしているうちに風景がどんどん変わってきて、あっという間に「ムーア(荒野)」らしくなってきた。

デヴォンの牛それはもう「Breath-taking(=息を呑むような)」とでも言いたくなるような光景だった。潅木、ヘザーの花の中にぽつんぽつんと羊の背が見える。ところどころで車を降りては、ムーアの中を歩きまわる。柵も盛土もないところに羊や馬が放し飼いになっているので自由に道路を横断している。ふらふらと歩いてくるのでスピードを上げると危ない。窓を開けて道路を歩いている馬に近寄ったら覗き込まれてしまった。立派な長い角を生やした茶色いデヴォン牛は、「ぶわぁりぶわぁり」、「もぎゅもぎゅ」と派手な音を立てて草を食べている。

 

ムーアの馬

こんな馬が放し飼いになっている。車に近づいてきたので窓からパチリ。

途中でカメラの調子が怪しくなってきた。 レンズが出てこなくなってしまったのだ。 しばらく置くとまた何かの拍子に良くなったりするので、だましだまし使っていた。 使い捨てカメラも念のため一個持ってきていたので助かった。 このまま行くとプリマスという大きな町に出てしまうのでそれは避け、タヴィストック方面に途中で進路を変える。

 

花いっぱいのB&B 〜カメラの復活

タヴィストックに着く前の夕方9:00頃、ダートムーアの外れに花でいっぱいのB&Bを見つけたのでそこに泊まる。 私たちが入ってきたとき、ご主人はせっせとガーデニングをしていたところだった。 こうしていつも手入れをしているからあんなにラヴリイな(=素敵な)庭になるのだろう。

部屋に入ると初老の奥さんが紅茶の入ったポットとカップを運んできてくれた。 壁紙とボーダーテープはブルー系で統一、家具はアンティークな雰囲気を醸し出していて美しい。 昼間買っておいた材料でサンドウィッチを作って食べたら、ものすごく美味しかった。 やっぱり薄切りのロースト・ターキーは胚芽パンに合うし、チーズも食欲をそそる。 デザートにフルーツ。

toilet

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