ラスバラ・ハウス(Russborough House)

ダブリンの国立美術館に貴重なコレクションを寄贈した大富豪Sir Alfred Beitのお屋敷が、このラスバラ(ラスボロ)・ハウス。アイルランドを騒がせた大泥棒Martin Cahill1986年5月にこの屋敷に侵入し、フェルメールやルーベンス、ゴヤなど18点の絵画を盗んだ事件はあまりにも有名。被害総額5000万ポンドという当時史上最大の絵画盗難事件となった。

このお屋敷への入場はガイド・ツアー形式のみとなっているが、調度品の謂れなどを詳しく解説してもらえて、大変有意義な見学となった。マリー・アントワネットから贈られた顕微鏡、マダム・デュ・バリー("ベルばら"にも登場したルイ15世の愛妾)のモノグラム入り食器セット、各部屋の比類なきほどに豪華なプラスター・ワークやモールディング(それぞれ天井に施された意匠)、アーリー・ジョージアンの家具多数、18世紀初頭の時計がまだ動いているという驚き、天井とお揃いの絨毯、Stainwayのピアノ・・・庭園側から建物は無料で見られるが、このゴージャスな内装を見逃す手はない。

ダブリンの国立美術館と時々展示が入れ替えられているそうで、その日屋敷にあった絵画も美術館クラスの名品ばかり。

Russborough House
18世紀中盤、Joseph Leeson(後にミルタウン伯爵となる)のために建てられたパラディアン・スタイルの華麗な屋敷。1952年にBeit卿が自分の絵画コレクションを飾る場を求めて購入し、その豪奢な調度も含めて一般公開されている。
Russborough, Blessington, Co. Wicklow
#アイルランド政府観光局でもらった冊子を持っていたので、入場料が割引になった。
 
映画『ジェネラル 天国は血の匂い』 The General (1998)
Russborough Houseからのベイツ・コレクション盗難事件が描かれている。

Russborough HouseからHollywoodBaltingrassRathvillyときてR726に入り、CarlowからN9,N10経由でキルケニー着。

 

キルケニー城(Kilkenny Castle)

キルケニーは中世までアイルランドの首都だった古い都。 細い石畳の脇道が複雑に入り組んだ様が印象的で、思ったより大きく活気のある街だ。 その活気の素はと観察していると、若者の割合が異様に高いことに気が付く。 カトリックの国アイルランドは子沢山でもともと若年層の割合が高いのだが、この夕べは特に通りに若い熱気があふれていた。 パブの外まで人があふれ出し、地べたに座ってワイワイ飲んでいる。

Last Admisssion(最終入場時間)の18:00にぎりぎり間に合ったので、キルケニー城に入る。 ここもガイドツアーによる見学となり、カメラは地下のセキュリティ・ルームに預けるよう言われる。(が、特に持ち物検査などはなし)

ガイドツアー形式の見学となっていて良かった。 ガイドさんが滑舌良く興味深い話をたくさんしてくださったから。 館内の家具やお宝は財政難でオークションにかけられ大半は散逸してしまったそうだが、修復されたうえで展示されている。 玄関ホールに置かれた大きなテーブルは、一族の誰かが死んだとき遺体を置くのにも使われたとか。 エドワード7世を迎えるために急遽作られたという巨大便器には笑えた。 (普通は、貴人は各部屋におまるを用意されるが、この時は歓迎の意を最大限に示すために巨大な便器が作られたのであって、決してエドワード七世のお尻が特大だったわけではないそうだ。) ずらりと肖像画が並んだロング・ギャラリーにあった大きなティー・キャディー(紅茶を入れる鍵付きの箱)に我々の眼は釘付け。欲しいー。 "並んだ4つの本棚のうちどれが一番古いでしょう?"クイズの答えは、ガラスが波打っている本棚。 昔のガラスは現在のもののようにビシッと平らにはなっていなかったのだ。

広大な芝生の庭は誰でも自由に入って遊べるようになっており、ボール遊びをする若者たちや子供たちで賑わっていた。

 

B&B探して郊外へ

城を出てから、町の中心を少し外れた辺りでB&Bを探し始めたが、どこも空きがない。 「バンク・ホリディの連休だから予約がいっぱいでごめんなさいね。」 こうなったらlovelyなところがいいとか贅沢言ってられない。 B&Bの看板を見つけるとすかさず次々に尋ねてまわる。「Have you got a room tonight?」

街道沿いにどんどんキルケニーから離れてしまう・・・。 途中で小高い丘の上に建ったコンサバトリーらしきものがあるものすごーーくlovelyな佇まいの理想的なファームハウスがあったのだけど、そこも残念ながら満室。 庭にいた可愛らしい大型犬が懐いてきて後ろ髪引かれた。 車に乗ってもまだ笑顔で尻尾を振って付いてきたのだから。

ようやくかなーり走ったところに素敵なファームハウス発見。 空室があったのでめでたくそこに落ち着いた。 かなり走ったとはいっても、ガソリン代なんて街中の便利だけど狭いB&Bに泊まることを考えたら断然お得。 着いてすぐお茶を勧められたのでお願いしたら、外の景色が見える気持ちのいいテーブルに、マクビティのビスケットを皿に山盛り入れて、ティーコージーのかかったポットとともに盛ってきてくれた。 夏時間のなかなか沈まない夕日を見ながらいただいたこの時の紅茶の味が忘れられない。 そばにあったアンティークの家具やオルゴールも興味深かった。


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