怪物はいないけれど: Loch Ness
いったんインヴァネス市街地に入ってから、A82を南下。 しばらく行くとかの有名なネス湖が見えてくる。 A82は走っていて気持ちのいい道で、左手にネス湖と林、右手にヒースの花咲く岩場が続く。 ところどころに休憩スペースもあるので車を停めて湖を眺める。 底知れぬ深く切れ込んだ湖で、湖底の地形は複雑で調査も難しいとか。 そんなところもネッシー伝説を生み出す素地になったのかもしれない。 肝心のネッシーは、有力な証拠とされていた写真が偽物とわかってしまったのだが、それでも観光地としてのネス湖は人気があるようだ。 湖上に浮かぶ遊覧船の姿も。 565年に布教に訪れた聖コロンバが村人を苦しめる怪物を神通力で追い払ったというのが最初のネッシー伝説。 こんなところでまたアイオナ島の聖コロンバの名が出てくるとは。
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湖畔に佇む廃城: アーカート・カッスル
ネス湖畔に佇むアーカート城は、13世紀に建てられたピクト人の豪族が住んでいた城で、17世紀にイングランド軍によって破壊された。
「Urquhart」を「ウルクハート」と読むなかれ。 絵葉書やグラビアによく登場するあまりにも有名な城なので、あらためて自分の目で見ると不思議な感覚。 湖畔に突き出た崖に立っている廃城には、吹きさらしの冷たい風が良く似合う。 |
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A82を南下:Loch Locky〜フォート・オーガスタスとカレドニアン運河
なにしろ縦に長い湖のこと、A82はぴったりネス湖に沿って続いてゆく。
ネス湖の端にある町、フォート・オーガスタス。 水路にカラフルな旗がいっぱいかかっていて、何かと思って地図をチェックするとこれが「カレドニアン運河」らしい。 そこそこ賑わっている町を後にしてしばらく進むと、ネス湖とカレドニアン運河でつながっているLoch Lockyに。 さらにLoch Lockyから次のLoch Linnheまでもつながっているので、インヴァネスからオーバンまで斜めにスパッと切れ込みが入っていることになる。
ベン・ネヴィス&グレン・ネヴィス〜フォート・ウィリアム
Loch Linnheの入口にある町フォート・ウィリアムは、スコットランドの、いやグレートブリテン島の最高峰ベン・ネヴィスのふもとにある町として、登山客・観光客で賑わっていた。
湖沿いに並ぶB&Bはどれもガーデニングに気合いを入れていて、それでいて看板を見ると一泊15ポンド程度のリーズナブルなところがほとんど。
もう夕方だったらここに宿泊してみたい感じだが、まだ日が高いので後ろ髪を引かれつつも先へ進んだ。 話は戻ってベン・ネヴィス。 本格的な登山の用意をしてこなかったので、車で行けるところまで行って散策したりして楽しんだ。 渓流に下りてみると、ゴウゴウと勢いよく流れる水はまさにウィスキー色。 この地方独特のピート(泥炭)層をぬけてくる水は、泥炭を含んで薄褐色に染まっている。 スコットランド最高峰とはいえ、高さだけでいえば1,344mと富士山などとは比べ物にならないのだが、そこはさすがに北緯57度。 北国の山地はまだふもとのうちから荒涼とした風が吹いている。 見上げればゴツゴツした岩肌にピンク色のヒース。 足元には鮮やかな緑の草原と良いコントラストをなす、可憐で黄色いキンポウゲ(buttercup)。 あたり一面に群生するキンポウゲの愛らしいさまを見ていると、欧米人が女の子をキンポウゲに喩えたりする気持ちが良くわかる。 そういえばベストセラー・ファンタジー『プリンセス・ブライド』のヒロインが「キンポウゲ姫」といったっけ。 |
グレン・ネヴィス沿いに走っている道はこれまたアップダウンが激しく、スピードを出していると酔いそう。
車も多かったが、中にはフォート・ウィリアム市街からずっと歩いてきたと思われるツワモノも少なくなかった。
ベン・ネヴィスの帰り、A82左手にウィスキーの蒸留所があった。 その名も「Ben Nevis Distillery」。 敷地内には観光客向けか、ハイランド牛も飼われていて子供たちの注目の的だった。 さっき渓流で見たようなウィスキー色の水を使って作られているのだろうか。 |
Loch Linnhe対岸との距離が短くなっているInchreeには、簡単な渡し舟があった。 向こう岸のCoranへは目と鼻の先。 |
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