Moll's Gap、貴婦人の眺め(Lady's View)

ケンメア(Kenmare)からキラーニー(Killarney)に通じるN71には、これまた絶景ポイント多数。 そのひとつがMoll's Gap。峠には景色を楽しむドライバーのためにちょっとした御食事処と駐車場がある。 その駐車場に後輪が溝にはまって動けなくなってしまったおばあさんの車を持ち上げようと人だかりが出来ていたので、降りていって手伝う。 ようやく脱出できた時歓声が挙がった。

ゆるやかに下っていくと、貴婦人の眺め(Lady's View)と呼ばれる絶景ポイントに着いた。 キラーニーに向かって連なる幾つかの湖が重なって、谷あいに散りばめられた鏡か宝石のように見える。 光が差して湖面に反射して輝くさまはえもいわれぬものが。

 

キラーニー国立公園(Killarney)

キラーニーはさすがに西部観光の拠点というだけある賑わいを見せている。 今日のワールドカップはアイルランド×ドイツ戦。 キラーニーの繁華街では国旗を体に巻きつけた若者たちが練り歩いていた。 観光馬車が街を縦横無尽に走り、路上では彼らのオトシモノがほかほかと湯気を立てている。 同じように観光馬車が行き交うブルージュと違う点は、こちらには馬のお尻にフン受けの布がついていないこと。

キラーニー郊外にLough Leane(またはLower Lake)という湖があり、湖畔にたたずむRoss Castleという14世紀の城とともに、観光馬車が通るルートになっている。この城はその昔クロムウェルの軍隊によって攻略されたのだった。


Ross Castle

 

ダンロー渓谷(Gap of Dunloe)

キラーニー(Killarney)に来たらここは外せない、という絶景ポイントがこのダンロー渓谷(Gap of Dunloe)Lower Lakeをぐるっとまわって渓谷の入り口へ。 馬車の集合場所となるKate Kearney's Cottage の近くに「自動車には不適(Unsuitable for Vehicles)」との看板はあるが、小型車ならなんとか大丈夫。 ただし道が狭く危ういので腕に自身のあるドライバーに限る。 険しい山に挟まれた、所々に川や滝、湖が見える曲がりくねった谷間の道はまるで別世界。 さすがアイルランド最高峰のMacgillycaddy。ダイナミックで変化に富んだ息を呑むような光景だ。 長い道のりなので、観光馬車も走っている。 そのためか、いいポイントで写真を撮ろうと車を降りるときは、まず足元のオトシモノに細心の注意を払わなければならぬ。

 

リング・オブ・ケリー(Ring of Kerry)

ダンロー渓谷を抜け、先刻のMoll's Gapに近い道からR568を西へ。 スニーム(Sneem)からケリー周遊路(Ring of Kerry)に入る。

Ring of KerryとはIveragh半島を一周する景観の良い周遊路のこと。 サイクリングを楽しむ旅行者の姿も多く見られた。 海の色が信じられないほど透明度が高い。 そして白い砂浜に紺碧の空。

 

そろそろおなかも空いてきたことだし、お食事処を探さねば。 Watervilleという村(後で調べたらチャップリンがここに別荘を持っていた村だとわかる)を探索。 「お食事できます(Bar food available)」と看板があるパブにふらりと入ると、カウンターに座っていた7,8人ほどのいかにも常連客という風情なおじちゃんたちのギョッとした視線が我々に釘付けに。 ひゃぁ。 残念ながらピークシーズン以外の平日夜は食事を出していないとのことで退散。 あの好奇心いっぱいの視線には驚いた・・・。

 

Cahersiveen

夕食を求めて次の町、Cahersiveenへ。「地球の歩き方」をめくると「ガーシビーン」と書いてあるが本当にそう発音するのか? ゲール語読み?(その答えは翌朝判明する)

19世紀のカトリック解放運動の英雄ダニエル・オコンネルが生まれたのはこの町だったそうだ。 アイルランドで「オコンネル・ストリート」といえば、たいえいはその町一番の目抜き通り。

メインストリート(といってもすぐ終わる)の中で、ちょっと気になる構えの店があったので近づいてみると、ドアの横にさまざまな食関係の受賞歴を示すプレートがかかっているパブ兼シーフード・レストランだった。 よし、今夜の食事はここに決めた。

 

メイン・ディッシュは、黒板にあった「本日のお勧め」からチョイス。メニューには 「All Fish suppled from Kerry Fish our family fish business」と書いてあったので、その日に獲れた魚によってお勧めを決めるのだろう。 釣り人なら胸をときめかせる、そうでない方は聞いたこともないかもしれない魚「ジョン・ドーリー(マトウダイ)」。身が締まっていて味がしっかりした極上の白身魚。 新鮮な素材を生かした調理を心がければ決して失敗しないだろう。

オードブル:Sizzling Deep Water Atlantic Prawns cooked in Garlic & Olive Oil.

メイン1:John Doryのロースト
・・・オリーブ・オイルとガーリック風味で素材を生かした調理法。

メイン2:Hakeのグリル、ヴィネグレットソース

メインにはそれぞれグリルした野菜がついてくる。ポテト、ターニップ(カブ)、ニンジンなど。 そして飲み物はギネス1パイント(3EURO)。さすがパブだけあって、注ぎ方が上手。グラスを置いてもなお流れ落ちないほどクリーミーな泡。素材は自家調達なので、新鮮なシーフードを堪能できる。

QC's Char-grill Bar & Restaurant
www.qcbar.com


アングラー(釣り人)にはおなじみ、マトウダイ(John Dory)
アジなどの生餌で釣る

 

満腹になったところでB&Bを探し、高台に上ったところにあるところに決める。 家の裏に牛を飼っているらしく、時折のどかな鳴き声が聞こえる。 三本足の愛らしい子犬が庭にいて、外に出るとはしゃいで懐いてくるのが嬉しい。 宿にはCahersiveenのお勧めレストランのメニューがいくつか用意してあって、そこにも先刻のQC'sのものもあった。 やはりあれだけ賞を獲っているBarだもの、有名な店なのだろう。


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