(月曜日)

うそつきー。T/Cには苦労させられる

蚤の市が開かれるクリニャンクール駅まで地下鉄で。 事前にA社のWebsiteで「手数料無料でユーロ建てトラベラーズ・チェック(T/C)を現金化できる銀行一覧」をチェックしておいたので、そのリストにあるクレディ・リヨネ(Credit Lyonnais)銀行を訪ねるが、小さい支店だったせいかT/Cは両替できないと言う。 中心街を少し歩いてBNPパリバ(Banque Nationale de Paris)銀行をみつけたが、この支店でもダメだと。 信じられない! A社はイギリスだったらロイズ銀行と提携しているのだが、ダートムーアの小さな村にある藁葺き屋根のおもちゃみたいな支店だって簡単に手続きできるのに。 支店によって使えるところと使えないところがあるのなら、なぜ「BNPパリバ 1,923支店」と書くのだ? RERの駅で一日券(MOBILIS)を買うのにさえ使えない。 BNPパリバの行員は他の支店にも電話をかけてくれ、パリ北駅(Gare du Nord)前にある支店ならやっているかもしれないと言っていたが、その情報が間違っていたらシャレにならない。 したがって最も確実に現金化できるところ、すなわちオペラ座近くにあるA社オフィスに直接出向くことにした。

#提携金融機関として以下のように記述されていれば、その支店数から判断してどこの支店でも現金化できると判断するのが普通だと思う。

Banque Nationale de Paris (BNP) (1,923支店)
Societe Generale (2,000支店)
Credit Lyonnais (1,800支店)
・・・以上、2002年5月時点で某社のサイトに記述されていた通り。その後、この誤解を招く記述に苦情が出たためか、事細かに使える支店を全て書き出す形式に変わっている。

次の訪問国ベルギーにはA社のオフィスがない。 T/Cを買った時に郵便局でもらったリーフレットには、ベルギー国内に数百箇所ある「La Poste(郵便局)」で手数料無料で現金化できると書いてあったが、ベルギーの中央郵便局に直接問い合わせたところ「ユーロ建T/Cも無料では現金化できない」という返事はすでにもらってある。 (うーそーつーきー。)
その次に向かうダブリン(アイルランド)にもオフィスはあるが、4連休前夜の到着となり連休が明ける前にダブリンを離れてしまうので利用できない。 しかも提携銀行ゼロ。 目先に必要なちょっとした現金だったらキャッシングでもいいのだが、この先3週間分必要なT/Cを現金化するのはこの二日間だけしかチャンスが無かった。

しかしA社オフィスの職員たちときたら融通が利かないことこのうえない。 3週間分の旅費を現金化するにあたって、500ユーロ札と100ユーロ札を寄越した。 一枚6万円相当の最高額紙幣なんぞ、誰が受け取ってくれるものか。 レンタカーと高額の買い物(もしあれば)はカード、現金はちょっとした買い物やアイルランドの田舎のB&B(一泊せいぜい50ユーロ前後の)の支払いに使うのだ。 抗議したが窓口のアジア系女性は「規則だから絶対ダメ。 この裏の通りにソシエテ・ジェネラルとか、銀行が何軒かあるからそこでくずしてもらって。無料で両替してくれるから。」の一点張り。 フランスでは応対する人によって全く態度が違うとのことだが、もうひとりの職員も高額紙幣を出すことにこだわっていたので、何か社内的な規約があったのかもしれない。 サインをしてしまった後では「やっぱりやめる」といって他の銀行で現金化することも出来ない。

しかたがないので表通りのソシエテ・ジェネラル(Societe Generale)ともう一軒の銀行に聞いてみたが、当然返事はNon。 当たり前だ。 誰もこんなオモチャみたいなぺらぺらな札を、顧客ならともかく一見さんの旅行客が持ち込んだ札を、偽札かもしれないリスクを勘案してまで無料で両替してくれるわけがない。 A社オフィスにとって返し、手が空いていたもうひとりのアフリカ系女子職員相手に猛然とまくしたてた。「(先刻の職員を指して)彼女は、あなたの同僚はどこでも両替できると言ったけど、ソシエテ・ジェネラルだって実際はどこだって受け取ってくれないじゃない。 どうすりゃいいの!」だいたいT/Cを買った時の約款に札の種類を限定されるなんて書いてないじゃないか。 さっきの職員と目を見合わせ、しかたがないといった感じでのろのろと手続きを始めた。 こちらが札を出しても、その前にテーブルの上にあった米ドルを悠長に数えているのをみつけた夫は、目を三角にして怒りだした。 「早くしろ!」その気迫に呑まれたのか、彼女はびくっとしてやっと両替用の札を数え始めた・・・。 ったく、日本人は強く言われると引き下がってしまうとでも思っているのだろうか。 理不尽な扱いを受けたら"Noと言える日本人"になって断固抗議しなければ、舐められる一方だ。

フランス滞在中どこでも街の人たちの思いがけない親切や笑顔に触れ、たいへん快適に過ごせたなかで、このA社でのスッタモンダがほとんど唯一の不愉快な体験だった。 この会社のT/Cをフランス国内で無料で現金化できる銀行一覧は旅行前にチェックしたときはWebsiteに載っていたのに、帰ってから見たらそのページが削除されていた。 苦情が多いから?

もちろんA社のT/Cは、イギリスでは全国津々浦々に支店網を持つ、ロイズ銀行&ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドの各支店で、問題なく気持ち良く受け取ってもらえるのだが。 しかもイギリスの銀行ならこちらが何も言わなくても使いやすい小額紙幣とコインにしてくれるのだが。 ツーリスト・インフォメーションの売店でお土産を買ったり、駅の窓口で切符を買ったりするのにも手軽に使えるのだが。 これも通貨切り替え直後に起こった混乱のひとつの現われだろうか。

注:日本円をユーロに両替する場合、T/Cに換えてから現地で現金化するのと、日本でユーロ現金に両替していくのとでは、交換レートが全然違う。 今回100ユーロだけあらかじめ現金にして持っていったが、T/Cなら1ユーロ=118円(+手数料1%)のところ、現金だと124円もした。

 

クリニャンクール蚤の市(Marches aux Puces de Clignancourt

「Marches aux Pucesはどこですか?」 再びメトロ4番線で終点ポルト・ド・クリニャンクール駅に戻り、駅で大体の方向を聞いて歩き出す。 手前に蚤の市とは関係のない土産物屋&テキ屋の集団が出ていたが、本当の蚤の市(Marches aux Puces)は高架下をくぐった辺りから始まる。
「フランス版ポートベロー」のようなものを期待していたのだが、外側に立ち並んでいたストールははどちらかといえば「仏版カムデン・ロック」のノリに近い。 古着や靴、CDやカセット、ガラクタのストールがずらりと並ぶ。期待していたアンティークは、常設市のような場所(ストールではない)にあった。 ゴージャス家具(金色使いの激しさと、曲線的なラインがいかにもフランス的)、ガレやドームのランプ・花瓶・シャンデリア(レプリカもあり)、小物、ヴィトンのトランク、絨毯、陶器もリモージュ焼など、とってもデコラティヴ。

蚤の市はスリが多い犯罪多発スポットとして注意が喚起されている。 この市が開かれる場所そのものがパリの外れ(18区)で、はっきりいってヤサグレた地域なのだ。 ロンドン最大の蚤の市ポートベローだって1960年代は人種暴動が頻発するヤサグレた地域だったし、蚤の市にはどことなくリスキーでアンダーグラウンドな要素が見え隠れする(それがまた魅力のひとつかも)。 橋の下は小便臭くて歩くのに息を止めて歩いたし、目つきの悪いオッサン多数。 手荷物には常に注意し、背後にも神経をはりめぐらしておくべきだろう。

 

スーパーMatch

のみの市をひとまわりして、近くにあったスーパーに入る。 見かけより奥行きがあってかなり広い店舗のようだ。 ジュース、ちょっといいハム、チーズ、ヨーグルト、そして隣に併設されたベーカリーでクロワッサンを。

イズニーAOCカマンベールが、2.40ユーロとは☆(日本のデパートで平常店頭価格1,400円の品。 これを一回食べたら、もう雪○カマンベールなんて子供だましに思えるほど、風味豊かな美味しいチーズ。) ウォッシュ系、シェーブル系、青カビ系・・・棚ごと全部買い占めたくなっちゃう・・・スモークトチーズはないのかと夫が言うので探し回ったが、これだけ豊富な品揃えの中、スモークだけは見つからなかった。 (イギリスのB&Bではスモークトチーズがたまにでてくる) プロセスチーズとしては、ウッシッシと不気味笑い牛がトレードマークの「ベルキューブ」がたくさんある。 日本ではありがたい値段で売られているけれど、こっちでは子供のおやつだろう。 カニカマはこちらでは商品名「SURIMI」として売られているなんて。価格設定はモンパルナスのINNOより微妙に安い。

レジのお姐さんは愛想が良くニコニコ。 ヨーグルト用の使い捨てスプーンがあれば欲しかったのだが・・・フランス語でなんて言うんだ?「ド、Donnez-moi・・・(〜をください)」ああ、付け焼刃のNHKのラジオ講座の構文が頭を駆け巡るが、目的語が出てこない。 あうー。相手は普通のおねえちゃんだ。 どうみても英語が通じるとは思えないし。「ハイ、これかな?」と微笑みながらスクラッチカードのようなものをくれる。 「め、めるしー(汗)」

街路樹が広く植えられた緑地帯のベンチに座ってランチ。 併設ベーカリーで買った巨大クロワッサンは、中身がすかすかで淋しかった。 パリ滞在中にまともなパン屋で買い物をしようとこの時堅く誓った。 結局スプーンをもらうことには挫折したのだが、夫がポケットナイフでパッケージの厚紙を切ってスプーンを作ってくれた。

 


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