火曜日

パン・ド・カンパーニュの香りにくすぐられる:Poilane

朝一番にホテルをチェックアウトして、一日荷物を預かっていてもらう。 もう一組チェックアウトしに降りてきた老夫婦がいたが、身なりもきちんとして落ち着いた感じ。 懐具合に余裕があっても堅実な人は、こういったリーズナブル系ホテルに泊まったりするのだろか。

今日は短かったパリ滞在最後の日。 パリに来たら一度は美味しいパン屋を訪れたい。 モンパルナスのビストロ街で「ポワラーヌのパンを使ってます」と店先に表示しているところをたくさん目にしてきたので、その噂のポワラーヌに行ってみることにした。

サンジェルマン・デ・プレ地区の、洒落たブティックがある通りからそう遠くない横道を入ったところにその店はあった。 店構えは思ったより小さいが、店先に停まったトラックに中から焼きたてのパンが次々と積み込まれる。 レストランやビストロから注文が続々入るのだろう。

扉を押すと香ばしいパンの香りがふわりと漂ってきた。 ボンジュー。 日本のベーカリーと違って、セルフサービスではなく係の人に言って好きなものをとってもらう形式だった。 「クロワッサンふたつ、ショーソン・オー・ポム(りんごパイ)、ええと、パン・ド・カンパーニュ(田舎風の素朴なパン)を少し・・・」ちょうど焼きあがったビスケットの試食を勧められ、それも買ってしまう。 ビスケットは大袋だったので旅行中ちびちびと食べていたのだが、あとで袋に空気穴が開いていたことに気がついた。 空気穴が開いた袋を一週間近く持ち歩いても、ビスケットがパリパリに乾燥したままという現象に、湿度の低さを実感した。

 

サンジェルマン・デ・プレ、そしてカフェ・ドゥ・マゴ(Les Deux Magots)

マーケット、ビストロ、スーパーランチ、学生街の安食堂、評判のパン屋ときて、次なる「飲み食いバリエーション」としてカフェに一度は入っておきたい。 連れが"どこかでお茶しよう"と言った時迷わず頷いたのは、ちょうど目の前にカフェ・ドゥ・マゴがあったから。 渋谷のBUNKAMURA一階にある雰囲気あるカフェ・ドゥ・マゴの本店は、このサンジェルマン・デ・プレにある老舗のカフェ。 ミーハーだと言われようとも一度は入ってみたかった。 ヴェルレーヌやランボォ、マラルメ、ピカソ、ヘミングウェイなど多くの文人や芸術家たちに愛されたカフェだ。

著名なカフェだけあってお値段もそれなりに。 我々の後から入ってきたラテン系女の子二人連れは、メニューを渡された後、顔を見合わせてそのまま出て行ってしまった。 それでも東京のちゃんとした喫茶店に比べれば(ドトール系を除く)高いとは言えないだろう。 カプチーノ5.80ユーロ、カフェ・クレーム4.30ユーロなり。 薫り高くしっかりとした味わいの、極上の珈琲タイム。 カプチーノは泡がふわふわ。 カフェ・クレームはコーヒーと温めたミルクの入れ物がひとつづつ出てくるので、たっぷり飲みたい方におすすめ(カプチーノの二倍はあった)。

隣のテーブルにいる老紳士は常連らしく、ゆったりと新聞を広げながらカップに口をつけている。 まだ早い時間なので、遅めの朝食をとっている客もちらほら。 ウェイターがつけてるエプロン、欲しいなあ。

www.lesdeuxmagots.fr
170 blvd, St Germain, 6e

 

オスカー・ワイルドが生涯を終えた「オテル・ダルザス」探し

前日の「ワイルドの墓参り」に続き、今日の目標は「ワイルドが亡くなったホテル探し」。 それでブティック巡りをするわけでもないのにサンジェルマン・デ・プレまで来たのだ。 もひとつ、アンティーク街だというRue de Jacobをのぞくこと。

郵便局でポストカード用の切手を買って、ついでにそのホテルがある通りの名を告げて場所を教えてもらう。 しかし・・・細い道が多くてすぐ迷う。 通りがかりの人を捕まえて聞いてみたら、親切にも「ロンドンA to Z」のような、通りの名前から位置が検索できる地図帳のようなものを引っ張り出して探してくれた。 おかげでやっと目的のホテルを発見。 1900年11月30日にワイルドが息を引き取った「オテル・ダルザス(Hôtel d'Alsace)」の現在の名前は「ロテル(L'hotel)」。 入り口横にワイルド縁のホテルであることを示すプレートが掲げてある。 国を追われ逃げるようにしてやってきたパリで、彼は何を想って過ごしたのだろうか。


ホテル入り口脇に掲げてあるプレート
L'Hotel ... 13 Rue de Beaux-Arts, 6e

アンティーク街ということでのぞいてみたRue de Jacobだったが、家具や絵画などの大物を扱っている店が何軒かあるくらいで、残念ながらあまり好みの店はなかった。


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