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タイトル*お


『王子と乞食』 The Prince and the Pauper(1978)

別題:Crossed Swords

監督:Richard Fleischer

Story

イングランド皇太子エドワードと乞食のトムはうりふたつ。ある日宮殿に忍び込んだトムとエドワードが面白半分に衣装を交換したことから、ふたりは入れ替わってしまった。エドワードが宮殿に戻ろうとしても、周りの人間は気が触れたに違いないと相手にしない。浪人中の剣士マイルスに助けられ、下々の暮らしを見聞するうちに王子としての責任に目覚めていくエドワード。一方慣れない宮廷の生活にうんざりしながら、レディ・ジェーンに淡い恋心を抱くトム。ふたりは無事元に戻れるのか・・・?

マーク・トウェイン原作の児童文学の映画化。実際にヘンリー8世ゆかりの邸宅が撮影に使用された16世紀の華麗な宮廷絵巻が見もの。

 

Check!

貧民街オウフル・コート

貧民街で有名なスミスフィールドにあるという設定。(のちにエドワードの姉メアリーが即位した際、このスミスフィールドに刑場を設けて新教徒を大量処刑した)

道化

宮廷では王のそばには道化を侍らせていることが多かった。シェイクスピアの『リア王』のそばにもつねに道化がいて重要な役割を果たす。

ヘンリー8世とノーフォーク公

ノーフォーク公を「王位を狙う第一の男だ」と警戒するヘンリー。さらに「スコットランドではしくじっとるからな」と嫌味を言う。ノーフォーク公はイングランドきっての大貴族。

仮面舞踏会の席で大逆罪で逮捕されたノーフォーク公は「このような処置は不幸な妻(unfortunate wives)だけかと思ったが」と、ちらりと王とその傍らの王妃を見上げて答える。この王妃キャサリン・パーと結婚する前、ヘンリーには5人もの女性と結婚してきたが、2人は離婚、2人は処刑、1人は産後すぐ亡くなっている。このキャサリン・パーは生き延びた唯一の王妃だった。

皇太子になりきれないトムのふるまい

食事中に汚れた指を洗うためのフィンガーボウルが出された時、トムは知らずに中の水を飲んでしまう。だが周りの人々は主君であるトムにあわせて一緒にフィンガーボウルの水を飲む。

「スコットランド女王とは結婚できない。まだ6歳だ!」

廷臣から政略結婚を促されて憤るトム。スコットランドのメアリーは生後一週間で父王を亡くしていたので、幼いながらもすでに「女王」だった。

「スコットランドと戦争したらフランスが黙っていない」と廷臣が諌めるのは、メアリー女王の母(マリー・オブ・ギーズ)がフランスの大貴族の出だったこともあって、スコットランドとフランスの関係が深かったから。(参考『エリザベス』

 

モデルとなった人々

王子エドワード(1537-1553)

のちのエドワード6世。父はヘンリー8世。母はその3番目の妃ジェーン・シーモアで、エドワードを産むとまもなく亡くなってしまう。1547年父王が亡くなったため9歳で即位。(映画のエドワードは当時17歳のマーク・レスターが演じているが)1553年にわずか15歳で死亡。

この映画ではアウトローたちの親玉ラウラーのアジトで、僧院を壊され追放された道士の話を聞き、自分が王になったらそんなことはさせないと憤るエドワードだったが、実際には彼の治世で宗教改革の名のもとに多くの修道院や教会が破壊され、財産が没収された。

ヘンリー8世

1509年18歳で即位。歌舞音曲、スポーツを好み、多くの芸術家のパトロンとなった。6人もの妻を持ったことで有名。(参考:『エリザベス』1000日のアン』『わが命つきるとも』)

キャサリン・パー

仮装舞踏会で王の横にいたのは、最後(6番目)の妃キャサリン・パー(1512-1548)と思われる。ヘンリー8世が亡くなると、エドワードの母ジェーンの兄であるトマス・シーモア(1508-1549)と再婚する。キャサリンがお産で命を落とした翌年に、トマスはエドワードの姉であるエリザベスとスキャンダルを起こし反逆罪で処刑される。

レディ・ジェーン

年格好や状況(*注)から見て、ヘンリー8世の妹の孫、レディ・ジェーン・グレイと思われる。
エドワードが夭折した後、ノーサンバーランド公ジョン・ダドリーに担がれて女王になるが、わずか9日間でその座を追われロンドン塔で処刑された。(映画『レディ・ジェーン 〜愛と運命のふたり〜』

注:王妃キャサリン・パーはジェーンとエリザベスを手元において養育していた。この映画のように王子の姉エリザベスといつも一緒にいるジェーンという名の貴婦人は、おそらくジェーン・グレイだろう。コッツウォルズのウィンチクームにあるスードリー城では、一時期この3人が同居していたこともある。

エリザベス

王子の姉エリザベスは、のちのエリザベス1世。国政をおろそかにする弟を諌め、王者としての責任を問う姉にトムはこう反発する「王は私だ!国は私が好きなように治める。王位がそちに渡った時英国の心配をせよ!」・・・数年後にエリザベスに王位が渡った時、彼女は自分の言葉通りに王者の自覚を持って国を治めていくことになる。参考:映画『エリザベス』

ノーフォーク公

イングランドきっての大貴族、第三代ノーフォーク公爵トマス・ハワード(1473-1554)。ヘンリー8世の2番目の妃アン・ブーリン(エリザベスの母)と、5番目の妃キャサリン・ハワードの伯父。ヘンリー7世の義理の兄弟。

1513年Flodden Fieldの戦いでスコットランドを打ち負かす。1542年に名のキャサリン・ハワードが処刑された際に影響力を失う。この作品ではエドワードが彼を釈放するが、実際にはエドワードの生きている間は反逆罪で投獄されたままだった。ノーフォーク公が釈放されるのは次のメアリー1世の時代になってから。

ロケ地

PenshurstPlace, Kent(チューダー朝の豪華な屋敷)
Westminster Abbyなど

キャスト

Mark Lester .... 皇太子Edward/乞食Tom Canty
Oliver Reed .... Miles Hendon(浪人中の剣士)
Raquel Welch .... Edith(マイルスの婚約者)
David Hemmings .... Hugh Hendon (マイルスの弟)

Charlton Heston .... ヘンリー8世
Rex Harrison .... Norfolk公(英国きっての大貴族)
Harry Andrews .... Hertford
Julian Orchard .... St. John
Lalla Ward .... Princess Elizabeth(皇太子の姉)
Felicity Dean .... Lady Jane

Ernest Borgnine .... John Canty (トムの父)
Sybil Danning .... トムの母
George C. Scott .... The Ruffler (アウトローたちの親分)

参考資料とソフト

imdb.com/Title?0077381

『とびきり愉快なイギリス史』
ジョン・ファーマン (著), 尾崎 寔 (翻訳) ちくま文庫 (1997/04/01) 筑摩書房

『英国王室史話』(上)
森 護・著/中公文庫
王室にまつわるさまざまなエピソードをわかりやすく紹介している。

 

(1977年 イギリス 121分)


『大いなる遺産』Great Expectations (1946)

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『オースティン・パワーズ』Austin Powers: International Man of Mystery (1997)

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『オー!ラッキーマン』O Lucky Man! (1973)

監督:Lindsay Anderson
脚本:David Sherwin
原作はヴォルテールの小説『カンディド』より
音楽:Alan Price(The Animals)

Story

成功を夢見る野心家の若者トラヴィス。コーヒー会社の営業マンとしてイングランド北部に赴任したのを振り出しに、行く先々でさまざまな危機を乗り越え経験を積み、ついには世界の銅山の半分を所有しているという大富豪の助手にまで取りたてられるが、またもやどん底へ。落ちるところまで落ちてもひたすら成功への道をつっぱしるラッキーな男の行く末は・・・?1973年カンヌ映画祭正式出品作品。

Check!

インペリアル・コーヒーの営業

進入社員のミックが突然北部イングランド担当という要職を任されたのは、前任者が失踪してしまったため。西はランカシャーから南はハンパー。車で担当地域を回るうちにさまざまな事件に出くわす。

最初に落ち着いたのは"Sutherland House"という個人経営のホテル。前任者もこのホテルを利用しており、部屋には彼のテディ・ベアなどが残っていた。

ヨークシャーの"Royal Wakedale Hotel"のホテルマン、チャールズ氏とその周辺の人脈が作れたと思ったら、いきなりのスコットランド転勤命令。そこから彼の人生は少しずつ脱線を始める・・・

警官の横暴

警官は自分たちの都合で、被害者の荷物をネコババしたり、無理な拷問にかけたり・・・と、非常識な人々として描かれている。

フットパス

ミックが供物を食べようとした教会の牧師の子供たちに案内されて歩いていたフットパスの風景が美しい。

パトリシア

大富豪の娘に生まれながらも、自分の父の財産にはまるで頓着ない。壁にかかっているルノアールの絵を気に入ったからといってカッターで切り取って持ち帰ってしまったりする。
幼なじみの公爵ディッキーとともにどこまでもついていってやる優しさも。

クラブ

Sirジェームズの秘書として働くミックは、バジル・キース氏に呼ばれて、下院に近いクラブに出向く。中は政治家と見られる裕福そうな人々でいっぱい。

ミュージカル仕立て

物語を引っ張るバンドの音楽はアラン・プライス(元アニマルズ)によるもの。

時を駆ける男? ミック・トラヴィス

リンゼイ・アンダーソン監督作品のIf もしも・・・』(1969) 『ブリタニア・ホスピタル』(1982) には、マルコム・マクダウェルが"ミック・トラヴィス"という役名で出演しており、他にも共通する俳優&役名がたくさん。恐怖の医学研究所所長ミラー教授の名前も『Britannia Hospital』に出演。

ロケ地

ロンドン(イーストエンドなど)、ヨークシャー他

キャスト

Malcolm McDowell .... Mick Travis
Helen Mirren .... Patricia (大富豪Sir James Burgessの娘)
Ralph Richardson .... Monty/Sir James Burgess(Patriciaの父)
Graham Crowden .... Stewart教授/Millar(Millar Reserach Clinic所長)/Meths Drinker
Rachel Roberts .... Gloria Rowe(帝国コーヒー広報部長)/Mme. Paillard/Mrs Richards
Arthur Lowe .... Mr Duff/Charlie Johnson(ヨークシャーのホテルの重役)/Dr. Munda
Mary MacLeod .... Mary Ball(Sutherland House Hotelの主人の妻)/牧師の妻
Michael Medwin .... Captain/Dickie Belminster公爵
Geoffrey Palmer .... Basil Keyes(議員)/医師

監督のリンゼイ・アンダーソンは、ミックの顔を叩くタレント・スカウトのお偉いさんとしてカメオ出演。

参考資料とソフト

imdb.com/Title?0070464

 

(1973年 米=英 174分)


『オスカーとルシンダ』Oscar and Lucinda

監督:Gillian Armstrong、脚本:Laura Jones、音楽:Thomas Newman
原作はPeter Careyの小説(1988年英国ブッカー賞受賞)

Story

夢、嘘、賭け・・・そして愛。
19世紀中盤のイングランド南西部デヴォン州、少年オスカーは厳格な宗教家の父親から逃れて、聖職者となるためオックスフォード大学に進むが、世間知らずで気の弱い彼は友人に誘われ賭博に熱中するようになる。ギャンブルには連戦連勝だったが、儲けたお金はほとんど教会に寄付してしまうので、本人はカカシのような質素な身なりである。

一方オーストラリアで育った自由闊達な女性ルシンダは若くして両親を失い、その遺産でガラス工場を買い取り、同時に賭博の面白さに目覚めてゆく。イギリスからシドニー行きの8週間の船旅で〜オスカーは宣教師としてオーストラリアに向かう途中に、ルシンダはイギリスでの仕事の帰路に〜生まれも境遇も全く違うふたりが出会った。人並み外れた賭博好きであることを接点として。

やがて二人はガラスでできた教会を、ルシンダの友人Hasset牧師の左遷先であるオーストラリアの奥地Bellingenに建てることを計画し、実業家として忙しい日々を送っているルシンダの代わりにオスカーが期日までに資材を運べるかどうか賭けをするのだが・・・ビクトリア朝時代の英国と豪州を舞台にしたほろ苦い大人の寓話。

Check point

宗派

オスカーの父は「兄弟団(Brethren)」という厳格な宗派で、クリスマスも特別なお祝いはしない。使用人たちがこっそり少年だったオスカーにクリスマス・プディングを味見させようとしたところ、父は悪魔の食べ物だと取り上げる。
父の宗派を信じられなくなったオスカーは、石を投げてどの道(兄弟団、バプテスト、カソリック、アングリカン)を進むべきか神に尋ねたが、何度やっても英国国教会(アングリカン・チャーチ)にあたってしまう。「神様、アングリカンだけは嫌です!」と悲痛な声を上げていた彼も、結局はそのお告げに従うことにし、英国国教会の牧師Stratton夫妻の元に置いてもらうことになる。オックスフォードに進んだのも牧師Hugh Strattonがそこの出身だったため。

原作者Peter Careyについて

1943年オーストラリア生まれ。広告代理店勤務の傍ら小説を書き始め、1974年発表の短編集で注目を集める。1985年の長編『イリワッカー』で評価を確立。1988年に長編3本目のこの作品で、イギリスのブッカー賞を受賞。

キャスト

Ralph Fiennes .... Oscar Hopkins/Oscarの曾孫
Cate Blanchett .... Lucinda Leplastrier
Geoffrey Rush .... ナレーター(声のみ)
Ciaran Hinds .... Dennis Hasset(ルシンダの友人・牧師)
Tom Wilkinson .... Hugh Stratton(英国国教会牧師)
Linda Bassett .... Betty Stratton(Hughの妻)
Richard Roxburgh .... Mr Jeffries
Clive Russell .... Theophilus Hopkins(オスカーの父)
Josephine Byrnes .... Miriam Chadwick(未亡人)
Barnaby Kay .... Wardley-Fish(オスカーのオックスフォード時代の友人)
Gillian Jones .... Elizabeth Leplastrier(ルシンダの母)
Robert Menzies .... Abel Leplastrier(ルシンダの父)
Barry Otto .... Jimmy D'Abbs (ルシンダの会計士)
Geoff Morrell .... Charley Fig
ナレーターは『シャイン』のGeoffrey Rush。ルシンダ役のCate Blanchettは『エリザベス』1999年のアカデミー賞で主演女優賞にもノミネートされた。

参考資料とソフト

imdb.com/Title?0119843

邦訳『オスカーとルシンダ』宮本陽子訳・DHC・2,600円

SOUNDTRACK(ここで試聴可)
Video
主演のRalph Fiennesによる朗読カセット(要約版)
原作Paperback
映画シナリオ

(1997年 アメリカ 132分)


『オスカー・ワイルド』 Wilde(1997)

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『オセロ』Othello(1995)

監督Oliver Parker

Story

原作はシェイクスピアの四大悲劇のひとつ『オセロ』。 勇敢なベネチアの軍人でありムーア人でもある若き将軍オセロは、姦計をめぐらす部下イアーゴーの策略にはまり、貞淑な妻デスデモーナと、忠実な副官カシオの仲を疑うようになるが・・・?

Check!

ケネス・ブラナーの熱演により、『オセロ』の物語をひっぱっているのは、主人公のオセロではなく策略家イアーゴーの方だったのだと改めて気付かせてくれる出来になっている。オセロを中心とした悲劇ともとれるし、イアーゴーを中心としたピカレスク・ロマンともとれるだろう。

ローレンス・オリビエをはじめとして、これまでのオセロ役は白人が顔に黒いドーランを塗ってムーア人を演っていたのだが、今回の映画ではきちんと黒人であるLaurence Fishburneが演じているので、より原作の設定を忠実に再現しているようだ。オセロがムーア人であったというコンプレックス(?)も、彼が妻とカシオの仲を疑うようになった重要な要素。Fishburneのセクシーで野性的な魅力はこの物語の悲劇性をいっそう高めてくれている。

愛すれば愛するほど何かのきっかけで一度疑いを抱いたら、激しい嫉妬の念に苛まれることになる。 嫉妬(=Green-eyed monstor)の恐ろしさをご覧あれ。

 

ロケ地

Orsini Castle, Rome, Lazio, Italy
Venice, Italy

キャスト

Laurence Fishburne .... Othello (ムーア人の軍人)
Irene Jacob .... Desdemona (オセロの妻)
Kenneth Branagh .... Iago (オセロの部下・腹黒い策略家)
Nathaniel Parker .... Michael Cassio (オセロの副官)
Michael Maloney .... Roderigo (Desdemonaに気があった)
Anna Patrick .... Emilia (Iagoの妻・Desdemona付きの女官)
Nicholas Farrell .... Montano (キプロスの元・総督)
Indra Ove .... Bianca (カシオに惚れている娘)
Michael Sheen .... Lodovico
Andre Oumansky .... Gratiano
Gabriele Ferzetti .... Duke of Venice (ベネチア大公)
Pierre Vaneck .... Ferzetti Brabantio

参考資料とソフト

imdb.com/Title?0114057

 

(1995年 イギリス 123分)


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