トリニティ・カレッジ(Trinity College)

トリニティ・カレッジはアイルランド最古の大学(1592年、エリザベス一世の勅許により創立)で、最高の教育機関として知られている。 かのオスカー・ワイルドやサミュエル・ベケットもここで学生時代を過ごした。

このトリニティ・カレッジには「ケルズの書」という世界で最も古く(9世紀初頭)典麗な装飾写本のひとつがある。 ケルト美術に興味のある方は必見。 このラテン語の福音書は、アイオナ島の修道院の僧によって写本されたと言われており、バイキングの侵略を避けるためにダブリン北部Kells Abbeyにもたらされたもの。 他に「ダロウの書」「アーマーの書」という装飾写本も展示されている。

古めかしい皮表紙の書籍で天井近くまで覆い尽くされた図書館(ロング・ホール)は壮観。 アイルランド最古のハープもこのロング・ホールに展示されていた。

ここのミュージアム・ショップの充実ぶりには目を見張った。ケルズの書をモチーフにしたケルト模様グッズ、タラ・ブローチやクラダー・リングなどのアクセサリー、ワイルドやジョイス、イエイツなどをモチーフにしたアイルランド文学グッズなど、街の土産物屋より洒落た高級感あふれるお土産が揃っている。

正面玄関や中央の鐘楼など、このトリニティ・カレッジで撮影された映画『リタと大学教授』の世界そのもの。 ふっと建物からマイケル・ケイン演じるブライアント教授が歩いてきそうな錯覚にとらわれる。

表に出ると先程までの静寂が嘘のよう。 グラフトン・ストリートではストリート・ミュージシャンが演奏の真っ最中。

Trinity College and Old Library
アイルランド政府観光局でもらった冊子を持っていたので、ケルズの書の拝観料が割引になった。 トリニティ・カレッジ自体は入場無料。
住所:Fellows Square, Trinity College, The University of Dublin, Dublin 2
www.tcd.ie
 
トリニティ・カレッジで撮影された映画
『リタと大学教授』 Educating Rita (1983)
『サークル・オブ・フレンズ』 Circle of Friends (1995)

立博物館(The National Museum of Ireland)

隣の国立図書館とシンメトリーになった美しい建物。 アイルランド各地から発掘された遺跡などの考古学出土品や、美術・工芸品が収蔵されている。 有名な国宝「タラのブローチ」、「アダックの聖杯」「コングの十字架」

イースター蜂起など独立運動にかかわる資料集、軍服の展示もある。

National Museum of Ireland
Kildare Street, Dublin2
www.museum.ie

通り(Kildare Street)の向かいにブラム・ストーカー(『ドラキュラ』などを書いた作家)が住んだ家があった。

 

自然史博物館(The Natural History Museum)

オオヘラジカをはじめとしてありとあらゆる動物の剥製が展示されている・・・旅行案内に"Dead Zoo"と書かれていたが、まさにその通り"動物園"。 しかもいちいち躍動感を持たせるためにポーズをつけられているのがすごい。 成体と一緒にその子供やヒヨコの剥製まである。 図鑑好きな子供が来たら目を輝かせて喜ぶだろう。

 

 

国立美術館(The National Gallery of Ireland)

おめあてのカラヴァッジオ作「キリストの逮捕(The Taking of Christ, 1602)」には感動! アイルランドの画家による作品を中心に、Russborough Houseの大富豪Beit卿から寄贈されたベイツ・コレクション、ウォーターフォード・クリスタルのシャンデリア煌くバーナード・ショウの肖像画がかけられた「ショウ・ルーム」、イエイツ一族(ジョン・バトラー・イエイツなど)の作品が収められた「イエイツ・ルーム」の他、フェルメールの「手紙を書く婦人と召使(Lady writing a Letter with her Maid)」、ルーベンスなどの大作、英国絵画(レイノルズ、ゲインズボロ、ホガース)もある。
The National Gallery of Ireland
住所:Merrion Square West, Dublin 2
www.nationalgallery.ie

#映画『私が愛したギャングスター』 Ordinary Decent Criminal (2000)には、この国立美術館からカラヴァッジオ「キリストの逮捕」やフェルメール「手紙を書く婦人と召使」を盗み出すというエピソードが登場する。

 

メリオン・スクエア界隈 ・・・オスカー・ワイルドを訪ねて:ダブリン編

観光客向け馬車が走っているように、このメリオン・スクエア界隈はジョージアン朝の建築様式が残った美しい地域だ。 この公園に面した家のドアはどれも上に半円形の飾りが付いたもので、色とりどりのドアを見て歩くだけでも楽しい。
Merrion Square
ダブリンの中心にあってほっと一息つける閑静な公園。 初夏とあって、新緑がまぶしかった。
 
No. 1 Merrion Square North
パリがワイルドが没した地であるのに対し(ワイルドの墓参りについては後述)、ダブリンは彼が生まれた土地。 国立美術館から通りをはさんだメリオン・スクエア(Merrion Square)を囲む瀟洒な一角に、ワイルドが少年時代を過ごした家があった。 現在は「ワイルド・ハウス」としてAmerican Collegeが入っている。ちなみにジェイムズ・ジョイスがのちに妻となるノーラ・バーナクルと最初のデートの待ち合わせをしたのがこの場所(『ノーラ・ジョイス 或る小説家の妻』)
 
No. 21 Westland Row
そのメリオン・スクエア一番地から歩いてほど近いところにあるのが、ワイルドが生まれた家で、現在トリニティ・カレッジの所有となっている。
 
No. 58 Merrion Square South
アイルランド中にある「オコンネル・ストリート」のルーツはこの人!の、19世紀のカトリック解放法成立に尽力した独立運動英雄ダニエル・オコンネル(Daniel O' Connell,1775-1847)が住んでいた家。
 
No. 82 Merrion Square South
アイルランド文学史上に燦然と輝く作家W.B.イエイツ(William Butler Yeates)が住んでいた家
No. 24 Merrion Street Upper
ウォータールーの戦いでナポレオンを打ち破ったウェリントン公(Duke of Wellington, Arthur Wellesley)が生まれた家"Mornington House"

No. 1 Merrion Square North

No. 21 Westland Row

Daniel O' Connell


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