スコットランド激走1,000マイル (一日目)
一日目のルート: グラスゴーからロッホ・ローモンド経由オーバン着
グラスゴー空港から出発(Glasgow Airport, Paisely)
比較的小ぢんまりとした北の都の玄関口である空港は、グラスゴー近郊ペイズリー(Paisley)という街にある。 そう、あのペイズリー模様の由来はここにあるのだ。 グラスゴー市街へは帰りに寄ればいいや、ということでまずは北を目指したのだが、そのスコットランド最終日にどんな運命が待ち受けているかなどとこの時は知る由もなかった。
空港のAvis(エイヴィス)のカウンターで手続きし、ツーリスト・インフォメーションで地図を買ってから、ラウンドアバウトをいくつか回ってロッホ・ローモンド湖岸に通じるM8道路を探す。 しばしの愛車となるこの車はフィアットの小型車。 家人もマニュアル車を運転するのは久しぶりだったが、しばらくしたら馴染んだようだ。
途中でなぜか反対方面に進んでしまい、住宅地で立ち話をしていた若者に道を尋ねる。 両腕に刺青を入れたちょっとコワモテのあんちゃんだったが、もーーのすごーーく親切に、事細かに解説してくれる。 そのこてこてのグラスゴー訛りにひそかに感動。 こちらでGlasgowは「グラーズゴォ」と言うらしいことを、ここで覚える。 その後何度か「グラスゴー」と「グラーズゴォ」を試しにあちこちで使ってみたが、前者ではほとんど通じない。
M8道路でクライド河(River Clyde)を渡り、Erskine BridgeからA82道路へ。
スーパーで食料調達(Safeway, Dumbarton)
ダンバートンのツーリスト・インフォメーションで、Scottish Explorer Ticket (Historic Scotland管理)が使える施設一覧をもらい、すぐ近くに大型スーパーがあることを教えてもらう。 リストによると、今回寄りそうな施設でScottish Explorer Ticketが使えそうなところは、アイオナ・アビーとスターリング城くらいだったので、結局チケットは買わないことにする。
教わった方向に車を走らせるとそこは見慣れたSafeway。 昼近くになっていたので、デリカテッセンでミニ・スコティッシュ・パイ、ミニ・コーニッシュ・パスティ、印度風ミニミニお惣菜(ラム・サモサ、マッシュルーム・パコラ)、そしてスモークトターキー、パン(ホット・クロス・バンズ)、チーズ(ウェインズデール)、飲みもの、おやつ(Walker'sのソルト&ヴィネガー味クリスプス、チョコレートいろいろ、生ラズベリー、ラズベリー・トライフル)など、少しずつ購入。 ドリンク売り場に並ぶIrn-Bru(炭酸飲料)の蛍光色と見まごうばかりの鮮やかな液体が入ったペットボトルがまぶしい。イングランドで炭酸飲料といえばTangoだが、ここスコットランドではIrn-Bruが圧倒的なシェアを誇っている。Diet Irn-Bruまであるのだが、はたしてダイエットになるのかどうかは疑わしい。くらくらするほど甘いのだ。
Loch Lomond湖畔沿いにA82を北上
まもなく道路の右側に見えてきたのはイギリス最大の淡水湖、ロッホ・ローモンド。 「Loch」はスコットランドの言葉で「湖」を表すが、時に海につながる「湾」も「Loch」と呼ぶことが多い。 発音は「ロッホ」、「ロック」、「ロッフ」の中間ぐらいだが、とりあえず便宜的に日本で呼び倣わされている「ロッホ」と書くことにする。 人によっては「ロッコ」と発音していたが。
目立つ看板が出ていたので寄ってみた、湖畔のLussという村。 大きな駐車場(日曜は無料だった)に停めて、しばらく散歩。 この村にある住宅はどれもガーデニングに力を入れていて、道行く人々の目を楽しませる。
さて肝心のロッホ・ローモンド。 この寒いのに(気温は10℃台)水着で次々と湖に張り出した台から飛び込む人多数。 浜では家族連れが思い思いに日光浴したり、浮き輪を持って水辺へ。 つくづく寒さ・暑さに強い国民性だ。 近くには緑が眩しい緑地帯。 カモメの大群がピクニックに集う人々の頭上をかすめていく。
私たちもさきほど調達した食料で、少し遅めのランチ。
・・・う。やっぱりコーニッシュ・パスティは、本場コーンウォールで食べたのとは別物・・・
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A83 Loch Long, Argyll Forest Park
TarbetでA83に入り、ロッホ・ローモンドに別れを告げる。 Loch Long(湾)の付け根をくるっと周り、アーガイル・フォレスト・パーク(Argyll Forest Park)を抜ける道だ。 いくつものグレン(谷)、石橋の下を流れる小川・・・
まもなく見えてくるのは、Loch Fyne(湾)。貝の養殖をやっているいかだも目に入る。
インヴァレアリー: ロッホ・ファインと城、そして鯖
Loch Fyne (ファイン湾、またはファイン湖)を臨む町、Inveraray(インヴァレアリー)。 港には帆船アークティック・ペンギン号(Arctic Penguin)が浮かび、中央には聖アンドリュー旗がはためく監獄博物館(Inveraray Gaol)。 レストランのご当地名物として大きな看板を掲げている牡蠣は、さきど見たような養殖いかだで育てているらしい。
この町の名物は何と言っても、250年前に建てられたインヴァレアリー城(Inveraray Castle)。 要塞のような城が多い中で珍しく、いかにも"貴族の住まい"という華やかな雰囲気が漂う城だ。 実際、第12代アーガイル公爵が今でもここに住んでいるらしい。 一族に伝わるキルトを身につけた家族写真がいくつも飾ってある。 |
城の前に広がる美しい庭園はプライベート部分として公開されていないが、正面に回れば柵の後ろからお目にかかれる。 城の裏にはたくさんのHighland Coo(またはハイランド・キャトル)が放牧され、のんきに草をはむ。城の内部には、武具や豪華な調度品、絵画などが多数展示されている。ティールームには、大きく膨らんでぱっくり口を開けたおいしそうなスコーンがたくさん。
帆船アークティック・ペンギン号を横目で見つつ港のほうへ。 日曜ともあって桟橋の上は家族連れで賑わっている。 そこで夫の視線は前から歩いてくる男性が手にしているズッシリ重そうな黒いゴミ袋に集中。 中で何かがくねくねと動いている・・・魚だ! 周りを見渡すと、大人から子供まで釣竿を手に楽しそう。 子供たちのひとりに頼んで獲物を見せてもらうと、それは丸々と太った立派なmackerel(サバ)。 ルアー(擬似餌)でも簡単に釣れているようだ。「・・・釣竿持ってくれば良かった・・・」 (注:以前コッツウォルズに行った時は、釣竿を持参したのだ)
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オーバンへの道 (A819〜A85)
インヴァレアリーから始まるA819はGlen Aray(谷)と小川に沿っている。 Loch Awe(湖)に抜けると急に景色が開け、湖畔に崩れ落ちた城跡(Kilchum Castle)も見えた。
A85に入ると右手にBen Cruachan(山)が迫り、やがてLoch Etive(湾)に至る。 湖のように見えたが、大きな鉄橋をまたいで河口は海につながっている。
そうこうしているうちに、オーバン(Oban)に着いてしまった。 道を下っていくと近代的なスポーツセンターがあったり、B&B街、商店などが建ち並ぶ比較的大きな港町。 明朝はここからマル島に渡る予定なので、あらかじめフェリーが出る場所やチケット売り場の位置を確認しておく。 通りがかった警官に尋ねると、ハイシーズンの朝一便は混むので出発45分前くらいに並んでおくのが望ましいとか。 港周辺を見回すと、マル島・アイオナ島・スタッファ島(メンデルスゾーンの"フィンガルの洞窟"で有名な)を巡るツアーの看板がいくつも出ている。 個人旅行者でも、こういったツアーを利用すれば気軽に島巡りができるだろう。
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オーバン近郊のB&B
緯度が高いスコットランドのこと、なかなか日が沈まないので時間を忘れてしまうが、もう夜の9時近く。 そろそろ宿を決めなければ。 交通の要所ということもあって街中は少し騒がしく、立ち並ぶB&Bもめぼしい所は満室で今ひとつぱっとしなかったので、見晴らしのよい高台に上がってみる。20時間近い飛行機での移動の後、早朝から動き回っていたのでできれば今日はen-suite(トイレ・シャワーつき)がいい。 高台の可愛らしい裏庭があるB&Bのドアを叩いたら、部屋はlovelyだしTV付きen-suiteだしで即決。 昼間買っておいた果物や、全粒粉パンとターキーやチーズでこしらえた即席サンドウィッチなどで夜食に。濃目にいれたミルクティーが疲れを癒してくれる。
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