ブラック・プディングの朝
これまで泊まってきたのは、どちらかというとB&Bの経営自体は副業でやっているような小さなところが多かったのだが、ここはご主人が本腰を入れてやっているようだ。
ダイニングはちょっとした食堂のようになっていて、いくつものテーブルが並んでいる。 卵の調理法を聞きにきたご主人に、ブラック・プディングは食べられるかどうかも尋ねられた。 「嫌だったら残しても全然構わないからね。 イングランド人だって食べないんだから。」
ポリッジ、オレンジジュースから始まるフル・スコティッシュ・ブレックファスト。 テーブルの上には、ウォーカーズのOats Cakeの丸缶も載っている。 これはオーツ麦から作った平たいクラッカーのようなもので、よく朝食のテーブルに用意されている。
ベーコンはエアシャー(スコットランド南部)産のものということで、塩味もそれほどきつくなく美味。 それにソーセージ、マッシュルーム、焼トマト、卵。 肝心のブラック・プディングの味はと言うと・・・なんだか風味が英国ソーセージに似てる。 ブラック・プディングは、オーツ麦などに豚の血を加えて作った極太ソーセージのようなもの。 イギリスの普通のソーセージだって、肉以外の混ぜ物が多いのだから、このブラック・プディングと味が似ていても不思議ではない。 血の匂いもそれほど気にならないし、イギリス風ソーセージが好きならこれもきっと気に入るはず。
後から他の宿泊客も降りてきてテーブルについたが、紅茶でなくコーヒー、しかもこの豪華なフル・スコティッシュ・ブレックファストを断って、シリアルだけで済ませる人もいた。 見たところ観光客ではなく、近在の人間らしい。
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廊下に貼ってあったマッキントッシュ風のポスターが気になって近づいてみてみると、やはり。
マッキントッシュが、この町にあるホーリー・トリニティ・チャーチの内装か何かを手がけており、毎週土曜日はそれが一般公開されているとのこと。
残念、今日は金曜日。
夕方に飛行機に乗ってもうロンドンに向かわなければならない。 宿を出てから改めて町を見回すと、中心から離れたところに豪壮な邸宅街を発見。 どの家も造りが大きく、装飾も凝っているので、車をゆっくり走らせてお宅拝見としゃれこむ。 このあたりからはスターリングのウォレス・モニュメントがよく見える。 町外れにスターリング大学のキャンパスもあり、次の目的地がすぐ迫っていることに気づいた。 |
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石畳の町スターリング
スターリングと聞いて目に浮かぶ風景は、丘の上に聳え立つ大きくていかめしい城、ウォレス・モニュメント、そして足元の石畳。
城・モニュメント・石畳と言えばエディンバラもそうだが、同じスコットランドでもこうも印象が違うものか。
ウィリアム・ウォレスやロバート・ザ・ブルースがイングランド軍を相手に戦った、軍事的要所であるという歴史がそうさせているのか。 朝早くからスコットランド城目指してたくさんの車が集まってきたが、みな駐車場の入り口で追い返されてUターンしている。 警備係の女の子に聞いてみると、今日はこれからボブ・ディランのコンサートの設営をするので、駐車場が使えないとのこと。 ふつふつとボブ・ディラン相手に怒りを燃やしながら、手近なところに車を止めて戻る。 |
ホリルード教会 |
Mar's Wark |
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だが付属の駐車場に入らず城の周りを歩いたのは、帰って良かったかもしれない。
まず目に入った立派な建物ふたつ、左がホリルード教会、右がMar's
Wark(綴りママ)。 Mar's Warkというのはジェームズ6世(のちの英国王ジェームズ一世)の摂政だったマー伯爵が作らせた建物だったとか。
緩やかな石畳を上っていくと、右手にはスモーキー・ピンクの屋敷アーガイルズ・ロッジングが。 その昔アーガイル伯の逗留先だったところ。 |
駐車場では、土木作業員たちがコンサート会場の設営に精を出している。 中にはキルトを着たスコッツ魂あふれる作業員もいて、思わず後姿をこっそりカメラに収めた。 城の外にはウィリアム・ウォレスなどの像がいくつも立っている。 |
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