ライム・パークはジェーン・オースティン愛好家の巡礼地

朝方B&Bで「あのジェーン・オースティンの!」と言われたように、ライム・パークといえばオースティン原作の『高慢と偏見』Pride and Prejudice (1995)が撮影されたところと連想する人が多いらしい。 伝説的な視聴率と熱狂的な支持を獲得したBBCのTVシリーズだが、今でも繰り返し放映され(私の滞在中もちょうど放映されていた)、"Mr. ダーシーのお屋敷"をひと目見ようとやってくるファンは後を絶たない。 駐車場前の案内所にもMr. ダーシー役のコリン・ファースのポスターと、額に入れた小さなポートレートが飾ってある。

入口からすぐのところに、一般旅行者から見たらなんでもないドアと階段があるのだが、ここで記念撮影する婦女子があまりにも多し! そう、この階段もドラマに登場するのだ。 ここで写真を撮っている人=『高慢と偏見』のファンと判断していいだろう。

このお屋敷の代々の当主は少し変わった趣味の持ち主だったのか、インテリアの趣が他のマナーハウスとは異なっている。 シャンデリアや暖炉飾りが木彫なのだ。 また狩猟を好んでいたためか、狩関係の絵画やトロフィー(獲物の鹿首を剥製にしたもの)が壁一面を所覆っていて、気が弱い女性だったら眩暈がするかも。 絵といっても"まさに鹿の首を掻ききった瞬間、血がドピューッ"といったグロテスクなものもいくつか。

最近ここでグラナダTV製作のThe Forsyte Saga (2002)(『林檎の木』で知られるノーベル賞作家ゴールズワージー原作)という時代劇が撮影されているそうで、ジーナ・マッキーヨアン・グリフィズが着た衣装が展示されていた。

庭園側に出ると、前の池に映りこんだ建物がたいへんフォトジェニック。 鮮やかなピンクの花をつけたシャクナゲや林の向こうに赤鹿の群れが。 売店の一番目立つ位置に陳列されているのは、やはりドラマ『高慢と偏見』関連商品。 原作、メイキング本The Making of "Pride and Prejudice"、ビデオとてんこもり。 考えてみればすごい経済効果だ。 放映後、入場者数は二倍近くに増えたとか。

『高慢と偏見』でイギリス中の、いや世界中のの女性をとりこにしたのは、"池に飛び込んだMr.ダーシーが濡れたシャツで歩く姿"なのだそうだ。 この池をひと目見てみたかったので、庭園の入口にいた切符もぎりのお兄さんにおそるおそる尋ねてみた。 私と同じような質問をする人がよほど多いのか、「ああ、あの池ね!」とサラサラと慣れた手つきで地図を描いてくれた。 撮影時のエピソードも嬉しそうに話してくれたりして。 その池は思ったより離れたところにあり、途中で迷って他の人にも聞いたが「Mr.ダーシーの池」というだけで、すぐわかってくれたのには驚き。 屋敷から出て羊が放牧されている牧場のフットパス(といってもケモノ道のような)を、ひたすら歩いていくことになった。 丈高く生い茂った雑草や牧草を踏み分け、羊のオトシモノを踏まないように地雷原でも歩くように慎重かつ迅速に進んでいくことになる。 本当に羊が多くて、すぐ手が触れそうな位置でのんびりと草を食んでいた。


Mr.ダーシーの池

あるかなきかのfootpath・・・
Lyme Park(ライム・パーク)
住所:Disley, Stockport,SK12 2NX

 

マンチェスターに戻りロンドンへ

ライム・パークからマンチェスターはA6道路一本で結ばれ便利。 ただし夕方近くなってきたこともあって、渋滞気味でゆっくりとしか進まない。 ストックポートを過ぎたあたりで最初で最後の給油をし(燃費が良かった)、無事迷わずにCity Centreのeasycar(レンタカー)事務所に到着し返却の手続きをした。

マンチェスター・ピカデリー駅までは歩いてすぐ。 ロンドン行きのヴァージン・トレインはあらかじめネットで予約しておいたので、座席確保の心配をすることもなかった。 三時間も立ちっぱなしは辛いから。 クリスプスをつまみながら、車窓を流れるイングランド中央部の風景に見入る。 マクルスフィールド、ストーク・オン・トレント(陶器で有名な)、おおBletchley!(第二次大戦中イギリス軍の秘密暗号基地があったところ)、ミルトン・キーンズ!

悪名高いイギリスの鉄道だが、予定時間よりそう遅れることなくロンドン・ユーストン駅着。 さぁ、インド料理でも食べに行こうか。


ロンドン編は時系列で書くのが難しそうなので、いずれ地域ごとにまとめて書くかもしれません。


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