セント・アイヴズの賑わい

St.Ives セント・アイヴズは、まだ朝だというのにすごい人出。 丘の上に車を止めて降りていく。昨年ロンドンで泊まったホテルに予約を入れようとしたが、もう週末はいっぱいだという。さて、明日の宿はどうしよう。

中心部にあったParish Church(教会)に入ってみる。中はしんとしてステンドグラスや彫刻が綺麗。特に彫刻は材質の透き通るようなテクスチャー(質感)が見事だった。

外に出て歩いているうちに、この地方名物のコーニッシュ・パスティの製造実演をやっている店を見つけ、作り方を観察。 日本に帰ったら参考にして作ってみよう。あちらこちらから焼き立ての良い匂いが漂ってくる。

狭い少路にはありとあらゆる店がひしめくように建っている。 その中に私がコレクションしているアイルランドのUlster Waver社製のティータオル(麻製の長方形の大きなふきんのようなもの)を大量に展示してある店を見つけてしまった。 そこにはティータイムやキッチンが楽しくなるありとあらゆる小物が揃っていて、店ごと全部買い占めてしまいたくなるような品揃えだった。ティータオルを何枚かと、春夏秋冬の4種類のテディ・ベアの絵の付いたカッティング・ボード(飾りにもなる薄い木製の簡易まな板)を買ってしまった。カッティング・ボードはそんなに安いものじゃないし重くなるのでどれか1種類しか買ってはいけないと思っていたのだが、寛容な夫のお許しを得て揃えてしまった。

高台の景色の良いところに出て海の写真を撮る。 丘の上の小さな教会St. Nicholas Chapelの前では老婦人が「Have a look!(=見てってちょうだい!)」と、周りにいた人たちを集めている。 日本に縁の深い陶芸家バーナード・リーチ作の皿もあった。

きめ細かい砂のビーチを歩いてテート・ギャラリーのセント・アイヴズ分館へ。(本館はロンドンにある)

セント・アイヴズは多くの芸術家に愛された村で、その美術館も当地ゆかりの芸術家の作品や、セント・アイヴズの風景画を展示してある。


Tate GallerySt. Ives分館。開放的でモダンな建物。

 

海水パンツをはいて…?

セント・アイヴズを出て隣町Haylesの海岸へ。 ものすごい遠浅で、水際までかなり歩いた。ほとんどの人はずっと手前のほうで互いに日焼けオイルを塗り合ったり、日光浴したりしている。イギリスの海岸ではどこも泳ぐ人は殆どいず、もっぱらこのように砂浜に寝そべって思い思いのことをしている。 冬は重く垂れ込めた雲に覆われてしまう国の人たちだから、太陽が顔を出すと少しでも日の光を浴びようと、後で赤くヒリヒリになってしまうのもかまわず陽の下に肌をさらすのだ。 芋洗いの湘南の海で育った私には、こんなに良いお天気なのに人がぱらぱらしかいない海岸をみると驚きだ。茅ヶ崎では休憩のためのビニールシートを敷くスペースを確保するのさえ命懸けだったのに!(まあ大袈裟だが)

日差しは強いのに風だけは爽やか。 さっきセント・アイヴズで買ったコーニッシュ・パスティはまだアツアツだ。砂浜に腰を下ろして早速賞味。玉ねぎの甘みにピリッと効いたスパイスがマッチしていて、パイ皮もサクサク。もう一つぐらい食べたい気分だ。

先ほどから青い海を見ながらウズウズしていた夫が、待ちかねたように海水パンツに着替えて走っていく。 「うわっ!」水温がびっくりするほど低いのだ。まるで春先の日本の渓流のように。こんなに暖かくなったのはほんの数日前からで、夏はまだ海水にまで訪れていなかった。イギリスを取り巻く寒流のせいでもあった。これまでこの国の人が何故ビーチで泳がずに、甲羅干しに専念していたかという謎がここで氷解した。それでも小一時間くらい波打ち際で足を水につけながら遊んだ。夫は上半身裸だったので、イギリス人に負けないくらい真っ赤な背中になってしまった。

<コーニッシュ・パスティの収穫>

ご存知でしたか?こんなふうに樹になるんですよ!(大嘘)

 

真夏のクリーム・ティーもおつなもの

その後もずっと海岸沿いに車を走らせ、時々降りてフット・パスを歩く。 Godveryあたりで「Cream tea」の看板を見つけて休憩。「クリーム・ティー」とは、紅茶にジャムとクロテッド・クリームをたっぷりつけたスコーンを食べることを指す。(*クリームを入れた紅茶のことではない。)

暑いなかで熱い紅茶とこってりしたクリームを塗ったスコーンを食べるのもなんだが、不思議と落ち着く。このあたりの海岸には「ナショナル・トラスト」の小さな看板があちこちに立っており、彼らの努力によって自然のままの景観が保存されている。海岸の景色を楽しみながら歩くためのフット・パスがずっと続いていて、所々にヒースの咲くムーアが現れる。「North Cliff」が特に良かった。 St. AgnesNewquayも、町の中心から少し離れたところに絶好のview pointが広がっていた。


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